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長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
長尾謙杜
藤原丈一郎
君はそう言っていた
梅雨時ずぶ濡れのまんま、部屋の前で泣いていた
夏が始まったばかりというのに、
君はひどく震えていた
そんな話で始まる、あの夏の日の記憶だ
藤原丈一郎
藤原丈一郎
藤原丈一郎
藤原丈一郎
藤原丈一郎
そんな君に僕は言った
大橋和也
財布を持って、ナイフを持って
携帯ゲームもカバンに詰めて
いらないものは全部壊していこう
あの写真も、あの日記も
今となっちゃもういらないさ
藤原丈一郎
大橋和也
そして僕らは逃げ出した
この狭い狭いこの世界から
家族もクラスの奴らも
何もかも全部捨てて君と"2人で"
遠い遠い誰もいない場所で2人で死のうよ
もうこの世界に価値などないよ
人殺しなんてそこら中湧いてるじゃんか
大橋和也
君は何も悪くないよ
父
母
兄、弟
大橋和也
結局僕ら誰にも
女子
男子
先生
クラス
愛されたことなどなかったんだ
そんな嫌な共通点で僕らは簡単に信じあってきた
君の手を握った時
微かな震えも既に無くなっていて
誰にも縛られないで二人線路の上を歩いた
大橋和也
藤原丈一郎
警察
金を盗んで
藤原丈一郎
大橋和也
警察
二人で逃げて
どこにも行ける気がしたんだ
今更怖いものは僕らにはなかったんだ
額の汗も、落ちたメガネも
今となっちゃもういいさ
「あぶれ者の小さな逃避行の旅だ」
いつも夢見た優しくて、誰にも好かれる主人公なら
汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?
「そんな夢なら捨てたよ 、だって現実を見ろよ
シアワセの4文字なんてなかった
今までの人生で思い知ったじゃないか
自分は何も悪くねぇと誰もがきっと思ってる」
あてもなく蝉の群れに、水も無くなり揺れ出す視界に
迫り狂う鬼の怒号に、バカみたいにしゃぎあい
ふと君はナイフを取った
藤原丈一郎
藤原丈一郎
藤原丈一郎
大橋和也
そして君は首を切った
まるで何かの映画のワンシーンだ
白昼夢を見ている気がした
気づけば僕は捕まって
君はどこにも見つからなくって
君だけがどこにもいなくなって
そして時は過ぎていった
ただ暑い暑い日が過ぎてった
家族もクラスの奴らもいるのに
なぜか君だけはどこにもいない
あの夏の日を思い出す
僕は今も今でも歌を歌ってる
君をずっと探しているんだ
君に言いたいことがあるんだ
九月の終わりにくしゃみして
六月の匂いを繰り返す
君の笑顔は
君の無邪気さは
頭の中を飽和している
誰も何も悪くないよ
君は何も悪くはないから
もういいよ
投げ出してしまおう
そう言って欲しかったのだろう?なぁ?