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最初で最後のキス

第6話 - 折れた羽では何処へも行けぬ

2022年08月09日

#一次創作

#恋愛

亡い者ねだり

？？？

ねぇ…拓海…。

拓海

……！！

？？？

拓海…どこ…。

？？？

どこに行ったの…。

紗良

どうかした？

拓海

い…いや…何でもないよ。

紗良

？

紗良

何見てたの？

拓海

それよりもバイクの部品探そう。

紗良

え…えぇ…。

紗良

別に誰も居ない……よねぇ……。

拓海

これとかどう？

紗良

あー、それは中がだめになってるからちょっと難しいわね。

拓海

そっかぁ…。

紗良

まぁ、なんとか頑張れば使えるかもしれないし、念の為置いておこうか。

紗良

その部品が必ずしも転がってるとは限らないし。

拓海

ありがとう。

紗良

気にしないで。

紗良

まだ軽くしか教えてないのに、もう部品の特徴覚えてる拓海くんはとても凄いわ。

拓海

そっか…。

紗良

……。

紗良

やっぱりさっき何か見えてたの？

拓海

………。

拓海

ま…まぁ…。

紗良

何見えたのか聞いてもいい？

拓海

なんか幻覚が見えるんだ。

拓海

けど、誰かは思い出せない。

拓海

でも、何か大切なものだったような気もするし…。

紗良

そう…。

紗良

それでどうしたいの？

拓海

その子に会ってみたいけど、こんな状況じゃ生きてるかもわからないし、痕跡だけでも探したいんだけど…。

紗良

まぁ、まず生きてないでしょうね。

紗良

仮に生きてたとしても会えないと思うわ。

拓海

何か知ってるんですか！？

紗良

ふふっ…言葉の綾よ。

紗良

私は避難したときに周りに人が居たけれど、目が覚めるとシェルター内に人の気配はなかったわ。

紗良

だから、何かあったんでしょうけど、それは私にもわからないの。

拓海

そうなんだ…。

紗良

期待に応えられなくてごめんなさいね。

拓海

い…いえ…紗良さんが謝ることじゃないですよ…。

紗良

ねぇ…。

拓海

ん？

紗良

そんな会えるかもわからない女の子を探すより、私とずっと一緒にバイクでも作らない？

拓海

………。

紗良

だって、もうこの世界に私達以外に生存者が居るかもわからないじゃない。

紗良

何より、この惨状だと痕跡なんてもう消えて失くなってるわよ。

紗良

だから、私とずっと一緒に居よ？

拓海

…そうだな。

拓海

それもいいかもしれない。

拓海

けど、俺はあいつを見つけに行かないといけない。

拓海

きっと俺のことを探してるだろうし、待ってくれてるはずだから。

紗良

……拓海くん？

拓海

え？

拓海

なんですか？

紗良

い…いえ…なんでもないわ。

拓海

僕は探しに行った方が良いと思います。

拓海

どうせ世界が終わったのだとするなら、最後まで悔いのないように行きたいんです。

拓海

なんなら、一緒に来ますか？

紗良

…………。

紗良

……………。

拓海

紗良さん？

紗良

……ごめんなさいね。

紗良

私は貴方とは一緒に行けないわ。

拓海

そうですか…。

紗良

そんなことより！

紗良

バイクはあった方が見つけやすくもなると思うし、ちゃちゃっも部品見つけて作っちゃいましょう！

拓海

そうだね！

紗良

あーあ…若いって羨ましいわね。

紗良

私がもし……。

紗良

ごめんなさいね。

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亡い者ねだり

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