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夜明け前の倉庫街
湿った空気の中、人気のない古いビルの一室で、香月と柊夜は地図を広げていた
柊夜
柊夜がスマホを見ながら言う
香月は腕を組み、淡々と頷いた
香月
柊夜
柊夜
香月
香月の目が細くなる
その視線には、感情が読めない
柊夜
香月
柊夜
香月は小さく笑った
香月
香月
その言い切りに、柊夜はふっと肩をすくめる
柊夜
机の上に並べられたのは、黒い手袋、通信機、そして複数の写真
そこには、麗央が4人と過ごしているスナップがいくつか映っていた
柊夜
香月
香月は写真の一枚を指先で持ち上げる
大きめのTシャツに身を包んで、どこか心細げに笑う麗央
香月
ぽつりと漏らしたその声は、低く抑えられていた
柊夜
柊夜の問いに、香月は静かに首を振る
香月
柊夜
香月
香月は懐から小さなケースを取り出し、カチリと開けた
その中には、睡眠薬らしきアンプルが収まっている
香月
柊夜
柊夜の声に、香月は静かに立ち上がった
香月
香月
倉庫街の外には、冷たい風が吹き抜けていた
その中で、二人の気配は闇に溶けるように消えていった
静かなリビングに、時計の秒針だけがカチカチと響く
4人が出て行ってまだ一時間も経っていないのに、家の中はやけに広く感じられた
麗央
ソファに座り込みながら、麗央は膝を抱える
テレビをつけてみたが、内容が頭に入らずすぐに消してしまった
昨日のことが、まだ頭の奥に残っている
あの悪夢のような不安を思い出すたび、胸の奥がきゅっと縮まるようだった
麗央
ぽつりと自分に言い訳のように呟き、麗央はキッチンに立って適当な朝食の片付けを始めた
洗い物を終え、掃除機をかけ、簡単に部屋を整える
けれど、することがなくなってしまうとまた静寂が襲ってくる
スマホを手に取り、4人にメッセージを送ろうか迷った
「ちゃんと仕事してる?」なんて送ったら、絶対にからかわれる
(……なんで俺、こんなに寂しがってんだ)
自分で苦笑しながらも、窓の外に視線を向けると、街路樹の影がゆっくりと揺れていた
ふと、カーテンの隙間から人影が動いたような気がして一瞬だけ肩がびくりと跳ねる
麗央
そう言い聞かせて、麗央はテレビのリモコンを手に取り、再びソファに腰を下ろした
でも、落ち着かない
なんとなく胸の奥がざわざわして、背中に冷たい感覚がまとわりつく
(……早く帰ってこないかな)
その小さな願いは、誰にも届かないまま
麗央は気づかない――その外で、静かに“何か”が近づいていることを
ピンポーン──
インターホンの電子音が、静かな部屋に響いた。麗央は思わず肩を跳ねさせる
(……誰?)
4人が帰るにはまだ早い時間だ
荷物の配達だろうかと、モニターを覗き込む
そこには、見慣れないスーツ姿の男性が映っていた
落ち着いた表情で軽く会釈をしている
麗央
モニター越しに声が届く
『宅配です。署名をお願いできますか?』
(宅配……?)
怪しむべきだった
でも、妙に柔らかい口調に気が緩んだ
麗央はチェーンも外さずにドアを開けた
麗央
その瞬間、目の前の男の腕が素早く伸びた
麗央
手首をがっちりと掴まれる
驚いて後ろに下がろうとしたが、もう一人の影が後ろから現れ、ドアの隙間をすり抜けて室内に入ってきた
麗央
香月
低い声が耳元に落ちた
反射的に身をよじろうとしたが、背後から首筋に冷たい感触が押し当てられる
麗央
香月
次の瞬間、鼻先に微かな甘い匂いが広がった。世界がぐらりと揺れる
麗央
視界がぼやけていく中で、麗央は前に立つ男――香月の冷たい視線と目が合った
香月
その声を最後に、意識が闇に沈んでいった
柊夜
背後で支えていた柊夜が小さく呟く
香月は黙ったまま麗央の体を抱きかかえた
香月
柊夜
香月は答えず、ゆっくりとドアを閉めた
足音ひとつ立てずに廊下を進み、用意していた車へと麗央を運び込む
ドアが閉まり、車が発進する
香月
香月の低い声が、冷たく響いた
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コメント
15件
最高ですね!
うーんいいね最高 てかなに、?もー売れるよこの作品オレが買うよ
((゚д゚)マジカ可哀想すぎる