相川真冬
わー!ちょ、坂田赤甲羅
投げんの辞めてよ!
坂田明
無理wwwwww
相川真冬
ってかさ、うらたさんと
そらるさんどこ行ったんだろうね。
相川真冬
ドアノックされたっきり
帰ってきてないけど……
坂田明
さぁ……取り敢えず二人
帰ってくるまでもう一戦やろうや!
相川真冬
えー、やだ絶対ボコボコにされるもん。
浦田航
ただいまー、坂田ー。まふー。
二人ともちょっといいか?
相川真冬
?はい、良いですけど……
コントローラーを床に置いて、振り向く。
うらたさんの後ろには水色の髪が
目を引く可愛らしい女の子が立っていた。
坂田明
あっ!えりるんやー!久し振り!
いつここに帰ってきたん?叔母さんは?
とにかく久し振り!あー、かわいいー!
相川真冬
えちょ、坂田その子と知り合い?
坂田明
うん!この子うらさんの姪っ子やよ?
相川真冬
えぇ、マジかぁ………
夜凪遼
因みにコイツ、俺の彼女の
一里の幼馴染でさ。さっき仲良くなった。
相川真冬
あ、あぁ!一里ちゃんの!
えっと……お名前は……
望月舞姫
舞姫です、望月舞姫って言います。
耳に飛び込んで来たのは、お人形さんの様な
可愛らしい顔立ちからは予想できない
少し低めの、でもちゃんと女の子らしい声。
相川真冬
わぁ………始めまして、
相川真冬です………
相川真冬
えっと、うらたさんの
姪っ子さん……なんだよね?
だったら今何歳なんだろう……。
望月舞姫
15歳です。今年卒業で……。
相川真冬
え、って事は今中学3年生?
ボクより5歳も年下ってこと?
浦田航
ま、そうなるな。んでー?
舞姫ちゃーん。まふにぃ、なんか
言いたい事あるんでしょ?
坂田明
うわぁ……うらさんの声
悪ふざけしとる時の声やん……
夜凪遼
舞姫の眼力ヤバ、怖いんだけどwww
望月舞姫
………あのっ、真冬さん!
相川真冬
え、あはい!
いきなり大声で名前を呼ばれて
勢い良く前を向いた。グロスが塗られた
形の良い唇が、ぎゅっと噛み締められた。
あ、この子八重歯ある。何か意外かも。
望月舞姫
………好きですっ、付き合ってください!
相川真冬
……………はい?
相川真冬
え、え?え、告白?え?
女の子……舞姫ちゃんは、
小さな手をこちらに差し伸ばして来て
そう大声で言い放った。
望月舞姫
私、バイト終わりによく公園に寄るんですけど、
そこでよくお猫様と戯れてる真冬さんが
可愛くって堪らないんです!それで
一目惚れ……?しちゃって、うらたさんから友達だ
って聞いて、見てるだけで良かったのに、
なんか、急激に真冬さんに会いたくなって………
望月舞姫
あのっ、こんな事言われてもきっと迷惑ですよね!
うんそうだきっとそうに決まってるもん、
真冬さん黙り込んじゃってますし……あぁでも!
好きなのは本当なんです!天使みたいだなって
ずっと思ってて、間近で見たら更にカッコ良いし
可愛くって!心臓破裂しちゃいそうなくらい
ドキドキしてるんですけど、あの……っ、
望月舞姫
どう…ですか、?もし今付き合ってる人が
居ないなら私を彼女にしませんか……?
早口のマシンガントークで
責め立てられた後に、ギリギリ聞こえるか
聞こえないかくらいの声量で告白されたら
もうそりゃキャパオーバーですよ。
相川真冬
………はぁー、上目遣いは
禁止だと思います………
相川真冬
えと、まずは友達からで良いなら。
望月舞姫
………!
下を向いてプルプルと震えていた彼女は
ガバッと顔を上げた。さっきよりも
距離が近くなった事で分かる、瞳の綺麗さ。
キラキラと輝いて、まるで星空の様だ。
夜凪遼
おー、おめでとう。
舞姫良かったじゃん。
坂田明
うぅ、おめでとうえりるん!
浦田航
いやお前はなんで泣いてんの?
まぁ……おめでとう舞姫。お幸せにー!
相川真冬
あの、まだ付き合うって決めた訳じゃないんで!
お試し?みたいな……あの、こんな事いきなり
話し出すのもあれなんですけど、ボク結構前に
付き合ってた女性に酷いフラレ方して……
それでちょっと落ち込んでたんです。
相川真冬
でも……それでも、こんなボクで良い
って言ってくれるんだったら是非、
舞姫ちゃんとは仲良くなりたいです!
望月舞姫
~~~~っ、はい!
満面の笑みを浮かべた彼女にドキュン。
真っ黒なワンピースに身を包んだ
小悪魔みたいな子にボクの心は射止められました。
望月舞姫
(やっと手に入った………)
笑顔の裏で、小悪魔が
何を考えているかも知らずに。