ユナ
そう言ったくせに、まだ指一本動かせない。
クロロの目は変わらない。 いつだって全てを見透かすような、あの目。
クロロ
「クソうるさい。」 そう言いたいのに、喉が熱くて何も言えなかった。 フィンクスの舌打ちが聞こえる。 気まずい空気が肌を刺す。 なのに。
シャルナーク
ぽつりと呟いたのは、シャルナークだった。 まるで、何もなかったかのように。 その言葉が、いちばん腹が立った。
__過去__
名前のない部屋で、私は目を覚ました。 体の節々が痛む。誰かに運ばれた感覚が、まだ残っている。
シャルナーク
声の主は、少年のような青年だった。 金髪に白いシャツ。 その笑顔は、どこか“作られた安心感”のようで 余計に不気味だった。
ユナ
絞り出すように尋ねると、彼は肩をすくめた。
シャルナーク
ユナ
本当はある。けれど、 あの名前を言えば、また奪われる気がして。 そう言った。
シャルナーク
ユナ
シャルナーク
しょうもない、と思った。 けれど、その響きは少しだけ、温かかった。 それが、間違いの始まりだった。
ユナ
私は吐き捨てるように言った。
ユナ
クロロが少しだけ目を細めた。 まるで、心の中を測るように。
クロロ
まただ。 この人はいつだって “私が言えないこと”だけを正確に突いてくる。
ユナ
私は背負っていた武器に手を伸ばす。 まだ震えている。けれど、進まなきゃ。 ここで終わらせるしかない。 あの頃の自分も、あの名前も、 全部殺して、前に進むために。 その時。
フィンクス
フィンクスが、にやりと笑った。 それは、あの頃私に“新人”って呼びかけていた時と まったく同じ顔だった。 変わってないのは、どっちなんだろうね。
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