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母屋 麗子(おもや れいこ)
何はともあれ、母屋の家にあがれることになった。
田心 春樹(たごころ はるき)
何か違う。思い描いてた展開と何か違う!
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
今まさに靴脱いだところだよっ!
母屋 麗子(おもや れいこ)
使う!? 今彼氏に対して『使う』とか言いましたか!?
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
田心 月子(たごころ つきこ)
あんたは黙ってろ!
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
それはお前(の守護霊)のせいだろ!
そう思いつつも、口には出せない。すると、
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋は、手を差し出してきた。
白くて細い指に、ドキッとする。そして母の好奇心に満ちた目に、イラッとする。
母屋 麗子(おもや れいこ)
あ?
カチンと来ましたよ?
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
ブチィッ!
何かが、切れた音がした。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
ドスン、と重たい音がした。
玄関口で、二人の影が重なる。
母屋が下で、俺が上。
それ以降、一切の音が消えた。
いや、聞こえる。
心臓の音が、ドクンドクンと、今にもはち切れそうに。それが俺の心臓の音なのか、母屋の心臓の音なのか、俺にはわからなかった。
田心 春樹(たごころ はるき)
声が震えていないか、いまいち自信が持てなかった。しかし今更戻れない。俺は、少しずつ顔の高度を下げ始めた。
母屋 麗子(おもや れいこ)
声の発生源に、少しずつ、少しずつ唇を近付けていく。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋の反応に、スイッチが入った。恥ずかしさとかためらいとか全部吹っ飛んで、これから先のことしか考えられなくなる。
そんな俺から目を逸らしながら、母屋は言った。
母屋 麗子(おもや れいこ)
そんなに待てるか
母屋 麗子(おもや れいこ)
そんなことを言いつつも、母屋は顔を逸らすことはしなかった。
再接近を開始した俺の唇は、止まらない。止まる気は、なかった。
田心 月子(たごころ つきこ)
母の視線に気付くまでは。
田心 春樹(たごころ はるき)
危なかった! 超危なかった!
田心 月子(たごころ つきこ)
母親の前で、『暴走して初チュー』という超絶恥ずかしい姿を晒すとこだった!
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
大変です、母さん。彼女が無言です。
怖い。超怖い。
どんな顔してるのか確認する気も起きないくらいに。
しかし、そうもいかないだろう。俺は、恐る恐る口を開いた。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
全力で謝る俺。日本人が世界に誇る最終謝罪奥義DO☆GE☆ZAを惜し気もなく披露する。
マジ調子ぶっこいてました! サーセン!
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
想定外の反応だった。母家は何故か、弱々しく俺の服を握り、縋る様な目でこちらを見ていた。
……何、このかわいい生物?
さっきまでの鬼はいずこに?
服の裾を握る指は、震えていた。
目はうるみ、今にも泣き出しそうだ。
母屋は、震える声で言った。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
何を、言っているのだろうか?
何を、普通のことを言っているのだろうか?
田心 月子(たごころ つきこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
なるほど、そゆことね。さすが背後霊である。
田心 月子(たごころ つきこ)
違いがいまいちわからない。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
声をかけると、ビクリと跳ねた。どんだけビビッてんだ、こいつは?
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
即答だった。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
むしろ何で番号交換したの、それ?
まあ、こいつが誰かと話している姿は、確かにあまり見ない。友達がいない云々以前に、クラスメイトに一切心を開いていないのだ。ノーオープンなのだ。
世話好きの女子がたまに話しかけてるのは見るけど、友達って感じじゃねえしな。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
わー、急に威勢がいい~。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
ダメなのはお前自身だ!
そもそもお前、面と向かってそんなこと言えねーだろ、絶対。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
ケータイを取り上げ、リダイアルした。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
返して欲しそうだったので返してやった。
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋は渋々とケータイを耳に当てた。
そして、すぐさま青ざめた。
わかりやすっ! 相手が電話に出たな。
田心 春樹(たごころ はるき)
俺は固唾を呑んで見守っていた。
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋 麗子(おもや れいこ)
母屋 麗子(おもや れいこ)
何か話せよ!
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
再びケータイをぶんどる俺。
リダイアル。
これもこれで相手からしたら怖いだろうが、知ったことか。意地でも会話させてやる。
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
そして再度青ざめる母屋。
母屋 麗子(おもや れいこ)
言えた!
何か涙が出た。子の成長を喜ぶ親の気分である。
声が小さいとか、噛んだとか気にはすまい。
母屋 麗子(おもや れいこ)
会話は、約一分で終わった。
ケータイを耳から離し、こちらを振り向く母屋。
母屋は言った。
母屋 麗子(おもや れいこ)
え、何そのドヤ顔? スッゲー腹立つんだけど
つーかお前、ほぼ『うん』と『わかった』しか言ってないからね?
会話のキャッチボールっていうか、ほぼ会話のノックだったからね?
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
この子の将来が怖い。
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
出ろよ?
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
田心 春樹(たごころ はるき)
母屋 麗子(おもや れいこ)
そう言って、渋々掛け直す母屋。
母さん、ボクの彼女が変(な子)です。