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ジリジリと肌が焼けつくような日射しに、辟易しながら、滴り落ちてくる汗を拭いつつ、事務所へと戻る道を急ぐ。
守若冬史郎
ドンと勢いよく、守若の兄貴が抱きついてきた。
佐古大和
汗の臭いもそうだが、シャツは汗によって、濡れそぼり、背中に張り付いている。シャツを着ている自分ですら、不快に思っているのに、守若の兄貴は、それでも俺の背中に、ぴったりとくっついて離れようとしなかった。
守若冬史郎
それどころか、くんくんと鼻を鳴らし、俺の匂いを嗅いでくる始末。
守若冬史郎
佐古大和
佐古大和
そんなことある筈がない。自分ですら、汗臭いと感じてるのだ。臭わないはずはない。
守若冬史郎
さも不思議そうに守若の兄貴が、尋ね返してきた。
守若冬史郎
守若冬史郎
佐古大和
外気の暑さのせいだけではなく、俺の顔みるみる上気していく。
佐古大和
守若冬史郎
流石に暑さに耐えれなくなったのか、俺の背中に引っ付いていた守若の兄貴が離れる。
守若冬史郎
そういうや否や、守若の兄貴は俺を引っ張り、海へと連れていこうとする。
佐古大和
守若冬史郎
隣を歩く、守若の兄貴は涼しそうな顔をしているが、兄貴もやはり人間なので、玉のような汗が額に滲んでいた。
守若冬史郎
でも、守若の兄貴と同じで、俺も守若の兄貴の事を臭いとは思わなかった。
佐古大和
そんな些細な事が嬉しくて、何時もなら絶対にしないけど
佐古大和
女の子を誘って行くつもりだった映画デートに、気づいてたら、守若の兄貴を誘っていた。
佐古大和
守若冬史郎
守若冬史郎
守若冬史郎
佐古大和
守若冬史郎
照りつける太陽の中、雑踏(ざっとう)をかき分けて歩く、二人の足音は、心なしか弾んでいるようだった。
おわり
あとがき 思春期の娘が、父親の臭いを嫌うのは、遺伝子が関係する。近親○姦を防ぐため、自分と遺伝子の近い相手の汗を不快な臭いと感じるようになっている。汗の臭いが平気な相手は、自分と遺伝子が遠いので、汗の臭いも臭いとは思わない。つまり、汗の臭いが気にならない相手は、遺伝子レベルで相性がいいということになる。 ただ、二日間着てもらったシャツの匂いを嗅いで貰ったら、同じ遺伝子を持つ人の匂いを好んだという、反対の実験結果が出た例もあるので、必ずしもそうとは言い切れない。 これは、女性特有の症状で、男性には、備わってないらしい。 鶏ネタは、おばあちゃん、おじいちゃん世代あるある。卵を産まなくなった鶏は、翌日、食卓に鶏肉がのぼる。