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続き楽しみです!! 無理せず続き頑張って下さい!!
sakura
sakura
sakura
sakura
sakura
お昼
黄
紫
橙
赤
紫
紫
赤
赤
赤くんの言葉で、心配の色を浮かべていたみんなが笑う
みんなメッセージで連絡はとってるみたいだけど、気を使って怪我については触れてないみたいだ
僕も、事故の翌日にみんなで行ってから桃くんには会ってないし、連絡も取っていない
お見舞いに行かない理由は、明白
橙
黄
紫
青
青
青
お見舞いに行かない……いや、行けない理由
それは、病状が前よりも悪化しているから
無理を言って通わせてもらった学校には、這ってでもという心構えで登校しているけど、さすがに放課後にお見舞いへ行く体力はなかった
青
紫
紫
青
紫
言われて、太ももの上にだらんと置いた自分の手を見下ろす
肉がそげ落ち、指なんて骨と皮しかないように見える
青
橙
黄
黄
紫
橙
黄
青
赤
青
赤
赤
有無を言わせない口調
続く言葉を、赤くんはあえて声を張り上げて言った
赤
青
紫
黄
赤
黄
赤
赤くんはソツなく手を差し伸べてくれたけど、みんなの前でそれを取るのは気が引けた
代わりに机を支えにして何とか席を立つ
赤
紫
ぐるぐると視界が回る中、なんとか教室をでる
青
赤
青
青
重いからとかそんな理由じゃない
赤くん相手から何を今更って思うけど……すべてを預けるなら桃くんがいいって思っちゃったんだ
青
赤
青
支えてもらいながら保健室の中に入ると、養護教諭の先生…松風先生が目を剥いた
松風先生
赤
赤
松風先生
誘導してくれる松風先生に続き、赤くんに支えられながら保健室の奥にあるベットに足を向けようとした時
青
頭に鋭い痛みが走り、吹き出すような感覚で胃の中のものが逆流してきた
とっさに顔をそらして、吐いたのはフローリングの上
松風先生
青
崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込んだ僕は、吐き気のなかった突然の嘔吐に眉を寄せた
青
青
松風先生
青
でも、拒む声すら出なかった
首を振る力もなく、その場で項垂れる
松風先生
松風先生
赤
内線のある机へと向かう松風先生の慌ただしい足音を聞きながら、フローリングを見つめる
青
青
青
言いたいことは山ほどあるのに、何一つ声にならない
青
やめてよ。桃くんとの約束の日まで、もう少しなんだよ
あと数日くらい、待ってくれてもいいじゃん
綺麗な海を見たいだなんて贅沢は言わない
でも、梅雨の合間で晴れた日の荒れた海くらい、望んだっていいじゃんか
青
嘔吐用のバケツに吐いたタイミングで、松風先生が僕たちのところに戻ってきた
松風先生
松風先生
赤
松風先生
赤
松風先生に言われ、赤くんが保健室を飛び出していく
車を手配するついでに応援を呼んだのだろう
入れ替わりで、ガタイのいい男の先生と赤メガネの女の先生がやってきた
松風先生
男の先生
女の先生
松風先生
さすがの連携だなぁ、と意識の隅っこで感心する
男の先生によって、車椅子が僕のそばにつけられた
男の先生
松風先生
松風先生が僕の代わりに説明をすると、男の先生は納得したように頷き、僕に手を差し出してくれた
松風先生にも体を支えてもらって、車椅子に座ることができた
松風先生
女の先生
男の先生に車椅子を押し出されて保健室を出る
男の先生
松風先生
きっと、正面から出ると色んな人に見られてしまうかもしれないという事で、配慮をしたんだろう
保健室から裏口に向かうまでに、昇降口を通る
ちょうどそこを通り過ぎるタイミングで、赤くんが僕のカバンを持って現れた
赤
額に汗を浮かべた赤くんが、松風先生に荷物を渡して僕に駆け寄る
赤
青
わずかに笑って見せると、赤くんの表情が歪んだ気がした
今僕が見ている世界が歪んでいること、車椅子が動き出したこともあって、本当に歪んだかどうかは分からない
真偽は分からないけど、僕の見間違いだったらいいな、と思った
青
青
先生と車に乗り込んだところまでは記憶にあるから、多分車内で気を失ったんだろう
青
いつもと景色が違うところを見ると、先生がすぐに駆けつけられるオープンスペースの病室にいるみたい
酸素マスクを装着されていることを認識した時、同時にベットサイドに人影があることに気づく
青
青
お姉ちゃん
青
その向こうにもうひとつのシルエット
お父さんのものではないから、お母さんだと分かる
青
お母さん
僕が目を覚ましたことを知らせるため、お母さんがベットから離れていく
青
青
青
顔は思い浮かぶのに、名前が出てこない
僕は先生のことが大好きで、恐らく、記憶が途切れるまで一緒にいたのに
青
思い出そうとすればするほど、記憶に霧がかかったみたいに思い出せない
なんで?これも……病気のせい?
青
お姉ちゃん
パニックに陥って酸素マスクを外そうとする僕の腕を、お姉ちゃんが抑える
お姉ちゃん
青
青
大好きだったことは記憶にあるのに、名前だけがぽっかりと記憶から抜け落ちている
青
青
青
青
青
それなのに、頭部を突き刺すような痛みは治まってくれないんだ
お姉ちゃん
お姉ちゃんの声に安堵の色が混じった
瞬間、涙で滲む視界に黒木先生が映る
黒木先生
声は穏やかだけど、この場の空気はお穏やかでないことだけはわかる
何が大丈夫なの……?
壊れていく僕の世界で、大丈夫なことなんて何も無いじゃないですか
青
約束したんだ。今度の土曜、海に行こうって
事故でボロボロでも、それでも桃くんは行きたいって言ってくれた
その約束を、僕は守らなくちゃいけない
今までたくさん嘘をついてきたけど、バイクの後ろに乗せてもらう約束は果たせないけど、
この約束だけは嘘にしたくないんだ
黒木先生
次々にせり上がってくる恐怖の中、僕は再び意識を手放した
意識の深いところで、夢を見た
学校に入学して、友達ができて、好きな人なんかもできちゃったりして、放課後にはバスケに明け暮れて……
平凡だけど幸せで、だけどその幸せにちっとも気づかないまま
"もしも"がこの世にあるのなら、こんな未来を生きてみたかったと思う
大好きな家族と食卓を囲んで、今日こんなことあったよって話す僕に耳を傾けてほしかった
だけどもう、今の手の中にある大切なものを捨ててまで、そんな毎日を欲しいとは思わないんだ
青
お姉ちゃん
青
お姉ちゃん
視界はもう鮮明で、お姉ちゃんの泣き腫らした顔がよく見える
青
青
お姉ちゃん
青
青
お姉ちゃん
青
お姉ちゃんは否定も肯定もしなかった
布団の中から僕の手を取り出して、ぎゅっと握ってくれる
お姉ちゃん
姉弟なのに、お姉ちゃんは嘘が下手だ
お姉ちゃん
青
お姉ちゃん
青
青
青
切れ切れに言うと、お姉ちゃんはやさしく笑った
お姉ちゃん
青
お姉ちゃん
お姉ちゃん
青
お姉ちゃん
青
お姉ちゃん
青
青
お姉ちゃん
青
この恋が世界で1番幸せだなんて言わないけど、僕にとっては世界で1番特別な恋なんだ
明日急ぎの荷物を持ってくると言って、お母さんとお姉ちゃんが帰ってから、黒木先生が顔を覗き込んできた
黒木先生
青
黒木先生
黒木先生
嫌だって言いたかったけど、黒木先生の眉間に寄せられたシワがそれを拒んだ
青
青
青
黒木先生
青
黒木先生
青
黒木先生
僕の返事を待つことなく、黒木先生は出ていった
着替えなどを持ってきてくれたお母さんとお姉ちゃんに付き添われて一般病棟に移るころ、病状はかなりマシになっていた
2人が帰ってから、体を起こしてベットから下りる
青
試しにカーテンで区切られたスペースの中を歩いてみても、少々足取りは覚束ないものの、ちゃんと歩ける
青
パーカーとスウェットをカバンから取り出し、素早く着替える
その後、バックの中にアパートの鍵と財布があることを確認する
青
確認すべきことはあとひとつ
でも、それはここにはない
青
青
桃
青
桃くんは退屈そうに本を読んでいた
その表紙には[リハビリ患者のための本]も書かれている
久しぶりに会う桃くんの腕は、傷などは残っているものの、包帯やガーゼはほとんど取れている
桃
怪訝そうに聞かれて、ハッとする
青
青
桃
とっさの言い訳に、桃くんは呆れたように笑う
青
桃
青
青
青
桃
桃
ベット脇に僕じゃ絶対使えないようなサイズの松葉杖が立てかけられている
桃
青
僕も入院しているから、ラフなのは当たり前
それでも、まだマシな服を選んだつもりだったんだけど
青
桃
桃
青
桃
青
青
桃
青
桃
桃
青
青
桃
青
あんなに自信満だったのに……とジト目で見ても、笑って流された。ずるい。
でもこれで……最後の1つを確認できた
青
何がなんでも、約束を果たすんだ
青
青
青
桃
青
青
桃
違うんだよ、桃くん
僕が元気なら、手間とか関係なく病院まで迎えに来るよ
でもそれができないのは、僕の悪巧みがバレて病院に連れ戻されるのを恐れてるからなんだ
青
桃
青
sakura
sakura
sakura