佐古を探して守若が事務所に顔を出す。目的の人物は、直ぐに見つかったが、昼下がりの陽気につられ、佐古は書類の束の上に、突っ伏して寝ていた。書類を下敷きにしてる時点で、久我に見つかろうものなら、焼き入れ案件だ。しかし、見つけたのは、守若である。焼き入れの心配はない。焼き入れは、だが。
守若冬史郎
佐古大和
返事は返ってきたものの、守若の声に、条件反射で反応しただけであって、起きる気配はない。
守若冬史郎
全く起きない佐古に対し、守若がふてくされる。佐古で遊びたい、守若は頬つねったり、鼻を摘まんだりして、なんとか佐古を起こそうとするが、全く効果なし。
面白くないとばかりに、今度は守若は佐古の背中にのし掛かる。流石の佐古も重さに、ぐぇっとだけ呻くも、すぐに寝息をたて始める。
守若冬史郎
守若の末恐ろしい呟きのせいか、はたまた、のし掛かかられた重みのせいか、佐古が魘されだす。
守若冬史郎
魘される、佐古には気に止めず、守若は更に体重を掛けていく。 体重を掛けていると、佐古の背中を通して、鼓動が伝わってくる。
なんとなく、本当になんとなく、守若は腕をのけて、佐古の背中に耳をそばだててみた。
耳介を通し、一定のリズムで、刻まれる鼓動の音が聞こえてくる。
守若冬史郎
佐古の鼓動を聞いている内に、段々と睡魔に襲われ、守若からもあくびがこぼれる。それに加え、今日は一段と天気が良く、午睡(ごすい)日和。
心地良い日差しに促され、佐古の背中から、伝わる体温と鼓動を枕に守若も目を閉じる。
君に出会うまで、人の体温がこんなにも落ち着くなんて知らなかった。
君に触れるまで、鼓動の音が心地良いなんて思ってもみなかった。
こんなにも君の側は温かい。
この日、京極組事務所では、陽気にあてられて、仲良く眠る二人の微笑ましい姿が目撃された。
おわり
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