想像上の仲間

きゃーっ、人っ、？！

おい誰か救急車”っ！

もうこの高さ無理よっ、！

見殺しにする気っ、？！

だれか心臓マッサージ、！

…病院、

ああ、私…死ななかったんだ、

…死ねればよかったのになー

えなんか私…声低くない、？

…よくみたら、さ

身体…男じゃない、？

えなにこれなにこれ、状況わかんないっ、！！

もー、なんなのこれっ、？！

私っ、これからどうすれば…っ、

しつれーしまーす！

あやばい全然誰だかわかんないっ、？！

多分仲良かったんだよね私…は、

ていうか私らんっていうんだ、

それって…わたしの、

何それ私アニメ好きなのっ？！全然見てこなかったよーっ…

未練が…無くせそうな人、

えっ、？！口に出てたっ

精神科。

精神科って、あの？

そっかあ、私…何か病気なんだ

……らんくん

私は今、らんくんの体だけど

中身は私、桃乃…なんだよね

なのに、なんでこんな演技してるんだろ

あ、え？

傷つけちゃった

別に貴方に言うつもりじゃなかったんだけど、

まあ、いっか。

この人も、私からしたらただの他人だし。

名前、？なんで？

こいつが1番…らんさんの心配してたのに？

そんなあっさりっ、受け入れること、？

可愛い、なんて…おじさんにしか、言われたことなかったな

何、この人たち

どういうこと？大切な人が、目の前から消えたんだよっ、？

なのに、なんで

なんでそんな、ポジティブに…受け入れてんの？

こんな人たちだったら、らんさんはもっと、いい人と入れ替われれば…

私なんかじゃなかったら…らんさんの、代わりに…っ、なって…

…未練がわからないって言ったのは、嘘。

怖かったの。

幸いらんさんの身体で、元々好かれてるようなもんだったから

未練を言ったら、離れていってしまう気がして。

あの人たちなら、信用しても…いいのかな。

また、会いたい。

隣の部屋から聴こえるのは、

お母さんの喘ぎ声と知らない男の吐息。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

黙れ。死ね死ね死んじゃえっ、！

誰だよお前。

浮気されてるの、気づいてヤってるわけっ、？

たまに私にも飛び火でヤられるし。

私の事、なんだと思ってるの？

男からしたらただの性処理。

お母さんからしたらストレス発散道具。

私を、人として扱ってくれる人は、誰もいないのっ、？

なんで生まれてきちゃったんだろう。

あーゆー男遊びで、ノリで作られた命ってこと？

……夢、

確かに、今日は居ない…

…え？

あんな元気そうだったのに…そうなんだ、

シェアハウス…か、

…私がみことさんを心配してるのも、

退院を一緒に喜べるのも。

きっと、信用してるから…な、はず。

あいつのせいで。

らんさんを失ったってなった時も、

慣れてるって…

失礼します。

退院したら、2人とシェアハウス、♪

やっと、家の安心感を…実感できる、

…あーあっ、

ほんと運、ないなあっ…

屋上、どこっ…

あ、え…頭…打ったっ、？

血…血だらけっ、

まあでも…

桃乃ちゃんっ！

2人と、なら…

私には、お父さんが居ない。

離婚したのかも、逃げられたのかも 何もわからない。

一応、幼稚園には行かせてもらった

虐められてはいたけど、

家にいるよりかは幸せだった。

バランスの良い給食が出て

おもちゃで遊べて

たまに遠くに出かけられて

私は幼稚園にいられる時間が とても幸せだった。

でも、当たり前に卒園をした。

唯一の幸せがなくなった。

小学校には行かせてもらえなかった。

金がないから。

私には、必要最低限のものしか与えられなかった

食事は週に3回

焼かれてない食パン1枚と

いつ買ったのかわからない腐りかけの野菜

1人で、真っ暗のリビングで食べた。

全然美味しくなかったけど。

寝る時はソファで寝た。

精子の匂いがして、たまについてて。

本当に気持ち悪かった。

お母さんがいない時は、こっそりベッドで寝た

清潔とは言えなかったが、ソファで寝るよりは断然マシだった。

お母さんとは基本会話も交わさない。

お母さんの声が聞こえる時は

知らない男とヤってる時か

DVされて泣いてる時か

私を怒鳴る時。

愛なんてなかった。

まず、愛という存在を知らなかった。

これが当たり前、

これが普通なんだって、ずっと思ってた。

そんな日々が数年続いた。

でも、ある日

お母さんとヤってたおじさんに、 スマホを貰った。

すごい古いものだったし、 娘だから一応くらいのものなんだろうけど

私は、初めて愛を感じた。

インターネットの世界はすごく、

色々なことを知れた。

その時の年齢は、確か10歳辺り

小学校に行ってないことに気づいた。

私は焦って、勉強をしないといけないことに気づいた

スマホがあるんだから、スマホで勉強すればよかったものの

知能の低い私は、教科書やえんぴつが無いと勉強はできないと思い込み

店に買いに行こうとした。

でも、金がない。

だから、楽に金を稼げる方法を調べた。

そこで、パパ活を知った。

男の人とヤれば、お金がもらえるんだっ、て。

お母さんもしてたから、きっと楽しいことだと思ってた。

お母さんにはバレたくなかったから、

近くの公園の住所、名前、年齢をネットに書き込んだ。

早くお金を稼ぎたかった。

私も早く追いついて、普通になりたかったから。

ある日、本当に知らない人から連絡が来て

会えないか、と言われた。

もちろん会いに行くことにし、お母さんには内緒で家を出た。

久しぶりに人に会い、話した。

そのおじさんは可愛い可愛いと褒めてくれ、

ヤりたいと言った。

そりゃあヤりにきてるから、いいよと答えた。

トイレに連れていかれ、

服を脱ぎ始め、脱がされ。

濡らすこともなく挿れられた。

そりゃあまだ子供の時だから、 身体も小さく穴も狭い

激痛だったし、血も出てきた。

痛がる私を無視し、

ただただずっと腰を振るおじさん。

お母さんはこれを好き好んでやってるのかと

私は受け入れられなかった。

なのに、だんだん気持ちよくなっていった。

そんな自分に吐き気がする。

知らないおじさんに挿れられ、

気持ちよくなって

喘ぎ散らかしている私。

この現状に、何を想えばいいのか ずっと分からない。

3時間くらい続いて、やっと終わった。

喉も腰もアソコも痛かったけど

10万円もらえた。

これで勉強もできるし、食料も買える。

人生で1番わくわくした。

身体を犠牲にして貰った金。

字面だけ見れば中々やばいことだが、

私にとってはとても幸せだった。

とりあえず、日が暮れてきて店も締まり始めたから

今日は帰ることにした。

…が、

鉄っぽい臭いがした。

DVで飛び散った血かと思ったが

いつもより臭いが強い。

靴は1つしかなかったから、お母さんしか居ないはず。

お母さんの部屋を見に行った。

ドアを引いたら身体が倒れてきた。

ドアに凭れて座った状態だったっぽい。

血。血だ。

近くにはナイフ。

刺されたんだ、きっと。

普通の子供なら、泣いて、病むのが普通なんだと思う。

ただ、私は違った。

笑ってた。

心の底から。

作り笑いじゃない、ちゃんと笑ってた。

嬉しかったんだ。

やっと邪魔物が消えて。

もうこれからは自由なんだ。

お母さんなんかに囚われなくていい。

ただ、引っかかることがあった。

私は、何のために生きているんだろう？

どう過ごしていけばいいんだろう？

何を目的に、生きていけばいいんだろう？

私は運がないのに、このまま生きていい事があるんだろうか。

死んだ方が、楽なんじゃないか。

そうだ、死ねばいいんだ。

死ねば、いいことも無ければ悪いこともない。

ああ、やっと正解を見つけた気がする。

今までのモヤモヤが、一気に晴れた。

よし、今から死にに行こう。

えー、次のニュースです。

◯◯精神科付近の道路で

20代前半だと思われる男性1名が亡くなりました。

男性は◯◯精神科に入院していて、屋上から飛び降りた可能性が高いことがわかりました。

屋上の防犯カメラに写った映像や、◯◯精神科の看護師によると

常に1人で喋っていたと思われます。

独り言ではなく、誰かと会話しているような話し方だそうです。

幻聴・幻覚を見ていた、

もしくは

イマジナリーフレンドが 居たと思われます。

えー、次のニュースです。