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ーー春。
桜ヶ丘学園の校門前は、 淡いピンク色の風で 満たされていた。
ひらひらと舞い散る花びらが 新しい季節の始まりを告げている。
またこの季節が来たんだなぁ……
2年生になった私は、 少し伸びた髪を指で整えながら 校門をくぐる。
見慣れた景色なのに、 どこか新鮮に感じるのはーー
きっと、"クラス替え"という 一大イベントのせいだ。
ころん
振り返ると、青い髪が春風に ふわりと揺れていた。
ころん。いつも明るくて、元気で ちょっと子供っぽい。
佐藤ゆい
ころん
ころん
佐藤ゆい
ころん
るぅと
静かに背後から現れたのは、 金髪に整った笑顔のるぅと。
だけど、その笑顔の奥に ちらりと光る「腹黒オーラ」は ご愛嬌だ。
ころん
るぅと
佐藤ゆい
ころん
るぅと
私は笑いながら 春の空を見上げた。
この何気ないやり取りもーー 今日でまた少しずつ、 変わっていくのかもしれない。
体育館前の掲示板には、 生徒たちが群がっていた。
どのクラスになるか、それだけで 1年の運命が決まる気がする。
佐藤ゆい
その瞬間、ふいに後ろから 聞きなれた声がした。
ジェル
ドキッ、と心臓が跳ねた。 振り向くと、春の光の中に 立っていたのはーー
桜色の花びらをまとった、 あの人。
佐藤ゆい
ジェル
佐藤ゆい
ジェル
佐藤ゆい
ジェル
春風が、2人の間をすり抜けていく。 ほんの一瞬ーーその距離が、 少しだけ近づいた気がした。
ななもり
生徒会の腕章をつけた、 紫の髪の青年が現れる。
桜ヶ丘学園の人気者、 ななもり先輩だ。
ジェル
ななもり
佐藤ゆい
ななもり
ジェル
ななもり
佐藤ゆい
ころんとるぅとが遠くから 「何だ何だ〜!」と覗き込んでくる。
もう、ほんとにやめて欲しい……!
放課後。 校庭の桜の下。
風に舞う花びらの中で、 私は足を止めた。
佐藤ゆい
その時。
背後から、あの声がした。
ジェル
佐藤ゆい
ジェル
春の風が一瞬止まり、 世界が静かになる。
ジェル
その先の言葉は、 校庭に鳴り響いたチャイムに かき消された。
キーンコーンカーンコーン
佐藤ゆい
胸の奥が、 優しく熱くなる。
新しい1年が、 静かに幕を開けた。