TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
2人の電話   1コール目

2人の電話 1コール目

「2人の電話   1コール目」のメインビジュアル

1

2人の電話 1コール目

♥

19

2022年09月18日

シェアするシェアする
報告する

よいしょ...

高校2年生の私は この世の全てを恨みながら この世へ別れを告げようと 屋上のフェンスを超えた。

さよなら。

その場から飛び降りようとした ...その時だった

プルルルルル

...え?着信?

非通知だった。 通知をオフにしていたはずなのに 何故か耳障りなその音が鳴った。

こんな時にいたずらか...

少しバカバカしく思いながらも 私は、 無意識のうちにその電話に出た。

...もしもし

???

もしもーし!!

うわっうるさ

???

ひっどぉい!!!!

イタズラ電話ですか?

???

なっ!人聞きの悪い!!

???

違いますよー!!!

...じゃあなんで私の番号に?

???

運命ですね!

.....はぁ、?

???

まあまあそう堅苦しくなるなって

いや初対面なんだからなるでしょ

???

わはは!!それもそうだ!!!

その少女は とても明るく、 どこか儚かった。

???

キミ、名前は?

...

なな

???

ななちゃんね!いい名前だ!

そう?ありきたりだけど

???

まあ可愛いからいいじゃん!

それよりあなたの名前は?

???

ん?あ、私?

???

私はねぇ...

考えるような素振りを見せた彼女は 閃いたように答える

???

ヒバナ!!

ヒバナ

ヒバナだよ!

いい名前だね

ヒバナ

思ってなさそー

あはは笑

気がつけば私は フェンスの外で ずっと ヒバナと話していた。

今までのことなど すべて忘れていくような そんな時間だった

気がつけば、辺りは赤く染まり 街には、 自分の居場所に帰る人達で溢れていた。

もうこんな時間か

ヒバナ

ふふふ

ヒバナ

楽しかった?

うん。楽しかったよ

ヒバナ

それはよかった!

ヒバナ

じゃあ、今日はこれくらいにしようか

うん。そうだね

ヒバナ

じゃ、また明日、

ヒバナ

またあの時間にその場所にいてね

え、ちょっとまっ

ツー...ツー...

言い終わる前に、電話は切れていた

明日って...

私、今日死のうとしてたのにな笑
なに、明日も生きようとしてんだろ

...

ななは、考えるのをやめて フェンスの内側へもどり 地獄へと帰って行った。

ただい...

いい加減にしてよ!!!

どうせまた他の女といたんでしょ...?

はぁ...俺は疲れてるんだ。
さっさと飯と風呂を...

とぼけないでよ!!!!!

...ほんと....いい加減にしてよ...

私がどんな思いであんな子育ててるとおもってるの?!!??!

もううんざりよ...

お前なぁ...

ただいま

.....!
あぁ、おかえり、
ななは部屋に行ってなさい

あの、お母さん、実は、
私、いじめられて

もうわかったから、
つかれてるのよ...辞めてちょうだい

...

.....

私は無言で部屋に向かった。

ほんっと、薄気味悪いのよ...
帰ってるなら返事ぐらい
すればいいのに...

ブツブツ言っている母を尻目に 私は部屋へ続く階段を駆け上がる。

ここには、私の居場所はない。 そんなことはわかっていた。 だけど、 当たり前のように 居場所へ帰る人を見ていたら、 私も、居場所があるような気がして 帰ってきてしまった。 だが、現実は甘くなかった。

次の日、ななはまた屋上に来ていた。

結局居場所はない。

ないなら、居なくなってしまおう

ななはフェンスを超え フェンスの外にたった。

何も変わらない、今日。 その何も変わらぬ日に 自分が違うことをするのが 特別感があって 少しだけ優越感にひたれた。

私はこの世の全てを恨み この世の全てに別れを告げ この世へ産まれてきたことを 哀れんだ。

その時だった。

プルルルル...

え、

昨日と、同じタイミング

そう思った。

ついさっきまで忘れていた 昨日の不思議な出来事を 全て鮮明に思い出した

あ...ヒバナ.....

すぐさま電話に出た

...っもしもし!

電話に出た

あ、もしもし?ななちゃん?

絶望した。 電話をかけてきたのは 母だった。

今日なんだけどね、
職場の課長とちょっとお食事に行くから
遅くなるの。

だから、勝手に食べといてくれる?

あ、うん。わかった。

...はい。じゃあよろしくね

あっ!課長〜♡
今日、楽しみですね♡
ホテルぅ、予約、してくれました?♡

気持ちの悪い 媚の売ったその声が 電話が切れる直前に聞こえた。

...

全てがバカバカしくなって、 飛ぼうとした

その時だった

プルルルル

次の電話は非通知だった。

っ!!

ヒバナ...?

もしもし!

思い切って電話に出た

ヒバナ

もしもーし!

昨日聞いた 元気で明るく そして、どこか儚い その声を聞いた途端 なぜか、 心臓がドロドロに熔け 全てが浄化された気がした。

ヒバナ...

ヒバナ.....

なぜか 1度電話をしただけなのに とても不思議で 変な形で出会った少女なのに そんな少女の名前を呼びながら 私は涙が溢れていた。

ヒバナ

え、どうした?!

ヒバナ

昨日なんかあった?

ヒバナ

大丈夫?!

うん.....ありがとう...

全てが溶けていく

時間も

昨日の記憶も

いまさっきの出来事も

全てが文字どおり

溶けてゆく感覚だった。

この作品はいかがでしたか?

19

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚