私
高校2年生の私は この世の全てを恨みながら この世へ別れを告げようと 屋上のフェンスを超えた。
私
その場から飛び降りようとした ...その時だった
プルルルルル
私
非通知だった。 通知をオフにしていたはずなのに 何故か耳障りなその音が鳴った。
私
少しバカバカしく思いながらも 私は、 無意識のうちにその電話に出た。
私
???
私
???
私
???
???
私
???
私
???
私
???
その少女は とても明るく、 どこか儚かった。
???
私
私
???
私
???
私
???
???
考えるような素振りを見せた彼女は 閃いたように答える
???
ヒバナ
私
ヒバナ
私
気がつけば私は フェンスの外で ずっと ヒバナと話していた。
今までのことなど すべて忘れていくような そんな時間だった
気がつけば、辺りは赤く染まり 街には、 自分の居場所に帰る人達で溢れていた。
私
ヒバナ
ヒバナ
私
ヒバナ
ヒバナ
私
ヒバナ
ヒバナ
私
ツー...ツー...
言い終わる前に、電話は切れていた
私
私
なに、明日も生きようとしてんだろ
私
ななは、考えるのをやめて フェンスの内側へもどり 地獄へと帰って行った。
私
母
母
父
さっさと飯と風呂を...
母
母
母
母
父
私
母
あぁ、おかえり、
ななは部屋に行ってなさい
私
私、いじめられて
母
つかれてるのよ...辞めてちょうだい
父
私
私は無言で部屋に向かった。
母
帰ってるなら返事ぐらい
すればいいのに...
ブツブツ言っている母を尻目に 私は部屋へ続く階段を駆け上がる。
ここには、私の居場所はない。 そんなことはわかっていた。 だけど、 当たり前のように 居場所へ帰る人を見ていたら、 私も、居場所があるような気がして 帰ってきてしまった。 だが、現実は甘くなかった。
次の日、ななはまた屋上に来ていた。
私
私
ななはフェンスを超え フェンスの外にたった。
何も変わらない、今日。 その何も変わらぬ日に 自分が違うことをするのが 特別感があって 少しだけ優越感にひたれた。
私はこの世の全てを恨み この世の全てに別れを告げ この世へ産まれてきたことを 哀れんだ。
その時だった。
プルルルル...
私
昨日と、同じタイミング
そう思った。
ついさっきまで忘れていた 昨日の不思議な出来事を 全て鮮明に思い出した
私
すぐさま電話に出た
私
電話に出た
母
絶望した。 電話をかけてきたのは 母だった。
母
職場の課長とちょっとお食事に行くから
遅くなるの。
母
私
母
母
今日、楽しみですね♡
ホテルぅ、予約、してくれました?♡
気持ちの悪い 媚の売ったその声が 電話が切れる直前に聞こえた。
私
全てがバカバカしくなって、 飛ぼうとした
その時だった
プルルルル
次の電話は非通知だった。
私
私
私
思い切って電話に出た
ヒバナ
昨日聞いた 元気で明るく そして、どこか儚い その声を聞いた途端 なぜか、 心臓がドロドロに熔け 全てが浄化された気がした。
私
私
なぜか 1度電話をしただけなのに とても不思議で 変な形で出会った少女なのに そんな少女の名前を呼びながら 私は涙が溢れていた。
ヒバナ
ヒバナ
ヒバナ
私
全てが溶けていく
時間も
昨日の記憶も
いまさっきの出来事も
全てが文字どおり
溶けてゆく感覚だった。