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沙利
――やった・・・これで家に帰れる!
早速カバンをデスクの上に置き、私物を掴んで押し込む。
それに気づいたのか隣のデスクで作業していた、有美が振り向き声をあげた。
有美
沙利
ニヤリと笑ってみせると、有美が少し不機嫌そうに眉を寄せた。
有美
有美
沙利
沙利
沙利
有美
有美
それを聞いてムッとしたが、暫くして小さな声で呟いた。
沙利
沙利
沙利
有美
有美
有美は、もう聞き飽きたと言わんばかりに手をヒラヒラさせた。
沙利
沙利
沙利
有美
有美
沙利
デスクからカバンを持ち上げる。
沙利
有美
有美に挨拶をして部屋を出た。
私の勤め先は10階。
いつもエレベーターを待たなくちゃいけないのは、正直面倒だ。
沙利
――あ、きた。
機械音を立ててドアが開く。
入ろうとしたら、誰かの足が見えた。
ズボンや靴の色からして男の人だろう。
しかし目線を下から上へ上げていったところで固まった。
・・・今日はツイてるかも。
沙利
思わず呼んでしまった。
腕時計を見ていた彼は、視線を私へと向ける。
糸川
沙利
糸川
沙利
小さく会釈しながら、エレベーターに乗り込んだ。
糸川君の横に並び、ドア側を向く。
鈍い音を立てながらゆっくりと閉まった。
沙利
こういう時はどこに目を向けたらいいのかわからない。
とりあえず、ドアを見つめることにした。
二人きりという空間に緊張を感じながらも
それを表に出さないよう必死に押さえ込む。
糸川
同じく正面を向きながら、糸川君が尋ねてきた。
沙利
沙利
糸川
彼は目を伏せる。
糸川
糸川
沙利
糸川
糸川
沙利
沙利
沙利
沙利
糸川
糸川
糸川
沙利
沙利
ドアが開き、お互いにエレベーターから降りる。
沙利
糸川
沙利
沙利
糸川
スタスタと歩き去る、その後ろ姿を見つめた。
沙利
――彼はどんどん先に行ってしまう。
糸川君と釣り合えるようになりたい。
今の私では、きっと——
相手にもしてもらえない
外に出れば、雨が降っていた。
・・・折り畳み傘を常備していて良かった。
袋から取り出して、いつもの通勤ルートを歩く。
もうすぐ家だ――。
私は一人暮らし。
マンションで、一人で住むには少し広すぎる部屋に住んでいる。
帰ったら、熱いコーヒーを飲んで、
あたたかいお風呂で疲れを取って——
今日は早めに寝よう。
そう思い、通りを歩いていると
視界の端に変なものが入った
沙利
茶色・・・?
ゆっくりとそれに近づく。
フサフサした毛が生えているが、ドロまみれ。
そして体は小刻みに小さく震えていた。
——動物なのは確かだ。
沙利
困った。
家のマンションはペット禁止じゃない。
このまま連れて行くことも出来る。
…でも、一度拾ったなら私が育てなくちゃいけない。
そうこう考えているうちに、動物の震えが激しくなってきた。
――これは考えている暇じゃない!
このまま放っておけば、確実に死んでしまう。
私は動物を雨に濡れぬよう胸元に寄せ
家まで走って帰った。