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蘭side
美琴と恋醒にアイコンタクトを 送ると2人とも頷いて席を立つ。
美術室から作品を運び込んだ ところでちょっとした選考会が スタートした。
桃瀬らん
誰かが何かを言う前にと私は 勢い良く名乗りをあげた。
桃瀬らん
邪魔をするのも気が引けたし 気が重いことはさっさと 済ませるに限る。
ところが、聞こえてきたのは 予想外にも好感触な感想だった。
春緑すち
春緑すち
第1声は、澄絺だった。
夏都と威榴真も頷いてみせ口々に 「色遣いがいい」 「デザイン性も高い」 などと続く。
私は呆気に取られ反応が遅れた。
わなわなと口元が震えるのを 感じながら出来るだけ 明るい調子で言う。
桃瀬らん
赤暇なつ
紫龍いるま
春緑すち
桃瀬らん
男子3人は何がおかしかった のか揃って吹き出した。
桃瀬らん
二の句が継げずにいると ふいに澄絺の手が伸びてきた。
春緑すち
ぽんぽんっ、と優しい手つきで 頭を撫でられ、気分はすっかり 仔犬か仔猫だ。
にも関わらず体の底からくすぐったい 気持ちが湧き上がってくる。
桃瀬らん
今度は私もテンポ良く 切り返すことができ 心の中でガッツポーズをする。
ふと周囲を見渡せば笑い上戸の 夏都がお腹を抱えていた。
恋醒と美琴からも笑い声が 聞こえ、私は安堵の息を洩らす。
どうやら、先程から張り詰めていた 緊張感が和らいだようだ。
桃瀬らん
紫龍いるま
思考を遮るように威榴真の 呟きが落とされた。
誰に向けられたものなのか そもそも何の話なのかも 私には分からない。
だが、何かを大きく間違えたような 予感が瞬く間に全身を駆け巡った。
桃瀬らん
遠慮がちに声をかけると 威榴真は肩をビクッと揺らした。
紫龍いるま
桃瀬らん
威榴真なりの冗談なのだろうが まさか澄絺相手にイチャついて いる などと言われるとは思いもよらず 私は言葉通りフリーズしてしまう。
桃瀬らん
責任感の強い威榴真のこと だから私にとっては息苦しく 感じた緊張感も選考会に必要な ものだと捉えていたのかもしれない。
澄絺もあからさまに 「やっちゃった、」と眉をひそめた。