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LINE556

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LINE556

1 - あ

2023年04月23日

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セイ(正)

ちょっと!?

セイ(正)

この前頼んだお皿!

セイ(正)

気に入ってたやつ、買っといてって頼んだわよね?

キョウ(矯)

あ、忘れてました…。

キョウ(矯)

申し訳ありません、すぐに買ってきます!

セイ(正)

もういいわ。

セイ(正)

料理は食器選びからって、あれだけ言ったはずなのにね?

キョウ(矯)

その食器は、今晩に使う予定でしたでしょうか…

セイ(正)

そうよ?

セイ(正)

今日の夕飯は、ほうとうなのよ。

キョウ(矯)

ほうとう…ですか?

セイ(正)

山梨の郷土料理で、鍋料理なの。

セイ(正)

私、実は山梨県出身で、久々に食べたくなっちゃって~

キョウ(矯)

お義母さん、山梨出身でしたっけ?

セイ(正)

そ。田舎で育ってきたけど、高学歴で来たから就職も都会でねぇ?

セイ(正)

食べる機会が減っちゃったものよ。

キョウ(矯)

その、ほうとうというと…

セイ(正)

そうそう、その買い物をお願いしたいんだけど、いい?

キョウ(矯)

は、はい。

キョウ(矯)

何か買ってくるものは、ありますか?

セイ(正)

ほうとうはカボチャと豚肉を入れるのが主流なの。

セイ(正)

後は、エノキと油揚げ、ネギと白菜…椎茸も入れようかしら。

セイ(正)

あ、お味噌も切らしてたから、それもお願い。

キョウ(矯)

鍋のベースは味噌でしょうか?

セイ(正)

そうよ。

キョウ(矯)

お味噌は、まだ少し残ってましたよ?

セイ(正)

違うの、”信州みそ”っていう名前の味噌がいいのよ。

セイ(正)

だから、そのお味噌を買ってきてちょうだい。

キョウ(矯)

そうなんですね、わかりました。

セイ(正)

あ、”ほうとう”も忘れないで頂戴ね!主役よ!

キョウ(矯)

その、ほうとうっていうものが見たことなくて…

セイ(正)

きしめんよりも太い麺のやつよ!

セイ(正)

あなたがいつも行ってる、スーパーに必ずあるから忘れないでよ!

キョウ(矯)

は、はい!

キョウ(矯)

他に、何か買うものはありますか?

セイ(正)

そうねぇ。

セイ(正)

あー、飲みものも、なんか適当にお酒とか買っといて。

キョウ(矯)

お酒は、以前飲み過ぎて体調崩してましたが、大丈夫でしたか?

セイ(正)

あの時はちょっとだけね。

キョウ(矯)

お身体のためにも、少し控えたほうがいいのでは…

セイ(正)

なに、私の楽しみをとるき?

キョウ(矯)

あ、いいえ!とんでもないです!

セイ(正)

ああ、それと私の大好物のショートケーキもよろしく。

キョウ(矯)

はい、わかりました。

セイ(正)

あ、それと言い忘れてたわ。

セイ(正)

来月の頭に、ドウ君が帰ってくるの。

キョウ(矯)

お義兄さんがですか!?

セイ(正)

あれ、ドウくんのこと知ってたかしら?

キョウ(矯)

一度だけ、こちらに帰省したときに顔を拝見しただけですが。

セイ(正)

なんだ、話したことないの?

キョウ(矯)

はい、オーラがすごくて、近づくことすらできなかったんです。

セイ(正)

そりゃそうよ。

セイ(正)

ドウくんは海外で活躍する、凄腕シェフなのよ?

セイ(正)

あんたなんかと比べたら、天と地の差ねw

キョウ(矯)

そうですね…

キョウ(矯)

私は普段、仕事に家事をこなすことで精一杯ですから…

セイ(正)

そうよ。

セイ(正)

あんたは、ここの家の生活費やローン、家事をせっせとこなしてくれれば十分。

セイ(正)

家政婦なんだから、当たり前でしょうww

キョウ(矯)

その、お義兄さんが海外に行くまでのシェフになられた経歴とかは?

セイ(正)

幼いころから厨房に立って、専門学校でも評価が高かったかしらね。

セイ(正)

そのおかげか、企業に抜擢されて海外に行くことになったの。

キョウ(矯)

す、すごいですね…

キョウ(矯)

私なんて、比べ物にならない…

セイ(正)

あんたなんか、高卒で就職後もそこそこなんだからw

セイ(正)

稼ぎなんて石ころのようなもんでしょww

キョウ(矯)

そ、そうですね…

キョウ(矯)

ここの家庭を養っていくだけで…

セイ(正)

そんなすごい方が、帰省してくるのよ?

セイ(正)

美味しい料理をきちんと出してあげてちょうだいね?

キョウ(矯)

え、私が料理したものを出すんですか!?

セイ(正)

当たり前でしょう!

セイ(正)

他に誰が作るっていうの?

キョウ(矯)

大丈夫でしょうか、私みたいな庶民が出したものでも。

セイ(正)

飛行機で帰ってきた、ドウくんに作らせる気?

キョウ(矯)

あ、いや、そんな…

セイ(正)

海外からわざわざ来るのよ?

セイ(正)

うんと疲れた状態で作らせるなんて、あんた何様のつもり?

キョウ(矯)

そんな、作ってもらおうだなんて!

キョウ(矯)

どこか、外食か宅配とかで頼んだ方が豪華かなと。

セイ(正)

何言ってるの?

セイ(正)

あんたは家政婦なんだからね?

セイ(正)

きちんとここの家庭のためにもてなすことが仕事よ!

キョウ(矯)

そうですよね、わかりました。

セイ(正)

あー、最後にもう一つ言い忘れてたわ。

セイ(正)

ドウ君が帰ってきてご飯作ったら、あんたちょっと席外してもらえるかしら。

キョウ(矯)

え?

キョウ(矯)

ど、どういうことでしょうか。

セイ(正)

そのまんまよw

セイ(正)

外出してってこと!

キョウ(矯)

私がいて、何かまずいことでもありますか?

セイ(正)

大アリ。

セイ(正)

久々の家族とのふれあいよ?

セイ(正)

あんたみたいな他人が一緒にいたら、迷惑でしょ?

キョウ(矯)

そうですよね、分かりました。

キョウ(矯)

では、お食事など終わりましたら、連絡していただいてもいいですか?

セイ(正)

そうね、わかった。

セイ(正)

気が向いたら、ちゃんとラインしておくわねw

キョウ(矯)

では、当日楽しいお食事となるよう、精一杯作らせていただきます。

~翌日~

セイ(正)

明日はドウ君が帰省する日よ?

セイ(正)

当日の晩御飯は何を作ってくれるのかしら?

セイ(正)

楽しみね~

キョウ(矯)

明日の晩御飯用の買い物に出かけています。

キョウ(矯)

煮物やお刺身、鍋などを用意しようと考えていますが、いかがでしょうか。

セイ(正)

は?

セイ(正)

なにそれ。

キョウ(矯)

え、何かまずかったでしょうか…

セイ(正)

あんた、本当にそれを今晩ドウくんに出す気なのかしら?

キョウ(矯)

はい、そのつもりです。

セイ(正)

ほんと、マヌケなあんたはそういうものしか頭にないのね…

セイ(正)

海外でフレンチな料理をたくさん食してる、ドウ君に失礼だと思わない?

キョウ(矯)

そうでしょうか…

キョウ(矯)

普段作り慣れているものを、お出ししたほうが私としても自信をもって…

セイ(正)

そういうところ!

キョウ(矯)

お刺身だって、普段食べないですよ?

キョウ(矯)

十分豪華かなと。

セイ(正)

あのね、ドウ君は庶民的な料理は口にしないってわからない?

セイ(正)

プロの料理人よ?

セイ(正)

もっとワインとかが合う料理を提供して差し上げなさい!

キョウ(矯)

そ、そんな…

キョウ(矯)

私、そういう知識はわからないです…

セイ(正)

わからないじゃないのよ。

セイ(正)

家政婦なんだから、そこは自分で何とか考えなさい!

キョウ(矯)

今から料理のレパートリーを考え直すなんて、難しいです…

キョウ(矯)

作ったことのないものをお出しするなんて、それこそ失礼ですよね。

セイ(正)

そんなの知っちゃこっちゃないね!

セイ(正)

なんとかしときなさいよ!

~ドウ君からのラインにて~

ドウ(導)

キョウくん?

ドウ(導)

初めまして?ではないよね?

ドウ(導)

俺、ドウなんだけど、分かる?

キョウ(矯)

初めまして、キョウです。

キョウ(矯)

いえいえ、拝見だけはしたことありますが、お話までしたことないですよ。

ドウ(導)

そうだったよね!

ドウ(導)

母さんから今日帰るっていう話は聞いてる?

キョウ(矯)

はい、伺っております。

キョウ(矯)

夕方17時頃に空港に着くと聞いています。

ドウ(導)

そのことについてなんだけど、ちょっと遅れる可能性あるんだ。

ドウ(導)

何か予定入れてたら、調整よろしく頼むよ。

キョウ(矯)

かしこまりました。そうお義母さんにも伝えておきます。

ドウ(導)

さっきから思ってたんだけど、そんな敬語じゃなくていいよ?

ドウ(導)

俺ら、歳近いし、家族なんだしさ?

キョウ(矯)

い、いえ、そんな!大丈夫です。

キョウ(矯)

何より、お義母さんが…

ドウ(導)

母さんがなんかある?

キョウ(矯)

あ、いや…

ドウ(導)

なんか変なこと言われてたりしてない?

ドウ(導)

あの人、すぐに人のことコキ使う人だから心配だったんだよね。

キョウ(矯)

えと、はい…

ドウ(導)

その様子だと、なんかあるみたいだね。

ドウ(導)

俺、ちょっと母さんと連絡するわ。

~次の日~

セイ(正)

ちょっと?

セイ(正)

外出してから随分と時間がかかってるけれど、あなたどこにいるの?

セイ(正)

聞いてる!?

セイ(正)

家政婦のくせして、何家事をほったらかしにしてるだなんて!

キョウ(矯)

どうしました?

セイ(正)

どうしましたじゃないでしょう!

セイ(正)

早く夕飯の準備に取り掛かりなさいよ!

セイ(正)

ドウ君が帰ってきちゃうじゃない!

キョウ(矯)

お義兄さんなら、帰って来ないはずですよ?

セイ(正)

は?

セイ(正)

なに、訳のわからないことを言ってるのw

キョウ(矯)

だって、俺今もうお義兄さんと空港を出て、海外に向かってるんですから。

セイ(正)

へ?

セイ(正)

ちょ、な、なに言ってるのかわからないわ。

セイ(正)

空港を出た?

キョウ(矯)

はい、もう日本にはいないです。

キョウ(矯)

荷物もまとめてないです。

セイ(正)

説明が足りないわ!どういうこと!?

キョウ(矯)

俺、お義兄さんに全部話しました。

キョウ(矯)

これまで、あなたが俺にしてきた奴隷の様な扱いのこと。

セイ(正)

なに、人聞きの悪い言い方なんかして!

ドウ(導)

母さん

セイ(正)

ちょ、ドウ君じゃないの!

セイ(正)

今、あれと一緒にいるって何、家には帰って来ないの!?

ドウ(導)

あれとはなに?まさかキョウ君のことを言ってる?

ドウ(導)

昨日ちょっとLINEしたとき、家ではうまくいってるから大丈夫だなんて

ドウ(導)

やっぱ嘘だったね…

セイ(正)

何言ってるの、本当のことよ?

セイ(正)

キョウ君のおかげで家事が回って、お金の管理もよくしてくれて…

ドウ(導)

はいはい、そういう嘘は簡単につく母でしたね、忘れてたよ。

ドウ(導)

やっぱ、そこに置いておくわけにはいかないっていうことになってね。

セイ(正)

だからって、一緒に海外に行く?

キョウ(矯)

安心してください、嫁とはもうすぐに離婚の成立も致しました。

セイ(正)

そういうことじゃないのよ。

セイ(正)

一緒に海外に行ったところで、就職は?

セイ(正)

働きだって困るのは、あんたの方でしょう?

キョウ(矯)

俺は、アルバイトをお義兄さんのところでさせていただくことになりました。

ドウ(導)

ま、ちょっとした接客だけどね。

ドウ(導)

日本料理が美味いから、そのうち厨房にも立てれるよう俺から手配する予定。

キョウ(矯)

え、そうなんですか!

キョウ(矯)

それは、初耳です!ありがとうございます!

セイ(正)

待って、話がついていけないし、なんであんたがそんなすごいところで…!

ドウ(導)

母さんのそういう、人を見下して自分の世話係にしか扱わないところ

ドウ(導)

ほんと、俺は昔から気に入らなかった。

セイ(正)

そ、そんなこと言わないでちょうだい、ドウ君…

ドウ(導)

そうやって、自分の立場が下になったときには、すぐに甘える用な発言も…

ドウ(導)

俺が子供の時からずっと、変わってない…

セイ(正)

私は…ずっとドウ君が良い高校、大学、その後の人生で

セイ(正)

幸せになれるように、そのことだけを考えてきたっていうのに…

ドウ(導)

それは、本当にありがとう、感謝してる…

ドウ(導)

だけど、それとこれとは別問題。

ドウ(導)

これまでの、キョウ君にしてきたことは絶対に許されないからね。

セイ(正)

ちょ、明日から家事とか家のローンとか、生活費とか光熱費とか…

セイ(正)

誰が支払うっていうのよ?

キョウ(矯)

俺の、元嫁にでもどうにかしてもらえば?

キョウ(矯)

それか、あんたがアルバイトでもどうにかして、稼いでいくんだね。

セイ(正)

そ、そんな…

セイ(正)

どうにか、戻ってくることはできないかしら…?

キョウ(矯)

それは、無理なお願いだね。

キョウ(矯)

では、さようなら。

~後日談~

キョウ(矯)

その後、あの人の家では家事がする人間がいなくなったことで

キョウ(矯)

家の中がすごいことになっていったらしい。

キョウ(矯)

なんせ、家事やお金の管理と全部俺がしていたこともあり、

キョウ(矯)

もう何もかもがめちゃくちゃ状態で…。

キョウ(矯)

まず、お金事情は重要ということで、元嫁がなんとか稼いで

キョウ(矯)

やりくりして生活という形に。

キョウ(矯)

ざまぁみろってな。

キョウ(矯)

俺はというと、お義兄さんのもとで接客のみのアルバイトでしたが、

キョウ(矯)

料理の腕を少し見せたら、すぐにでも厨房で働いてほしいとのお話が!

キョウ(矯)

アルバイトではなく、正社員として是非と、嬉しいことが次々に。

キョウ(矯)

家政婦として料理をしてきた生活も、少しは役に立っててよかったなと

キョウ(矯)

ここで改めて実感した瞬間でした。

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