テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
8時50分――駅前。 あなたは少し早めに駅前に着いた。 二人で電車に乗るのかと思うと少し緊張する。 時雨と会うのはいつも華子と三人で、二人で会ったのは先日たまたま図書館で行き合い、併設のカフェでお茶を飲んだのが初めてだ。 始めはどう接して良いのかわからなかったのだが、ぶっきらぼうなりに話しやすい人だと思う。笑うと――可愛い。
あなた
時雨
すぐに、向こうに停まっていた紺色のコンパクトハッチバックが近づいてくる。助手席のウインドウが下がり、運転していたのは時雨だった。
あなた
時雨
あなた
あなたはそろそろと乗り込み、そーっとドアを閉じる。時雨が笑う。
時雨
あなた
時雨
車内は、時雨に似合う、甘すぎない爽やかな香りがする。 助手席のオープントレイに、小さなくまのぬいぐるみが二つ並んでいた。くまはハートを胸に抱いていて、それぞれ「12」「6」と記されている。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
華子。陣屋通華子。あなたが高校生の頃から愛読している小説家。偶然出会った。奇跡的に仲良くなれた。時雨と同じ26歳。美人である。 華子は時雨のことを「時雨くん」と呼ぶが、時雨は華子のことを「華子」と呼び捨てにする。
あなた
時雨
あなた
時雨が笑う。「勘弁してくれ」と言ってまた笑う。
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
あなた
時雨
あなたが携帯で検索すると、インスタグラムのアカウントが出てきた。 Shigure Hojo 油彩画の投稿がズラリと並ぶ。
あなた
時雨は、華子のイラストレーターのが本業ではない。油彩画を画商に預けて、画家として生計を立てている。購買者は外国人が多く、日本では全くの無名だが。
あなた
時雨
あなた
車は渋滞に巻き込まれることもなく、軽快に走る。やがて海の端が見えた。空とは違う青。キラキラと輝く。
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
目が飛び出すのではないかと思うほど、目を見開く。
時雨
あなた
時雨はふふっと笑った。
時雨
あなた
時雨
あなた
だんだんと海が近づいてきて、いつの間にか海沿いを走っていた。時雨が助手席のウインドウを下ろす。あなたの髪が潮風にバサバサと揺れる。
あなた
髪を抑えながらも楽しそうに笑っているあなたを、時雨が見ている。その口元はやはり笑っている。
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨がむせた。
あなた
時雨
時雨はとてもドキドキしている。DADAのキャラクターデザインをしているのも、時雨だ。イラストレーターとしてのPNはHoGreである。
あなた
時雨
画家として名乗った直後に「それも、おれ」とは言いづらく、変な汗をかいてしまう。 以前、本屋で行き合った時に手にしていたのは、華子の小説の挿画集だった。華子の小説が好きなだけかと思っていたが、「自分の」絵がそんなに好かれているとは思わず、嬉しい。
あなた
時雨
あなた
時雨
時雨がドアを開けると、「いらっしゃいませ〜」と店員の声がし、そこはカジュアルなカフェダイニングだった。 店員が「テラス席にご案内いたします」と言い、通されたのは、店内の奥にあるドアを開けた――海が見渡せるテラスだった。
あなた
空と海がくっきりと分かれ、広々とした青の世界。他に、男女の客がいる――彼らはカップルだろうか。おれたちもカップルに見えてんのかなと、時雨は頬がむず痒い。
時雨
あなた
時雨
あなた
時雨
あなた
楽しいドライブデートだった。
コメント
1件
第3話、めっちゃ良かった〜!!😭💕 時雨が車で迎えに来てくれて、助手席のくまのぬいぐるみ(6月12日説かわいすぎる)、華子さまとの関係を聞くシーン、時雨が画家でしかもHoGreだったって衝撃の展開…! そりゃむせるわ笑 「趣味は料理」「今度食いに来る?」って完全にデートじゃん…!最後のテラス席、カップルに見えてるかもって時雨が照れてるのがもう尊すぎて悶えた。 続きめっちゃ気になる…!たゆさん、ありがとうございます🌸