一人暮らしを始めたばかりの頃に、大型の台風が直撃した
その夜は、夕方から風と雨がもの凄く、テレビのニュースでもアナウンサーが気をつけるように、と注意をしていた程でした
風や雨の音が酷くて中々寝付けないでいました
ピーンポーン
深夜の1時に玄関のチャイムが鳴った
俺
誰だよこんな夜遅くに
そう呟きながらドアの覗きレンズを覗き込んだ
ドアの前には人が立っていた
俺
どなたですか?
?
起きてたか?
?
俺だよ
友達の声だった
俺
えっ!?なんだよお前、連絡先もしないで
外が暗く、帽子を深々と被っているので、顔はよく見えなかった
俺
よくこの嵐の中来たなぁ〜...
鍵を開け始めた
俺
...
俺
ん?.....
そこで気がついた
俺
(この嵐の中をいったいどうやって?)
俺
(歩いてきたのか?)
その友達には運転免許証を持っていなかった
バスも電車も、この台風の中なら動いていないはず
それに、こんな天気の夜に遊びに来るやつなんて普通いない
俺
(何の用があるんだ?)
怪しいと思いながら、再び覗きレンズを覗いた
俺
どうやってここに来たんだ?
気になったので、ドア越しに聞いてみた
すると、数秒の沈黙の後...
?
顔を思いっきり覗きレンズに近づけてきた
レンズに映った顔がロウ人形の様に白く、目だけがギョロギョロとしていた
ドアのレンズに顔を近づけて口をこれでもかとばかりに横に広げ、「にいぃっっ」と笑った
俺
ひっ!なんだコイツ!
急いで友達に電話すると、当然ながら、彼は来てないと答えた
俺
ドアを開けないでよかった…
俺は心の底からホッとした
もしドアを開けていたら今頃...