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あ、やばい。怪異症候群がっ……!思イ出さナいホウがいイ
これは小さい頃
秋田にある祖母の家に帰省した時の 出来事である。
年に1度のお盆にしか訪れることのない
祖母の家に着いた僕は早速、兄と 外に飛び出てはしゃいでいたのです。
僕
兄
そうして追いかけあって遊んでいる内に 兄は田んぼの向こうに「それ」が 動いているのを見つけた。
兄
僕
兄は目を凝らし遠くを見ている 僕も兄の目線を追い、遠くを見てみた。
確かに白い「それ」はくねくね動いていた しかし、周りには誰もいないし、1面 田んぼしかない所に
「それ」はくねくねと踊っていた。 そこで僕はこう思った。
あれはカカシなんだと。 農家の人がカラスを追い払うために 考えた新しいカカシなんだと。
僕
兄は僕の考えに納得したようだった。
しかしそれは間違いだったと気づいた
風がピタリとやんだのに、 「それ」はまだくねくねと動いているのだ
兄
兄は気になって仕方がなかったのか、 双眼鏡を持って再び現場に来た。
兄は少しワクワクした様子で
兄
と言い、はりきって双眼鏡をのぞいた。
そのとたん、兄の顔が真っ青になったかと 思えば、汗をだくだく流しながら、 ついには手に持っていた双眼鏡を 地面に落としてしまった。
僕は兄のひょうへんぶりに、おどろき ながら、恐る恐る聞いてみた。
僕
兄はゆっくり答えた。
兄
既に兄の声ではなかった。
兄はそのままヒタヒタと家に戻って行った
僕はすぐさま、兄を真っ青にした「それ」 を見てやろうと落ちている双眼鏡を 拾おうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか 見る勇気がなかった。
ただ遠くから見たらくねくねと動いている だけだ。少し奇妙だが、別に恐怖は 感じなかった。
しかし、兄は...
見るしかない。
そう思って落ちている双眼鏡を 取って、覗こうとした時
祖父
祖父が大声をだし、あせった様子で こちらに走ってきていた。
僕はその言葉におどろき、双眼鏡を 落としてしまった。
祖父
祖父
僕
祖父
そう言い、祖父はその場に 泣き崩れた。
僕はわけのわからないまま、 祖父に引きずられ、家に帰った。
帰ると、みんな泣いている。 僕の事で泣いていたのかと思った。
だが違う、よく見ると、兄だけが 狂ったように笑いながら、まるで あの白い物体のように、くねくね、 くねくねと、乱舞している。
僕は、その兄の姿にあの白い物体よりも とてつもない恐怖を覚えた。
そして家に帰る日
祖父が、兄はここに置いておいた方が 暮らしやすいだろう。向こうは狭いし、 なにより、世間のことを考えたら、 数日ももたん。...うちに置いといて、
何年かたってから近くの田んぼに 放してやるのが一番だ。と、
僕はその言葉を聞き、 大声で泣き叫んだ。 以前の兄の姿はもう、ない。
また来年実家に帰ってきたとしても。 もう自分の兄ではない「それ」に なってしまっているのだ。
僕は泣き狂いながら、帰りの車に乗った。 そして祖父たちに手を振っていた時、
変わり果てた姿の兄が僕に 手を振ったように見えた。
僕は遠ざかって行く中、兄の表情を 見ようと、双眼鏡をのぞいた。
その時確かに見た。
顔は笑狂ったようにしているが、 目から涙を流していた。
僕は今まで見たことがないような 兄の表情にショックをうけ、
双眼鏡をのぞいたまま、 放心状態でいた
しかし、その時みてしまった。
くねくねと動く白い物体を...