ムー
ん~。まだ…。むにゃむにゃ…。

主
(ん?こんな早くに誰だろう?)

ベリアン
申し訳ございません。起きていらっしゃいますか?主様。

ベリアン
…………出直した方がよろしいでしょうね…。

主
(ベリアン?)

主は、ソファから立ち上がると、扉の前に行き、鍵を開け扉をゆっくり開ける。
ベリアン
あ、主様?起きていらっしゃいましたか。申し訳ありません。朝早くから…。

主
ううん。どうしたの?

ベリアン
はい。昨日、主様が体調を崩して夕方には、回復した事を2階の方々から昨日の夜、お話があったもので…昨日からちょこちょこ様子を見には来ていたのですが、体調はいかがでしょうか?

主
昨日の夜…え?ベリアンまさか昨日の夜から寝てないの?!

ベリアン
いえ、寝たり、起きたりを繰り返しておりますので、主様はご心配なさらなくてもよろしいのですよ。

そういい、微笑むベリアンの目元には、うっすらクマが出来ていた。
主
うそ。寝てないよね?

ベリアン
え?いえ、本当に私は…。

主
クマできてるよ?ろくに寝てない証拠じゃない。私のせいで、よく眠れなかったんでしょ?
ごめんね。ベリアン。心配かけて…。

ベリアン
いえ、その様な事はありません。かえって気を使わせてしまい申し訳ありません。主様。

主
ううん。立ち話もなんだし、どうぞ、中に入って。

ベリアン
あらあら、ムーちゃんは主様より寝ていらっしゃるんですね。

主
いいよ。そのまま寝かせてあげて。昨日は、私の代わりにあちこち観光写真撮りに行ってもらったから、疲れてるはずだから。

ベリアン
主様は、本当にお優しいお方ですね。かしこまりました。では、本日のご予定ですが、2階のみなさんには、貴族の護衛についていただき、1階の私たち執事が主様をサポートさせて頂くことになります。

主
うん。よろしくね。

ベリアン
かしこまりました。
ちなみにですが、主様は本日は、どちらでお過ごしになられたいでしょうか?
一応、2階のみなさんとは、昨日、ビーチには行かれたようですが、街への観光は中途半端に終わっているとお聞きしましたので、私たち1階の執事は主様に街の観光をとは考えていましたが...。

主
そうだね。街へ観光をしに行きたいな。昨日、ムーから写真を見せてもらっていくつか行きたいところもピックアップ出来たし。

ベリアン
左様でございますか。では、主様がピックアップされた場所を本日は私たちと周って参りましょう。

主
うん!

ベリアン
………。

主
どうしたの?ベリアン?

ベリアン
あ、いえ、なんでもありません。いきなり、黙ってしまい、失礼致しました。

主
ううん。何かあるなら言ってね。ちゃんとみんなの意見も聞いて周りたいから。

と笑う主にベリアンは意を決して聞いてみることにした。
ベリアン
それでは、私から1つ、主様にお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?

主
うん。いいよ。なに?

ベリアン
その…主様は………。

主
うん。

ベリアン
2階のみなさんとは、どういったご関係なのでしょうか?

主
え?

思わぬベリアンからの質問に主は、みるみる青ざめた顔になっていく。
主
なんで…そんな事聞くの?

ベリアン
最近、2階のみなさんと主様は、ほかの方たちより…その…距離感が近いような気がしまして…。頻繁にお出かけもされているようでしたので、気になりまして…。

主
(そっか...。そうだよね。他のみんなより一緒にいる時間長いもんね。疑われて当然か...。もう、潮時かな…。)

主
ごめん。その回答少し待ってもらってもいいかな?

ベリアン
今は、お答えいただけないようなご関係ということでしょうか?

主
そう思うなら、そう思ってもらって構わない。
でも、この遠征が終わって屋敷に戻ったら、2階のみんなと私とでベリアンにちゃんと話がしたいの。私の一存で話せるようなことじゃないから…。だから、お願い。それまで、待ってほしい…。

ベリアン
……かしこまりました。では、それまで、私もどなたにもこのお話は致しません。憶測だけで他の方を混乱させるようなことは出来ませんから。

主
うん。ごめんね。

ベリアン
いえ、私も主様のヴェリスでの観光の前に、この様なお話をしてしまい、申し訳ありません。
ですが、本日は主様に楽しんで頂きたいので、どうか今のお話はお忘れになってゆったりと観光されてください。安心してください。私は、主様の味方ですから。主様がお困りになるようなことは、決して致しません。

主
ベリアン…。

ベリアン
その様な顔をされずとも良いのです。私は、主様を大切に思っているのですから。ですから、主様には、ただ笑って、本日、私たちとの観光を楽しんで頂きたいのです。

主
うん。ありがとう。ベリアン。
じゃぁ、今日は、その件忘れて楽しもう!

ベリアン
はい。かしこまりました。
では、後ほどお迎えにあがりますが、ムーちゃんは起きられるでしょうか?起きていただけないと困るのですが...。

と気持ちよく眠るムーの寝顔を見て、少し困った表情をするベリアン。
主
大丈夫だよ。ベリアンが来る頃には、起きてくるはずだから。だって、ムーったら、昨日から街で食べたいものの話しかしてなかったもん。耳元で食べ物の名前言ったらすぐ起きるって。

ベリアン
確かにそれはありえそうなお話ですね。ムーちゃん、食べることが好きですからね。

ムー
ん~ササミ~。すぅ~すぅ~。

主
はははっ。

ベリアン
ふふっ。
