叶夢
叶夢
君と100年分に思える恋がしたい!
叶夢
叶夢
叶夢
るな
モブ
モブ
校舎の入口の掲示板には、 2、3年生クラス表がはりだせれて
登校してきた生徒達がその前で 歓声を上げたり、ため息をついたり している。
そんな光景を横に、 昇降口で上履きに履き替え、 職員室へ
るな
先生
そろそろとドアを開け中を覗き込むと 担任の小金井先生が柔らかな笑顔で 迎えてくれた
先生
小金井先生は30歳だけど 年齢より若く見える
担当教科は美術 ほんわかした雰囲気で優しそう
昨日初めて会った時 この先生なら好きになれそう… そう思えた
先生ッ
小金井先生の横にたっていると 年配の男の先生に話しかけられた
先生
そんな小金井先生の言葉に、 反射的にぺこりと頭を下げる
先生ッ
るな
そう答えながら胸の奥がズンと重くなる
唐木先生が心配してくれているのは 「あのこと」だ
るなの体の…、 「病気」のこと
病気って何って?
実は、 るなの頭の中には 「爆弾」 がある
分かりやすく言えば、 頭の中に悪い 「できもの」ができる病気だ
病名は 「小児脳腫瘍」
この病気を宣告されたのは 半年ほど前、高1の秋のことだ
ほんとは、夏頃からおかしいな…って 思うことはあった
頭の奥の方がズキズキって鈍く 痛んだり、時々目眩がしたり
お母さんも心配して近所の病院に 連れていってくれたけど 原因が分からなくて…
思春期特性のストレス性の症状じゃないかって言われた
けど、その後も頭痛やめまいが ひどくなるばかり…
それで大きな病院で 検査を受けることになった
そこで詳しく検査をしてもらった結果 俺の頭の中には直径3cmほどの 「腫瘍」が出来てることが分かって…
そのまま入院して、手術を することになった。
そして手術をして 俺が初めて「小児脳腫」っていう 「頭の中にできるがん」
なんだって分かって すごくショックだった…
なんか、ぜんぜん信じられなかった
小さい頃から、たまに風邪ひくくらいで 大きな病気なんてしたこと無かったし
「がん」なんて大人の病気だと思ってた
「小児脳腫瘍」になって めっちゃ怖かったけど
先生はこういってくれた
先生
先生
……って そんな先生の言葉にやっと気持ちが 落ち着いて
手術を受ける覚悟ができた
去年の11月 るなは10時間近くもかかる手術を受けた
すごく難しい手術だったんだって
幸い手術は上手くいって るなの頭の中で悪さしていた腫瘍は 取り除いてもらうことが出来た
おかげでクリスマス前には退院して、 三学期からは学校に通うことができた
でも… それですっかり終わるわけでもなかった
先生
るな
小金井先生のあとについて 職員室から廊下を出る
モブ
モブ
バタバタと廊下を走る生徒たちが 追い越しざまにそんな気軽な 挨拶をしていく。
小金井先生のフルネームは 小金井けいすけ
だから「けいちゃん」って 呼ばれてるんだ
先生っていうよりもっと近い 「おにぃさん」みたいな感じ
先生
先生
いつの間にか 教室のドアの前
ちょうど始業のチャイムが鳴り響いて ドアの向こうから生徒たちのざわめきと 熱気が伝わってくる
ボーッとしてる場合じゃない クラスのみんなと初対面。 いわば、るなの桃色市デビューだ
今までの俺は、 引っこみじあんで、目立たない 女の子だった
けどこれからは、 そんな自分を変えていこうって決心した
そのためにいくつもの 「夢」や「目標」をノートに 書き出した
名づけて『るなの夢ノート』
「明るくて元気な女の子になりたい」 「みんなと仲良く話せるようになりたい」 「今までできなかったことにチャレンジ したい」 「言いたいことをちゃんと言えるようになりたい」 「たくさんの友達を作りたい」 「男の子と普通に話せるようになりたい」 「恋がしたい」 「思いっきり青春したい!!!!」
これからの中学生活、 ひとつひとつ、この夢を叶えて いきたいんだ
だって…るなの頭の中には爆弾がある
3年生存確率、70% 3年後生きてるかどうか分からない
だからるなは……
せいいっぱい "今" を生きる
叶夢
叶夢
叶夢
叶夢
叶夢
るな
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