テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

神様になりたい神様

第1話 - 『beginning of the end』

110

2023年07月29日

#異世界

#ファンタジー

#創作

#転生

#第2回テノコン

三角　鱗

？？

おい

？？

・・・

？？

おーい

？？

・・・

？？

おい！起きろーい！

？？

うっ！・・・え？？

？？

悪いのぉ。叩き起こしてしまったわい。

？？

う、うぇ？な、なんですか？あなた？

？？

ん？ワシか？神様だ。

？？

え？か、神？？

神様

そうじゃ。

？？

・・・

神様

・・・

？？

・・・

神様

・・・なんじゃ！？

？？

あ、いえ。なんじゃって言うのはこちらの台詞なんですが。

神様

そーか！そーか！
すまん。えーと、君の名前はたしか・・・

？？

・・・ジンです。

神様

そーだ。ジン！
良い名前だな。ジン！ジン！

ジン

えーと。

神様

どうした？

ジン

まず、ここは一体どこなんでしょうか？

神様

ここか？『天界』じゃ！

ジン

て、『天界』？

神様

そーじゃ！天界だ！聞いたことがあるだろう？もっと細かく言うと閻魔様への処へ続く道の途中だ。

ジン

閻魔様？あの天国とか地獄を決めてる裁判官みたいな人ですか？

神様

人ではないが、その通りじゃ！

ジン

ハハハ・・・えっとーなぜその様な所に俺が？？

神様

ん？わからんのか？

ジン

そうですね…わかる様な、わからない様な…
事実を受け入れたくないというか……

神様

死んだんじゃよ。

ジン

だぁーー！

神様

結構ド派手にね！

ジン

やっぱりぃ！！
何か色々と記憶が蘇ってくる！

神様

まぁ、無理もないな。
なんせ、コンビニの前で居座っていた不良達に幼馴染の女性が絡まれてあったんじゃ。

それをたまたま通りかかったお前が、慌てた様子で見ていたのを、
不良達の1人に気づかれて、大声で

『何見てやがんだ！？』

って罵声を浴びせられたんだ。

するとお前さんはビックリしたのと、同時に何故か急にやる気スイッチが入ったみたいで、

コンビニの反対車線から大声で

『その子に手を…』

と叫び、近寄ったとの同時に
車にドーーーーンだもん。

20mぐらいゴロゴローーー。

更に転がった先の対向車の軽自動車ちゃんにバゴーーーン！

空中をビューーーン！！！

と舞って、ドサっと着地した感じだ。
まるでカブトムシが木から落ちるみたいに無防備に落ちていったよ

ジン

だぁーーー！完全に思い出しできたぞ！！
幼馴染を助けようとしたまで覚えてるぞ！
めちゃくちゃ怖かったけど、幼馴染の恐怖に怯えた顔が、
俺の心に突き刺さって・・・助けようと声を出して向かおうとしたら・・・

神様

ご愁傷様です。

ジン

あのヤンチャボーイズどもめ！絶対に許さんからなー！！
死んでも死にきれんぞ！

神様

まぁもう死んでんだけどね。

ジン

だがなー、俺が死んだのを後悔するがいいぞ！！あの世で色々とやってやる。

そぉーーだ！なんならこのままあいつらの前に出て、ビビらせてやろうか！？
いや、それじゃまだ足りないな。
幼馴染はもっともーーーっと怖い目にあっていたんだ。

なんならこのまま藁人形をつくり、腕を一本一本・・・

神様

あのーー。すみません！楽しい所申し訳ないのですが・・・

ジン

なんだぁ！！今いい所なんだ！邪魔すんなや！

神様

邪魔すんなやではなくですね。そんな事されては地獄に行ってしまうと言うか・・・

ジン

地獄ぅー？そりゃ良い。
あいつらはどうせ地獄行きなんだ。
だったらこのまま俺があいつらの前に出て・・・

神様

神様の話を・・・

ジン

ビックリして転んだ所を鎌とかで・・・

神様

きけぇぇぇぇい！

ジン

ぐわぁぁぁぁぁぁぁ！！！

一息落ち着き。

ジン

んで？俺がなんで天界に？死んだら閻魔様の所へ行くんじゃないのか？

神様

それがのー。ちとそう言う訳にはいかなくなっての。

ジン

んぁ？どうゆう事だ？

神様

実は・・・

ジン

うん。

神様

お前さんに大声で近寄ってきた奴がおるじゃろ。

ジン

あぁ。ヤンチャボーイズの1人やな。

神様

そう。全員で3人いる内の1人がお前さんの挙動に不審がって近づいてきたのじゃ。

ジン

それがなんなんだ？

神様

本当はそやつが車に轢かれる予定じゃったのじゃ。

ジン

へ？

神様

そのままお前さんが立ち止まって見ておれば、
近づいてくる時に石に突っ掛かり、車道に飛び出て、車のサイドミラーにかするだけですんだのじゃ。

ジン

え？

神様

残りの2人が当たった車に近寄って、運転手に詰め寄ろうとしたら、その『筋』の車でのぅ。逆にその車に乗せられてどっかに行ってしまうはずだったんじゃ。

ジン

・・・てことは？

神様

うーむ。あんまり言いたくはないが

ジン

まさか・・・俺の死は無・・・

神様

無意味じゃ。

ジン

食う気味に言うな！！

神様

と言うわけで、お前さんは完全に死んじまったってわけだ。

ジン

ハハハ…そ、そっか…あのさ

神様

なんじゃ？

ジン

幼馴染はどうなったんだ？

？？

あぁ、絡まれていた人か？
無事に怪我もなく家に着いたぞ。

ジン

・・・そうか。

神様

ただ、幼馴染のお前さんが死んじまったからのぉ〜。

ジン

…そりゃまぁーそうだよな。

神様

一日中泣いておったわ

ジン

だろうな。

神様

して、今はスッキリして元気にしておるわい

ジン

・・・？

神様

さぁて！！それじゃ

ジン

ちょちょちょちょいと待って！
え？もう？

神様

はて？何かおかしいかの？

ジン

え、え？だってもう？？
その、もうちょっとなんかないの？

神様

・・・わかったわかった！

お前さんがそこまで言うのであれば私の十八番である、ロマンスの神様を一曲！

ジン

いらんわぁ!

そーじゃなくて、幼馴染はもう立ち直ってるの？

神様

そうじゃよ。
立ち直るじゃろ。
好きでもないし、日頃から会ってもいない相手なのじゃから。

ジン

う、うんまぁーそうだけど、だけど子供の頃から一緒に・・・

神様

なーにが一緒じゃ。
幼稚園から今まで学校が一緒ってだけで、そんなに交流があったわけじゃなかろうに！

ジン

ぐっ確かに。
だがそれより気になる発言が・・・
俺の事好きじゃないって・・・

神様

そのぐらいわかるよぉーー。だってワシ神様だもん！人の心ぐらい、見透かせるわい！
俺のこと好きじゃないって自惚れはよくないぞ！

ジン

ぐっ…

神様

ガハハ！

ジン

……

神様

誰が変態エロじじいだ！！

ジン

おお凄い！本当に読みやがった！

神様

おほん。まぁ良い。ワシもあまり心なんて読みたくないからのぉ。これキリじゃ。

ジン

……

神様

生えてますぅ！！髪の毛ありますぅーーー！後頭部に立派な髪の毛がいますぅーー！バーーーカ！

ジン

読んでんじゃなーか

一一一一一一一一一一一一一一一一一

神様

では続きを話そう。

ジン

なんだよ続きって。

神様

ここにお前さんがいる事じゃ。

ジン

確かに。閻魔様の所へはいかずあんたの所にいるのは変だよな。

神様

そうじゃ。
一般的には、死後は魂と肉体が浄化され、その後魂は自動的に閻魔様の所へ流れ着くとされているのじゃ。

ジン

へ、へぇー。

神様

だが、ジンよ。
お前さんの魂は、今ここにある。どうゆう事かわかるか？

ジン

・・・魂が浄化されてないのか？

神様

そうじゃ。浄化できんのじゃ。『ある事』が起こってな。

ジン

ある事？

神様

お前さんが死ぬ時のことじゃ。
現世とは違うある世界でイレギュラーな事が起きたのじゃ。

ジン

ん？何言ってんだ？

神様

まぁ聞けい。

そのある世界でイレギュラーが起こった際に、なくなったものがある。

ジン

なくなったもん？

神様

統べる者じゃ。

ジン

誰だ？そいつは

神様

統べる者とはこの世『時間』を監視し、管理する者じゃ。

ジン

・・・

神様

その統べる者が存在する世界で、何者が襲いかかった。
襲いかかった際に統べる者は窮地を脱する為に現世にいる、とある者に憑依したのじゃ。

ジン

ほほう。・・・ん？

神様

憑代として選ばれた者は・・・

ジン

ちょっとまった！

神様

なんじゃ！？今がいい所なのに！

ジン

その憑代ってのは俺の事か？

神様

あーー！それはワシがカッコよく言おうと思っていたのに！！
先に言うんじゃない！！

ジン

うるせぇ！まだ聞きたい事がたくさんある！

なぜ、俺にその『統べる者』ってのが取り憑いたんだ！？

神様

誰でもよかったわけではない。
たまたま偶然の奇跡が起きたのじゃ。

ジン

なんだよそりゃ。

神様

ジンよ。お前さんが死んだのは昨日の夜中の0時過ぎじゃ。
そして統べる者がなくなったのが全く同じ時間の0時過ぎ。

その時、この世でたった1人だけ、その時間帯に死んだ者がおる。

それがお前さんじゃ。

統べる者はこの時に全てのエネルギーを使い、時空を超えてお前さんに憑代とした。
生きているわけではなく、死んでしまっている体だからのぉ。そうなれば統べる者を襲った者も再度襲いかかる事は不可能なわけじゃ。

ジン

いやいや、時空を超えてとか世界に1人だけとかよくわかんねーぞ！

その統べる者は俺らの世界の人？じゃないのか？

神様

さよう。
統べる者は異なる世界の者じゃ。

ジン

異世界の者が何故俺らの時間を管理しているんだよ。

神様

お前さんの……所謂世界ができた時から時間の管理は統べる者が行ってきたのじゃ。統べる者は神様のワシと同等の立場にある。世界が出来た時からそうなってあったんじゃ。
さらに神様のワシにさえ統べる者への干渉は不可能なのじゃ。

ジン

まぁー要は昔からそいつしかできないって事が出来なくて、大変って事なんだな。

神様

まぁ・・・まぁそうじゃな。

ジン

その統べる者は俺を憑代にしているんだろ？
神様ならそれを別の処に憑依できないのか？

神様

できん事はない。

ジン

本当か？だったら！

神様

剥がしたらその瞬間、世界が無になってしまう。

ジン

え？

神様

統べる者は最後に莫大なエネルギーを使い、お前さんに憑代とした。
時空間を移動してきた統べる者が、異世界とお前さんの世界の道を繋いだのだが、もし剥がそうとすればお前さんの中にある世界の時空間と異世界の時間が崩壊してしまい、元々の統べる者のエネルギーが暴走してしまって、お前さんからこの世とは思えない程のエネルギーな放出し、
この世の全てが１つになってしまう。
何も無い世界になり、それは言わば『無』じゃ。

ジン

マジかよ。

神様

心配せんでもええ
お前さんから剥がさなきゃ大丈夫なんじゃ。

ジン

剥がさなきゃね。
はぁ〜。
俺があの時、幼馴染を助けようとして、こんな事になっちまったのか。

神様

無意味な死が全ての世界を守る死になってしまったのぉ。

ジン

世界を守るだなんて、俺がやろうとしてやった事じゃない。
俺は勝手に死んで、勝手に憑依されただけなんだ。

神様

お前さん。
あのまま、何もしてなければこんな事にはならなかったかもしれん。
そう思っておるか？

ジン

そうだろう？そうすれば死ななかったし。ヤンチャボーイズの1人が車に轢かれて、怖い方に連れて行かれて終わりだろ？

神様

そうじゃ。
だがそうはならずにお前さんが死んだ。

ジン

・・・何が言いたいんだ？

神様

・・・

ジン

それだとまるで、統べる者が俺を狙って憑依してきたみたいじゃないか？
そうなると俺の死は元々予定通りって事になるぞ。

無意味な死じゃなかったのか？

神様

・・・

ジン

どうなんだジイさん！？

神様

知りたいか？

ジン

あぁ・・・

神様

では知りたいのならば行くしかないな。

ジン

あぁ・・・

ん？どこに？

神様

異世界じゃ。

ジン

い、異世界？

神様

何故お前さんの体に統べる者が憑依したのか調べてこい。

ジン

・・・え？ちょい待った！
俺がその統べる者の世界に行くのか？
どうやって？

神様

ワシが送り込んでやる。

ジン

送り込むって・・・

あぁ！さては元々俺をその世界に送るつもりだったな！

神様

なんだ！今更気づいたか！
はなからそのつもりだったわ！

ジン

んだとー！

神様

統べる者の魂を元の世界の場所へ帰化させ、時空を安定させる為じゃ！致し方ないと思え！

ジン

思うか！ボケェ！

魂を元の場所に？ざけんな！
神様ならジジィがやればいいだろが！

神様

それができたら苦労せんし、こんなに悩んだりせんわい！ワシはこの場所から離れる事ができんのじゃ！

ジン

ん？待てよ。
俺の中に統べる者の魂があるって事は・・・

あーーだから俺は閻魔様の所に行けないのか？！魂が２つあるから！

神様

ピンポーン！大正解！

ジン

ざけんなジジィ！決めた！
こんなむかつく世界１つしてやる！
統べる者を早く剥がしやがれ！

神様

いやなこった！
誰が剥がすもんか！！
お前さんと統べる者は当分の間は一緒におるんじゃ！

ジン

だぁ！きたね！

神様

安心せい！異世界に行って、統べる者を元の場所に帰化させれば何にも問題はない。そして、お前さんが選ばれた理由がわかる筈じゃ。

ジン

くそ。
結局その世界に行かなきゃ行けねーのか。

神様

お！決めたかのう？

ジン

・・・てかそもそも、その統べる者はそんなに偉いのか？神様のあんたも一目置いているようだし。

神様

そうじゃの。
統べる者は言わば下界と言われる世界達の柱じゃ。時間を管理しているからの。天界は無関係ではあるが、下界達の紐を全て握っておるのじゃ。

ジン

なんでそんな大切な者を異世界というか下界に置いてるんだよ。
ここに・・・天界に置いておけば安心じゃないか。

神様

さっきも言ったように、時間を管理しておるのじゃ。
天界は時間の流れがない。
だから統べる者は意味をなさんのじゃ。
お主の世界に統べる者がいてもよかったのじゃが、それはそれで混沌が生まれる可能性が高い。
なので異世界である、適している場所にいたのじゃ。
まぁー。今となってはどこにいても一緒だったようだがの。

ジン

そうか。確かにどこにいても一緒だが、俺らの世界にいちゃ悪さする連中が溢れ出そうだな。

・・・てか統べる者は時間を管理するんだよな？どんな事するんだ？

神様

時間について話すと長くなるのぉ。

たくさんの人々がさまざまな研究をしている。
例えば、哲学者プラトンは物事の前後に時間が決まると考えました。
そして、アインシュタインは特殊相対性理論を提唱し、相対速度や亜速度などについて言及しておった。

ジン

眠くなるようなこと言うな。

神様

また、流れが変わる時もある。
楽しい時は早く流れ、嫌な時やつまらない時は遅く流れる。
年齢に関してもそうじゃ。
老いてからの時間は早く感じ、幼き時は遅く感じる。

ジン

・・・それらを全て統べる者は見ているのか？

神様

そうじゃ。それが統べる者の仕事じゃ。

ジン

難しい仕事してらっしゃったのね。

神様

さよう。やってくれるか？

ジン

・・・ったくぅ。
わかったよ。
手伝ってやるよ。
一生このまま違う魂が入ってるのも嫌だしな。

神様

おお！さすがワシが見込んだ者だ！

ジン

うっせぇ！無理矢理行かせる気満々だったろうが！！

神様

まぁまぁ！

さて、行く気が変わらん内に異世界に送り込むぞ。

ジン

ハイハイ。行きましょうかね。

神様

では改めて目的を言うぞ。

まず異世界に行き、統べる者を元の場所に帰化させる。
次に統べる者からお前さんを選んだ理由を聞く。あ、これは別に後回しでもいかのぉ。
統べる者をなくした者の犯人を見つける。
見つけ次第どうにかする。

ジン

どうにかするって・・・やる事多すぎやろ。
てか俺を選んだ理由は後回しって。

神様

まぁ、統べる者を帰化させれば万事OKってことじゃ。

ジン

その帰化させる場所は異世界のどこにあるんだよ。

神様

・・・

ジン

なんだ？知らねーのか？

神様

知っとるぞ。
どっかの神殿かもしれんし、どこかの大国の城かもしれん。
秘密基地とかかのぉ。

ジン

なんでそんな曖昧な言い方をすんだよ！！てかちょっと待て！
城とか神殿とかどうゆう事だ！？

神様

さて！
そろそろ時間じゃ！
頼んだぞ勇者よ！

ジン

やかましい！やっぱり知らねーんじゃねーか!
それらしい事言えば納得すると思ってんのかジジィ！！

神様

うるさいわい！

こちら側で一度は言ってみたい台詞じゃ！
黙って聞いて送られい！！

ジン

んな事で納得出来るわけねーだろが！

神様

むん！

辺り一面が暗くなりジンの足元に魔法陣が展開される。

ジン

なんじゃこりゃ！

神様

転移魔法じゃ。
これから送るぞ。

ジン

ま、魔法？魔法なんかあるのか？
え？なんか怖！

神様

頼んだぞ！
あぁあとお前の容姿はここと異なることになるから様変わりしてても驚くんじゃないぞ！

ジン

んだと！
そんな大事な事は最初に言いやがれ！

神様

安心せい！ある程度カッコよくしておくわい！
あと、事が進みやすい様に少しだけプレゼントしておくからのぉ！

ジン

なんだプレゼントって！？

神様

着いてからのお楽しみじゃ！

ジン

うわぁ！体が消えていく！！

神様

頼んだぞ！
ジンよ・・・下界の運命はお前に託した・・・

ジン

だから！そうゆう事は俺がいなく・・・

神様

えい！！

ヒュン！！

神様

さて、統べる者よ。
お茶でも飲もうかのう。

ジン

・・・うわぁ！眩しい！
え？つ、着いたのか？

周りは辺り一面に広がる野原と流れる川が広がっていた。

ジン

ここは本当に異世界なのか？
俺が住んでいた田舎町とかじゃないよな？

ジン

そう言えば、俺って生き返ったんだよな？そうゆう事だよな？
異世界とは言え、魂と肉体が一緒に・・・そうだ

顔！！

ジンは近くにある川に走り出した。川面に映る自分の顔を確認する為に

ジン

はぁ、はぁ、

一体どんな顔に・・・

のぁーーーーー！！

ジン

めちゃカッコよくなっとる。
てか、誰だこりゃってレベルだぞ。
最早前世の顔の面影もない。

ジン

この顔を信じるのであれば本当に異世界に来たんだな。
さっさとここから移動して異世界の人の話を聞きこう。

動物

・・・

ジン

・・・なんだありゃ？

動物

ぐるる

ジン

え？見た事ない動物だ。

動物

ぐるる

グワァー！！

ジン

げ！なんだ！
こっちに来るぞ！！

動物

グワァグワァ！

ジン

やばい！
に、逃げろ！！

動物

グワァーワン

ジン

ダメだ!！
追いつかれる！！

？？

伏せて下さい！！

ジン

？？

はぁーーーやっ！！！

動物は胴体に切り傷を与えられ、逃げていった。

？？

大丈夫ですか？

ジン

あぁすまな・・・！助かりました。
ありがとうございます。

？？

いえ、ご無事で何よりです。
まさかこんな所にヒューム族がいらっしゃるなんて

ジン

ヒューム族？

？？

え？違うのですか？？

ジン

・・・いや！ヒューム族だ！！なははは！

？？

ですよね？ヒューム族がこんな所にいるなんて。何かあったのですか？

ジン

んーー？いや、ちょっと探し物をしててねー。

？？

探し物もですか？？なんでしょう？私でよければ一緒に探してあげますよ！？

ジン

ほ、本当ですか？
えっと実はですね・・・

統べる・・・

？？

はい？スベル？？

ジン

あーー、いえ！

スベル石はこの川の近くにあるのかなーって

？？

スベル石ですか？
すみません。あまりこの辺では聞いた事ないですね。

ジン

あぁ。やはりそうでしたか（そんな石あんのかい！）
そうしましたら他の所で探してみます。ありがとうございました！

？？

あぁ、いえ・・・

あ！！そちらは気をつけてください！
先程の危険な動画達が沢山いますので！

ジン

・・・そうですか

あのー。この辺で一番大きい街はどこにありますでしょうか？

？？

街ですか？

でしたらあちらの方角へ約２.3時間歩いていけば、大きい都市がありますよ。乗り物とかあれば楽なんですが・・・持っておりますか？

ジン

いや、持ってはいないです。ちなみに乗り物はこの辺りで調達する事は出来るのでしょうか？

？？

調達は難しいかもしれません。この辺りに馬族はいませんし・・・

ジン

馬族…

？？

はい。馬族がいれば移動は楽になります。でも一番早くいくのであれば、鳥族の方々にお願いして、飛行タクシーを使うのが良いのですが・・・あいにく田舎なもので、この辺りまで来ないんですよね。

ジン

飛行・・・タクシー・・・

？？

なので早く辿り着くには徒歩が一番かと

ジン

そうですか（仕方ない・・・ここは歩いて）

？？

それでは良い旅を・・・

ジン

あ、後ですね!

？？

はい？なんですか？

ジン

お姉さんはなんでこんな所に？

？？

え？私ですか？

ジン

はい。（しまった。急すぎたか？）

？？

えーと。私はこの近くの村に住んでおいまして、この辺りで食料の確保しに来ました

ジン

村があるのですか？

？？

はい、このすぐ近くにありますよ

ジン

（チャンス！）あの、宜しければ・・・その・・・
村まで案内してもらう事とか大丈夫でしょうか？

？？

え？え？いいですけど何もない村ですよ。

ジン

今の俺にとっては何もないなんて事はないです！お願いします！

？？

え、ええ。でも入る為には村長の許可が必要ですけど、よろしいですか？

ジン

はい！

？？

フフフ・・・わかりました。では一緒に行きましょう

ジン

よぉーし！お姉さんが神様みたいです！ありがとうございます

？？

神様だなんて。今は亡き『統べる者』じゃあるまいし。さぁこちらです。

ジン

今は亡き・・・

？？

え？あぁ……そうですよ。統べる者がお亡くなりになって12年の月日が経ちましたからね。

ジン

12年！？

？？

統べる者がいなくなってからあっという間に月日が経ってしまいました。
管理者がいなくなってから時間の流れがおかしくなってしまってるんですよ。

ジン

流れがおかしく・・・

？？

皆さんが知っている事ですので、不思議と慣れてしまった感はありますね。

ジン

そ、そうですね!

？？

そういえば、ヒューマ族なのでお名前があると思うのですが…

ジン

あ、申し訳ない。ジンと言います。よろしくお願いします

？？

ジンさんですね。こちらこそよろしくお願いします。

ジン

えっと、お姉さんのお名前は？

？？

私ですか！？……名前はありません

ジン

え？

？？

私達は……ヒューム族以外は名付けが禁忌されているので……

ジン

禁忌されている…

？？

…………ジンさんはちょっと変わってらっしゃいますね

ジン

え？！

？？

私の言葉一つ一つに真剣に耳を傾けて、その端々に初めて聞いた様な驚きを見せます。まるで、世の中を全く知らない…無知とはまた違った…その様な感じが致します。

ジン

ご、ごめんなさい！（大正解です！なんたってあのジジィ何にも教えてくれなかったからーーー）

？？

あ、すみません。初対面の方に酷い事を言ってしまって。

ジン

実はそれは本当で…

？？

……え？

ジン

俺は……自分はずーと田舎にある山奥で幼少から育てられたのです。

？？

……

ジン

自分が……ヒューム族とも知らず……年も身体も大きくなりまして。
育て親から成人の式と言われ、この地からスベル石を自分自身の力で持ってくる様にと言われました。
右も左もわからず、野原に放り出されて今に至るのです。

？？

……

ジン

（くぅーー。まぁーこんな軽々しい事なんて信じないよねーーー）

？？

辛かったのですね……

ジン

はい？

？？

私、本当に失礼なことを言いました！ごめんなさい！そんな事情があると知らずに変な人だなんて！

ジン

あ、いえ。実際に変な人ではありますし！！
世間知らずな上に石を探すだなんて！

？？

いえ！そんな事ありません！立派です！素敵です！必ずジンさんはその成人の式を達成できるはずです！

ジン

あ、ありがとうございます……（なんだろー胸が痛いよー。）

？？

さ！村へ向かいましょう！こうしてはいられません！私が村長を説得して村へ入れる様に致しますので！

ジン

は、はい！えーと……

？？

そーですよね！何かと呼べないのは難しいですよね！私の事は《お姉さん》とでも言って下さい。

ジン

ありがとうございます！ではお姉さんよろしくお願いします

お姉さん

はい！

ジン

でも…お姉さんがヒューム族じゃないって…見た目は俺と全く変わりのないのに

お姉さん

そうですね。あまり変わりはないですね。けど生まれ持ってから違うんですよ。

ジン

そうなんだ……因みにお姉さんは何族なのですか？

お姉さん

私ですか？

『鼠族』です。

ジン

ね、鼠族？！

お姉さん

はい！

鼠族の小さな村にご案内しまチューね！

なんちゃって笑

ジンは危ない所を助けてくれたお姉さんに案内されて鼠族が住まう村に案内されたのであった。ここから物語が動き出す神様になりたい神様プロローグ『見る者と見られる者』

神様になりたい神様

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

110

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

三角　鱗

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

神様になりたい神様

第1話 - 『beginning of the end』

作者の他の作品すべて見る

#異世界の新着小説
一覧

関連するタグ

神様になりたい神様

第1話 - 『beginning of the end』

作者の他の作品すべて見る

#異世界の新着小説一覧

関連するタグ

#異世界の新着小説
一覧