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脳裏に過る記憶…。
セイト
こことは違う世界で産まれた人間だった。 名前はファウ。 俺の産まれた所では厄神様という怖い神様を祀っていた。 僕は…その神様にすごく興味があった。 その神様を1度見たくて。 当時やんちゃだった俺は神様に会うべくあれやこれやと神様にたどり着く道を探り俺だけしか知らない神様にたどり着く道を見つけた。 神様はすごく綺麗な人だった。 思わず声をかけてしまう。
ファウ
神様
神様は驚きもせず死んだような目をしていた。 空っぽだ。 何も…感じない瞳をしていた。
ファウ
神様
神様は何も言葉を発しない。
ファウ
神様
神様はずっと無口だった。 でも俺は…その後も大人たちが来ないのを見計らって何度も神様の所へ足を運んだ。
ファウ
神様
それは俺が初めて聞いた神様の声だった。 凄く…弱々しくて…今にも壊れそうな声でぼそっと呟いた。
ファウ
俺は初めて聞けた神様の声に歓喜して 神様を勢いで外に連れ出そうとした。 しかし神様の瞳は空っぽのまま。
神様
その声には生気が感じられない。 全てを失ったような悲しい目。
ファウ
神様
ファウ
神様
また…悲しい目をしている。 その目を見るたびに、俺は胸がギュッと何かに掴まれたように苦しかった。 なんとか…神様を笑顔にさせたい。 俺はめげずにゆっくりと時間をかけて何度も…何度も…。外に連れ出そうとする。
神様
ファウ
神様
ファウ
神様
ファウ
諦めきれなかった。 神様に嫌われたくない。 でも…外にずっと出られない ずっとこの景色。 たった1人で。 そんなの寂しいに決まってる。 神様には神様の道があるのだろう。 でも…俺にとっちゃそんなもん知らない。
神様
ファウ
神様
神様は不思議そうにこちらを見つめながらだんまりだ。
ファウ
神様は少し目を開けて口を開いた。
神様
少しだけ… 本当に少しだけだが 表情が柔らかくなった…と思う。 気のせいかもしれない。 でも…俺はこの気のせいをもう少し感じていたいと思えた。 いつからだろう。 俺は神様の本当の名前を知るほどの仲になっていた。 本当にゆっくりと時間をかけて、俺は神様…いや、逆月ヒメリとの思い出を作っていく。
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
満天の夜空にいくつもの流れ星が流れていく。 まさに絶景だ。 その神秘的な光景に興奮を隠せなかった。
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
この時のヒメリの表情は…きっと暗くて見えない そう思っていた。 でも夜空の明るさは…実は結構明るかった。 いくつもの流星がキラキラと光っているからなのだろうか…それとも月明かりに照らされてだろうか…。 多分どっちも違う。 ヒメリ本来の美しさなんだろう。
ヒメリ
彼女はキラキラと目を輝かせて とても幸せそうに笑う。
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ずっと見ていたかった。 ヒメリの笑顔。 凄く綺麗で可愛くて。 最初から俺は…君に惚れていたんだと思う。
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ヒメリは涙を流したことにも気がついていなかった様子だ。 俺は…ポケットに入っていたハンカチを取り出してヒメリに手渡す。
ファウ
ヒメリ
ファウ
ヒメリ
ファウ
この夜を最後にヒメリとは会えなくなってしまった。