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私は桐帆(きりほ)
みんなは私のことをきりちゃん と呼んでいる
でも…ある人だけ違う名前で 呼ばれる
私にはわからない名前だった
翔吾
ねえ、何色好き？
え💦
翔吾
ピンクが似合うから
翔吾
Phalaenopsisって呼ぶね
Phalaenopsis
？？
翔吾
え？知らないの？
Phalaenopsis
うん…
翔吾
じゃあいつか教えてあげる
翔吾
それまでは自分で考えてね
無責任すぎない？
それで…もし、変な名前だったら
私は考えるだけでゾクゾクする
Phalaenopsis…ピンクが似合う…
何年もの月日が流れた
私はまだ気づいていない
翔吾
じゃあ…行ってくる
Phalaenopsis
はーい
私達は付き合っている
だけど、まだ教えてもらっていない
翔吾
Phalaenopsis……
Phalaenopsis
どうしたの？
翔吾
海外に行かないと行けないんだ
Phalaenopsis
そ、そうなんだ
翔吾
二人分のお金まではないんだ
翔吾
だから…
翔吾
日本で待っててくれないか？
翔吾
帰ってきたら結婚しよう
Phalaenopsis
うん…
Phalaenopsis
でも…
あなたの声が聞けなくなるの
寂しい…
Phalaenopsis
最後に教えてくれない？
翔吾
何を？
Phalaenopsis
私のあだ名のこと
翔吾
Phalaenopsisは花の名前だよ
翔吾
ピンク色の花言葉だからね
彼はそう言って
空港へ行ってしまった
Phalaenopsis
花言葉…
残された私は花言葉を調べた
Phalaenopsisは胡蝶蘭
ピンクの花言葉は
あなたを愛します
Phalaenopsis
え…
翔吾は私と出会ったときから
すでに私のことを好きだった！？
だけど今は
誰も私をPhalaenopsisとは呼ばない
国で暮らしている
たった一人、彼の帰りを待って
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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