高二 5月。
私──松根さやは、
幼馴染の坂田賢斗と
いつものように
帰路に着いていた。
さや
高一もあっという間だったね。

賢斗
そうか?
テストばっかで長く感じたぜ。

さや
賢斗はいっつも再試に引っかかってたからでしょ。私はちゃんと点数取ってたし。

賢斗
はぁ?お前体育でバスケの補習引っかかってたじゃねぇか。
人の事言えるかよ。

さや
だって私、体育で苦手なのバスケだけだもん。
突き指しそうでこわいし。

さや
そういうあんただって、名前に「賢」って入ってるのになんでこんなにおバカさんなんでしょうね?

賢斗
名前なんて関係ねぇだろー。

賢斗
あっやべ。
今日追加課題出されてたんだった!
さや、教えてくれよ。
頼むからさ〜。

さや
い、や、だ!
今日は録画しといた音楽番組見るんだー。

賢斗
まじかよ。
ちょっとだけでいいからさぁ。

賢斗
あの食べたいって言ってたマカロン奢るからさ。

さや
……えっ。

さや
しょうがない…今回だけはマカロンに免じて許してやろう。

賢斗
よっし!

(こんな何気ない会話が出来るのも今だけなのかな。)
進路とか受験とか卒業とか、
そういうの考えたくない。