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花梨
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コメント
2件

あ"ー!死なないでー!この兄妹尊いー! オタク化してきてる。 続き待ってます!
話の流れが上手すぎる…神
部屋の灯りを落とす。
降谷零
リビングから、降谷の声がした。
松田深緒
扉が閉め、ベッドへ潜り込む。 柔らかい布団。乾いた髪。 シャンプーの匂いに混じって、まだ少しだけ、温風の残る感覚がした。
自然と、さっきの記憶の続きが頭に流れる。
研二が死んでから、私は部屋にこもりがちになった。 ご飯も食べない。眠れない。 眠ったら、夢を見るから。
ぼんやりソファへ座っているだけで、一日が終わった。
⸻
松田陣平
ぼやけた視界の向こう。陣平が立っていた。スーパー袋を片手に、深い溜め息。
松田陣平
松田深緒
松田陣平
それだけ言って、お兄ちゃんはキッチンに立った。
それから数時間。 テーブルへ置かれたのは、深緒が好きだったグラタンだった。
普段料理なんてしないのに。
松田深緒
松田陣平
陣平は、グラタンをすくって深緒の口の前まで運んだ。観念したように、深緒が口へ入れる。それを見て、陣平も一口食べた。
松田陣平
松田陣平
松田陣平
顔を上げた陣平の目にうつったのは、ぽろぽろと涙をこぼす深緒だった。
松田陣平
松田陣平
松田深緒
松田深緒
松田深緒
松田深緒
包丁で傷だらけの指、焦げたグラタン。全部、深緒のため。
松田陣平
松田深緒
松田陣平
松田深緒
松田深緒
松田陣平
その時のお兄ちゃんの顔がおかしくて、少しだけ笑ってしまった。それを見て、お兄ちゃんがほんの少し、安心した顔をした。
その日から、部屋にこもる時間は前より減った。
相変わらず眠れない日はあったし、急に涙が出る日もあったけど。それでも、確実に外に出ることが増えた。
けど、どこに行くにもお兄ちゃんはついてきた。
コンビニ帰り。
松田深緒
松田陣平
松田深緒
松田陣平
松田深緒
松田陣平
そんなやり取りをしながら歩く。
松田深緒
袋を覗き込みながら言う。
松田陣平
松田深緒
松田陣平
深緒は笑った。
お兄ちゃんも、笑う。久しぶりだった。こんなふうに、昔みたいに笑えたの。
松田深緒
袋の中を見ながら、ふと口を開く。
松田深緒
止まる。 空気が静かになる。言ってしまった。 深緒は少し俯く。陣平も、何も言わない。
数秒後。
松田陣平
ぶっきらぼうな声。深緒が顔を上げる。陣平は前を向いたまま歩き出す。
松田陣平
その横顔は、少しだけ寂しそうだった。
松田深緒
二人で、並んで歩く。寒い夜だった。
そうやって長い時間をかけて、少しづつ、日常が戻ってきてた。
でも、その頃からお兄ちゃんが壊れ始めた。
いや、ほんとは元々壊れていたのかもしれない。それを必死に隠して、やってきたのだ。
夜中。
喉が渇いて部屋を出ると、リビングの灯りがついていた。
松田深緒
机へ向かったまま、陣平が片手を上げる。
松田陣平
テーブルの上には、 空の缶コーヒー。 煙草。資料。爆弾事件の記事。 深緒は少し眉を寄せた。
松田深緒
松田陣平
松田深緒
陣平は答えない。深緒は机へ近づく。爆弾犯の資料には、細かい書き込みが増えていた。
松田深緒
松田陣平
低い声。視線は資料から動かない。
松田陣平
その声だけで分かった。 お兄ちゃんも、まだあの日から動けていないのだ。 研二が死んだ、あの日から。
松田深緒
松田陣平
松田深緒
松田陣平
深緒は机の煙草を取り上げる。
松田陣平
松田深緒
松田陣平
松田深緒
松田深緒
松田陣平
陣平は深い溜め息をつく。でも。無理やり取り返そうとはしなかった。
松田深緒
松田陣平
松田深緒
陣平は、なにも言わない。
松田深緒
松田深緒
その瞬間。陣平の目が、ほんの少し揺れた。でも、すぐに視線を逸らして、ぶっきらぼうに言う。
松田陣平
松田陣平
そう言って、深緒の頭をわしゃわしゃと撫でた。嬉しくて、思わずニヤけた。
松田深緒
陣平も、少しだけ笑う。
松田陣平
その笑顔を見て、深緒は安心する。お兄ちゃんがいる。まだ隣にいる。だからきっと、この先も大丈夫だと思った。 それなのに。
3年前の11月7日、研二が死んだ日と同じ日に、お兄ちゃんは死んだ。