禁断の

そこは充分広いものの、ものが雑多に置かれた部屋だった

隠れられればやり過ごせるとは思うが、動きにくいのも事実

ﾊﾞﾝｯ!!

まずいな、もう追いついたのか

あ、当てにしてはないんだ

今即答じゃなかったよね？考えたよね？

つかつかと近づいてくる

離れようとすると、出雲に引き留められた

ﾊﾟｧﾝｯ

オーナーらしき人が姿を見せたと同時に発砲してきた

何も言わないところに殺意を感じる

当たらなかったからいいものの… 危険すぎる

ライですら、顔が青ざめている

…は？

ﾊﾟｧﾝｯ

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

ぐいっと手を引かれ、押し込まれるように物陰に誘導された

ライがとっさに押し倒してくれたおかげでなんとかしのげたみたいだ

自分が狙われたのはわかったはずなのに、体が動かなかった…

頭もたぶんクリアじゃない

そのせいで気づけなかった___

メガネが外れたことに。

俺を引き寄せてくれているライを至近距離からまっすぐ見つめてしまった

俺を見たライが目を見開く

はっとして目元に手を当てる

メガネの感覚がない

さっと周りを見回すとさっき立っていた辺りに転がっていた

…やってしまった

慌てて目を逸らす

ライに顎を掴まれそうになる

まずい…これ以上見られるのはだめだ

ﾊﾟｧﾝｯ

くそ…こいつ、危険すぎるな

ライも同じことを思ったのだろうか

ぐっとさらに引き寄せてきた

思わずふっと落ち着くような安心感と やさしい匂いがする

…思ったよりちゃんとした人なのかも

てかプロだな

敵対しているのは分かったうえで、いま何が必要かをちゃんと判断できるタイプ

それが休戦という形になっても、線引きできるところはまあ評価できるかもな

味方についたら頼もしいんだろうなぁ

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…

無事に捕まったらしい

まあそりゃそうだ

ライにそっと声をかけられる

ライはそう俺の耳元で囁くと、あっさり 表に出ていった

…行ったか？

この穏やかな空気が好きだ

"いつも通り"で俺の失敗を絶対責めない

やさしいふたりに恵まれたと思う

だからこそ…

ほんとうに申し訳ない

落ち込んでる場合じゃないのはわかってるんだけど…