テラーノベル
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凛音
凛音
僕の中で、君が揺れてる。 魂だけになった君は、僕の心臓に溶けて、 呼吸の代わりに、鼓動の代わりに、優しく脈打ってる。 けれど——ある夜、君が"喉の奥で名前を呼んだ"。 それは声じゃなかった。 音でも、言葉でもない。 それは、意志だった。
りうら
……君の魂が、外に出たがってる。 僕の内側にいたはずなのに、指先を動かそうとしてる。 ……目を開けようとしてる。 そして、君の“身体”が動き出した。 とっくに冷たくなっていたはずなのに。 もう、人間じゃないはずなのに。 その指先から伸びていくのは、白いヒレ。 その背中から突き出しているのは、黒く濡れた鰭。 ——君は、僕に似てきている。 いや、違う。 僕とは、もうちがう。 君は、“僕以上”のものになりかけている。
暗い。けれど、あたたかい。 胸の奥で誰かの声がしてる。 懐かしいようで、怖いようで。 りうら? ——僕、まだ生きてるの? いや、死んだんだ。君に殺されて、沈んだんだ。 なのに、手が動く。 身体が水の中を、まるで海蛇のように漂ってる。 ……違う。 これは僕の身体じゃない。 こんなに長い尾なんて、生えてなかった。 背中に……羽? ヒレ? 目を開けた。 周囲に光はない。 なのに、見える。深海のすべてが。 珊瑚が震えて、魚たちが逃げて、貝たちが口を閉ざす。 そして——そこにいる。 りうら。 青白く、ほほ笑んでる。 だけど、その目は涙に濡れていた。
りうら
初兎
りうら
海には、誰も知らない“神”がいる。 愛を捧げた人間と人魚を呑み込み、 “新しい種”として、もうひとつの命を生ませる。 それは「人間でも人魚でもない」存在。 意志をもった呪い。 美しさの中に狂気を抱いた、深海の使徒。 りうらは、すでに“神の右手”だった。 そして今、初兎は“左手”となった。 ふたりはそのまま、海の王宮へと昇った。 重い珊瑚の門が開き、数百年閉じられていた“深海の祭壇”が目を覚ます。 青黒い光が差し込み、 ふたりの尾が絡まり、 肌が溶け合い、 名前さえ一つになった。 りうらも初兎も、もう“ひとり”だ。 かつて海を呪い、愛を信じなかった神さえも、 彼らの深すぎる絆には目をそらすしかなかった。 やがて、海の底に語り継がれるだろう。 「深海にはふたりの神がいる」と。 一体は美しく歌い、 一体は無言で愛を伝える。 そのふたりに出会った者は、 決して陸には戻れない。 けれど、誰も後悔しない。 彼らの“愛”は、それほどまでに、 ——甘美で、破滅的で、美しかったから。
凛音
凛音
凛音
コメント
3件
五等分の花嫁みたいなネーミングやね(( さぶから失礼しやす
......深海の神!かっこいい!()