颯
俺の家族ってさー温泉好きやん??
行く場所は決まって隣町にある温泉街なんやけどさ
今日はこの旅館の温泉、今日はこの施設にある露天風呂ってその日の気分で行き先を決めとったわけね
まーいいわ、話してくわ笑笑
その日は紅葉を見ながら温泉を楽しもうと、露天風呂が人気の温泉旅館に行って
温泉って昼間、全然人が居らんねん、俺らの他には客がおらんかってんな?
「やった、貸切や!」
心の中でみんなガッツポーズをしとったんさ笑
天気もいい日やったし、外の空気を吸いながら入る露天風呂は最高って思いながら、親父と脱衣所行ってんな?
脱衣所には綺麗にカゴが並んどって、掃除もされとる状態やったん。
ほんで、脱衣所で服を脱いどったら
「忘れ物してまったやん、車まで取りに行ってくるわ」
って親父が言って、そのまま俺を一人残して小走りで車まで取りに行ったわけさ
「くそみたいにドジやなー」
って親父の背中に向かって言いましたんやけど、親父が戻ってくるまで露天風呂を独り占めできると思ってちょびついとってんな?笑
早く服を脱いで入ろって思ってシャツのボタンに手をかけた時や。脱衣所の空気が変わったねん。
さっきまではいい雰囲気だったのに、急になんか変な空気に変わったんさ
「うわ…なにこの嫌な予感…」
それでも早く露天風呂に入りたかったで、そんなもん気にせーへんで脱衣所から出て、露天風呂に向かったんよ
頭やら体やら洗って露天風呂に入って目つぶって全身で温泉の気持ち良さを感じて「あぁ、やっぱり温泉って最高に気持ちええなぁ。」とますます虜になってまったその時ね。
ふと両目を開けたんよ、うっすらと人影のようなもんが見えて
「あれ?いつの間に入ってきたんや…」
と思ったんね?
どんなけ目つぶっとっても、人が入ってこや足音はするし、お湯の中に入る時でも水の音はするやん??
全くせーへんのやて
人影はグレーみたいな色しとって、湯気でハッキリ見えんかったけど女っぽかってん。男風呂なのになんで?とか思いながらちょっと興奮したってんな爆笑
髪の毛は頭の上で一つに結んどって、20代後半か30代前半くらいの若い感じやってんな
私 俺はお湯を手ですくって、肩にゆっくりかけとるその女の人影をずっと見とったん、え、俺変態??笑
「一人旅なのかや?」
いらぬ妄想をしながら目つぶって、また開けたんね、
俺、鳥肌が立ったねん
目の前から女の人影がいなくなっとったんやて
目つぶったのはほんの1~2分やし、その間なんの物音もなしにドアを開けた音もせえへん。
俺は温泉どころやねーわと思っとったんさ
急いで露天風呂から出て、脱衣所に向かうためにドアの方を見たんね、脱衣所に人がおんねん
さっきの女の影で
「なんやて、普通にあがっただけか…」
ホッとしつつも脱衣所のドアに手をかけた時、後ろに人の気配を感じたんねんな?振り向いたら誰も居らんかった露天風呂にさっきの人影がおったんやて
「わぁー!」
今まで出したこともねえ声を出して脱衣所に駆け込んで急いで服きて、外に出たん
廊下出てロビーに行くときに親父とバッタリあって慌てて走ってくる俺に親父が「どうしたん?」と聞いてきたで俺がさっきの話をしてあげたんよ
そしたら丁度通りかかったフロントのやつが寄ってきて
「お客様も見たんですか?実は一部のお客様から、そのような体験をお聞きしておりまして…」
って言ってきて
見ただけでそれ以上の事はないらしいけどたまに女の幽霊が客の前に現れるらしい
俺はこれ以来その温泉には怖くていけへんし笑
見方によっては幽霊も入りたくなるほどの名湯だったりするのかもわからんな笑
