あーもう無理!
私、何してんだよ!?
鏑木に彼女がいたなんて、
それに、私なんかより遥かにまし。
どうしよう。
こんな陰キャヲタク、
誰も相手してくれないや。
きっと、私と森さん彼女にするなら? ってアンケートあったら、
全員森さんだなぁ……。
きっと、鏑木もみんなと同じ森さんにいれるに違いない。
私には、魅力がないから。
昔からそう。
小さい頃からおとなしくて、
外遊びより室内で本を読んでいる方が好きだった。
大人からは、
「なんで歩美ちゃんだけ」
いつも言われた。
親からは、
「もう少し、普通になるように努力しよう」って、そればかり
私のコトなんて……。
一切褒めてくれなかった。
そんな時
あの人に出会った。
その人は、いつもわかってくれた。
私の読んだ本の話、
書いた本の話
描いた絵の話
ちょっとした豆知識
世界の未来とか色々
地図の話に、
聴いた歌の話
新しい発見
勉強も教えてくれた。
いつの間にか、
暇つぶしだったのに、
幼稚園をか卒園する時には
足し算、引き算、掛け算、割り算の筆算ができていた。
でもその人は、
卒園したあと、遠くに引っ越した。
鹿児島だった。
おいもいっぱい食べられるね!
ロケット見られるね!
少し温かいね!
そう言って別れた。
それ以来あってない。
あーあ、鏑木に彼女かぁ……。
どんな回想をしても無くならない事実
舞い上がってた。
もしかしたら、あの人みたいに
認めてくれるかなって思ってた。
でもそれは、
とんでもない勘違いだった。
自分がバカらしくなってきた。
今まで積んできた何かが、
すごい勢いで崩れていくのを感じた。
あーあ、
あーあ、
あーあ……。