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だいふく
麗央
蓮
朔矢
零斗
龍牙
香月
だいふく
だいふく
その日、午後の陽射しは静かでやわらかだった
痛む腰も、体のだるさも、だいぶ和らいできている
部屋に閉じこもりきりだった麗央は、誰もいないのを見計らって、ふらりと裏手の中庭に足を踏み出した
少しくらい……なら
空を見上げて深く息を吐いたときだった
???
???
突然、背後から男の声がした
若く、落ち着いていて――どこか品のある声音。けれど、ぞわりと背筋に冷たいものが走った
麗央が振り返ると、そこには一人の男が立っていた
白Tシャツにスラックス。軽やかな見た目とは裏腹に、その目だけが全く笑っていなかった
麗央
麗央が一歩引くと、男はその反応に満足そうに笑った
香月
その瞬間、全身が強ばった
この名前――昨日、蓮たちの部屋越しに聞いた声
“あの子に会いたい”と言っていた、外の人間
香月
麗央は喉の奥が詰まり、声が出なかった
逃げなきゃ。けど足が動かない
笑顔を浮かべながら、香月はゆっくりと歩み寄ってくる
香月
香月
……やばい
麗央の心が叫んだ瞬間、
零斗
背後から、鋭く呼ぶ声が響いた。零斗だった
続いて蓮と龍牙の姿も現れる。蓮の顔が、明らかに怒気をはらんでいた
香月
香月はあっさりと距離を取った
けれど、視線はまだ麗央を離さない
香月
蓮
蓮の低い声に、香月は軽く手を振った
「じゃあまた」と言い残し、あっさりその場を去っていく
だがその背中が遠ざかっても、麗央の中に染みついたあの目の感触だけは、簡単に消えてくれなかった
香月の視線は、爪跡のように、麗央の中に、確かに残っていた
香月が完全に敷地を出ていったあと、場に残ったのは、張り詰めた緊張と、麗央の震える肩だった
朔矢
そう口にしたのは朔矢だった
いつもの軽さを装った声。でもその目は笑っていなかった
朔矢
冗談のように言いながら、麗央の後ろに回って、ふいにその腰に手をまわす
朔矢
麗央
小さくうなずく麗央の首元に、朔矢は唇を寄せる
朔矢
その囁きは、優しいようでいて、ぞっとするほど深い執着がにじんでいた
零斗が横から睨む
零斗
朔矢
朔矢は肩をすくめ、もう一度だけ、麗央の耳元に唇を寄せた
朔矢
麗央は小さく身をすくめたまま、声も出せなかった
けれど、心のどこかが確かに“この人に近づくのも、逃げるのも怖い”と叫んでいた
コメント
4件
(﹨#'∇'#/)<サイクウウウウウウウウウウウウウ.ᐟ.ᐟ
天才としか言えないです😭表現も書き方も全部最高だし、ほんとに語彙力なくてすみません(((