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君を幸せにするのは僕じゃない   さところ

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君を幸せにするのは僕じゃない さところ

1 - 君を幸せにするのは僕じゃない さところ

♥

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2021年08月15日

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彼氏の

さとみくんとは

付き合って

約1年になる。

そろそろ

付き合って1年記念日なので

僕達は

お揃いの指輪を買うことにした。

ころん

ねぇさとみくん!

ころん

どんな指輪がいいかな〜?

さとみ

ん〜、これとかどう?

そう言って

見せてきたのは

指輪にダイヤが埋め込まれている

ものだった。

ころん

え!?

ころん

なにこれ!?

ころん

超綺麗じゃん!

さとみ

だろ?

ころん

うんっ!

ころん

でも、高そう.......。

さとみ

値段なんて気にすんなよ、ころんが喜んでくれればいいんだからさ。

ころん

さとみくん.......

ころん

ありがとうっ!

僕達は

幸せだった。

今日は

さとみくんと

お揃いの指輪を買いに行く日だ。

ころん

指輪、楽しみだねっ!

さとみ

そうだな。

すると

さとみくんの

携帯がなった。

さとみ

あ、ごめんころん。

さとみ

少しだけ、電話してきていい?

ころん

.......うん、いいよ。

さとみ

ありがとっ。

さとみくんは

僕の横で

誰かと電話している。

僕は

黙って電話の内容を聞く。

しばらくすると

さとみくんは

なぜか焦りだしたのだ。

なにか大事な用事でもあるのかな?

そう思っていると

さとみくんは電話を切り

深呼吸をしだした。

まるで落ち着けと自分に

言っているかのように。

ころん

さとみくん、どうしたの?

さとみ

あ、いや、別に.......。

ころん

なんで嘘つくの?

ころん

何かあったんだったら、言ってよ!

さとみ

.......実は

さとみ

俺の元恋人が事故で意識不明らしくてさ。

ころん

え、そうなの?

さとみ

うん。

さとみ

あ、でも、別に俺には関係ないし

さとみ

ころんがいるからって言っといたから大丈夫だよ。

ころん

.......そっか。

さとみ

じゃあ、指輪買いに行くか。

ころん

うん。

気まずい空気が

流れる中

僕達は

指輪を買いに行った。

その日から

さとみくんは

ずっと元恋人の人の

名前を呟いているのだ。

さすがに僕も

腹が立ってくる。

そんなに心配なら

早く行けばいいじゃん。

さとみ

......莉犬。

ころん

ねぇ、さとみくん。

さとみ

.......何?

ころん

そんなに、莉犬さんの事心配なら行けば?

さとみ

えっ、でも.......。

ころん

僕は別にいいから、早く行ってきなよ。

さとみ

.......

さとみ

ありがとう。

さとみくんは

とても嬉しそうな表情で

家を飛び出して行った。

ころん

.......バカ。

僕の目からは

ポロポロと涙が

溢れてきている。

さとみくんは

僕より

元恋人を優先した。

そう思うだけでも

胸が痛くなってくる。

僕は

目からこぼれ落ちる

涙を拭き続けた。

次の日の朝

僕はいつの間にか

ソファで寝てしまっていた。

ころん

.......ふぁぁ。

ころん

体痛い。

痛い体を持ち上げて

僕はさとみくんを探す。

でもさとみくんは

家には帰ってきてないようだ。

ころん

.......そんなに、元恋人が大事なんだね。

洗面所の

鏡を見ると

目が腫れていて

やつれている僕が映っていた。

ころん

はは、変な顔。

僕は

無理やり笑顔を作る。

だが笑顔にならない。

笑顔の作り方を忘れてしまった。

ころん

.......

僕は

枯れて出ない涙を

流さずに

ただうめき声をあげる。

その夜

さとみくんから電話が来た。

ころん

もしもし。

さとみ

あ、ころん。

ころん

何?

さとみ

ごめんな、帰らなくて。

さとみ

俺、どうしても莉犬のことが心配なんだ。

ころん

.......そう。

もういいよ

僕は十分分かってるから。

さとみ

本当にごめん。ポロポロ

さとみくんは

なぜか泣き始めた。

なんで?

泣きたいのは僕の方だよ。

さとみ

ごめん。

謝るなら

最初からお見舞いなんて行かないでよ。

帰ってきてよ。

辛いのは

苦しいのは

僕の方なのに.......。

ころん

ねぇさとみくん。

さとみ

.......何?ポロポロ

ころん

その人が目覚めるまで、帰ってこなくていいよ。

さとみ

え?

ころん

だって、心配なんでしょ?

ころん

だったら、いいよ。

ころん

僕は大丈夫だから。

さとみ

ころん.......。

さとみ

ありがとうな。

ころん

うん。

ころん

じゃあ、また今度。

そう言って僕は

電話を切る。

あれから1ヶ月後。

元カノさんが目を覚ましたらしい。

目を覚ましたから

さとみくんは

また前みたいに

家にいてくれる。

僕のそばに居てくれる。

そう思い

とても嬉しい気持ちになる。

だが

帰ってきた彼を見て

僕は目を丸くする。

目はパンパンに腫れてるし

目の下のくまだって酷い。

そして

さとみくんは

ただ僕にずっと

謝り続けてる。

さとみ

ごめん。

さとみ

ごめん。

さとみ

本当にごめん。

僕は別に

そんな言葉が聞きたかった訳じゃない。

謝って欲しかった訳じゃない。

それなのに

さとみくんは今も

ずっと謝っているのだ。

ころん

なんで、謝ってんの?

さとみ

.......

さとみ

莉犬、事故の後遺症が酷くてさ

さとみ

もう、前みたいに普通に生活できない体になっちゃったんだって。

ころん

.......で?

さとみ

だから、俺は莉犬と一緒にいたい。

さとみ

俺が一生支えてあげたいんだ。

さとみ

許してくれ、ころん。

僕は

とてもとても腹が立った。

僕を散々放置しといて

帰ってきたら

よりを戻したいってふざけんなよ。

僕の気持ちも考えてよ。

僕よりも

莉犬さんの方が

大事なんだ。

莉犬さんと一緒にいたいんだ。

酷すぎるよ.......。

ころん

最低っ。

さとみ

金なら、いくらでもやるから

さとみ

だから、俺と別れてくれ。

なんでこの人は

金で解決しようとしてんの?

金さえあげれば

僕が許してくれるとでも思ってんの?

酷すぎるよ。

ころん

お金なんていらない。

ころん

僕が言いたいことは1つ。

ころん

.......

ころん

幸せになってね。

さとみ

.......ごめんな。

そう言って

さとみくんは

荷物をまとめて

家から出ていった。

ころん

.......

ころん

なんで、あんなこと言ったんだろ.......。

ころん

あんなこと、1ミリも思ってないのに。

僕は

今まで我慢してた

涙を流す。

後から知ったことだが

僕とさとみくんが

別れた日は

予約していた指輪が

できあがった日だったのだ。

あれから半年ほど経った。

僕の家に

ある招待状が届いた。

それは

さとみくんの

結婚式の招待状だった。

ころん

さとみくん.......。

ころん

.......結婚するんだ。

嬉しい気持ちと

悲しい気持ちが合わさって

変な気持ちになる。

ころん

ま、行こうかな。

そう思い

僕は

クローゼットの奥に眠っている

スーツを取り出す。

そして結婚式の日

僕は会場に行った。

ころん

わ〜、綺麗。

飾り付けがとても

豪華だった。

莉犬くん

あ、あの〜。

ころん

はい?

莉犬くん

ころんさんですか?

ころん

そうですけど。

莉犬くん

あっ、俺のこと知ってますか?

ころん

.......いや、覚えてないですね。

莉犬くん

そうですよね。

莉犬くん

俺、この度さとみくんと結婚させていただくことになった

莉犬くん

莉犬と言うんですけど。

ころん

莉犬?

莉犬くん

あれ、さとちゃんから聞いてませんか?

莉犬くん

半年くらい前、俺入院してたんですけど.......。

ころん

.......。

僕はようやく思い出した。

この人が

意識不明だった人。

さとみくんが毎日

お見舞いに行ってた人。

ころん

あ、そうなんですね。

莉犬くん

はい、あの時はありがとうございました。

莉犬くん

さとちゃんがいてくれたおかげで俺は今こうして生きています。

莉犬くん

本当にありがとうございました。

ころん

.......

僕は正直言って

この人の所へ行くことを

最初から許可した訳じゃないし

あのことについては

許すつもりなんて一切ない。

でも僕は

この2人の結婚は

素直に祝福したかった。

ころん

全然、大丈夫ですよ。

ころん

それに、お礼を言うならさとみさんに言った方がいいと思います。

莉犬くん

ありがとうございます。

莉犬くん

それでは、楽しんでいってくださいね。

ころん

あ、はい。

そう言って

莉犬さんは

どこかへ行ってしまった。

ころん

.......まぁ、幸せになってくれたらそれでいいや。

小さな声で

呟くのだった。

そして

結婚式が終わった。

美味しいご飯も食べれたし

そろそろ帰ろうかな。

そう思っていた時

さとみ

ころん!

ころん

さ、さとみ.......くん。

僕のことを振った

彼がこちらに来ていた。

ころん

.......なんか用?

さとみ

ころん、あの時はありがとうな。

さとみ

お前のおかげで、こうして結婚式が出来た。

さとみ

本当にありがとうな。

ころん

.......僕は別に何もしてない。

ころん

だから、感謝しなくていい。

少し荒い口調で

言う。

さとみ

.......なぁころん。

ころん

何?

さとみ

お前って優しいな。

そう言いながら

僕の髪をグシャグシャに

撫でられた。

さとみ

そういう優しい所が、好きだよ、俺は。

ころん

.......え?

さとみ

じゃあな、ころん。

さとみ

お前も幸せにな。

さとみくんは

そう言って

駆け足で去っていった。

ころん

.......バッカじゃないの?

ころん

あんなんされたら、また好きになっちゃうじゃん.......!

ころん

ばかぁ。

僕は半年かけて

やっとさとみくんへの

恋愛感情がなくなったのに

あんなことされたら

また好きになっちゃうよ。

ころん

.......僕のそばにいて欲しかった。ボソッ

ころん

隣にいて欲しかった。

だが

そんなことを願っても

もう遅い。

さとみくんには

莉犬さんっていう

大事な人がいる。

僕はさとみくんの

隣にいたいって願っちゃダメなんだ。

自分にそう言い聞かせる。

そして僕は

どんどん見えなくなる

さとみくんの背中を

ただひたすら

見つめているのだった。

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