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ミヤコ
ちょっと、ダイ！
ミヤコ
今日掃除サボったでしょ！！
ミヤコ
リビングに髪の毛が落ちてたんだけど！
ミヤコ
ずっと家にいるくせにあり得ない！
ダイ
え……。
ダイ
ご、ごめん……。
ダイ
掃除はしたよ？
ダイ
掃除機をきちんとかけたし……。
ミヤコ
はぁ！？
ミヤコ
掃除できてないから言ってんの！！
ミヤコ
なんで久しぶりに帰ったら家が汚いのよ！
ミヤコ
本当、あり得ないんだけど！
ダイ
そ、そうは言うけどさ……。
ダイ
俺も仕事してるんだから家事は少し緩い目で見てくれないか？
ミヤコ
はぁ！？
ミヤコ
そういうの言い訳っていうんだよ！
ミヤコ
なんでずっと家にいるくせに仕事ができないのよ！
ダイ
だから、俺も仕事で納期とかがあるからさ……。
ミヤコ
言い訳しないでって言ってんの！
ミヤコ
来週からフランスに出張だから。
ミヤコ
今度返ってきたときに汚かったらもう離婚！
ミヤコ
そもそも、アンタが結婚したいっていうからしたんだからね！
ミヤコ
ちゃんと誠意を見せなさいよ！？
ダイ
そんなに離婚離婚言わないでくれ……。
ダイ
俺も、頑張るからさ。
ミヤコ
家にいるから当たり前！
ミヤコ
そんな当たり前のことを偉そうに言わないで！
一週間後
ダイ
ミヤコ、フランスに着いた？
ミヤコ
着いたけど、なに？
ダイ
な、なにって……
ダイ
特に用があるわけではないけどさ。
ダイ
ちゃんと着いたか心配になるじゃん。
ミヤコ
はぁ？
ミヤコ
アンタに心配なんてされたくないんだけど？
ミヤコ
子どもじゃないんだから(笑)
ダイ
そ、そう言わないでくれよ……。
ダイ
海外だし、ちゃんと着いてるか気になるじゃないか。
ミヤコ
あーはいはい。
ミヤコ
いちいちうざいなぁ……。
ミヤコ
仕事とはいえ、フランスっていう旅行としても楽しめる場所なの！
ミヤコ
アンタからの連絡なんかが来たらテンションが下がるの！！
ミヤコ
それに、フランスに来るのは初めてじゃないし。
ミヤコ
毎回アンタへの報告が必要なわけ？
ダイ
……分かった。
ダイ
ごめん、邪魔するような連絡をしてしまって……
ミヤコ
そうよ、分かればいいの。
ミヤコ
じゃ、返るのは二週間後だから。
ミヤコ
ちゃんと家の掃除しといてよ！
ミヤコ
汚かったらマジで萎えるから！！
ダイ
分かってるよ……。
数日後
トシ
ダイ、久しぶりだな？
ダイ
トシじゃないか……！
ダイ
本当、久しぶりだな。
ダイ
元気にしていたか？
トシ
あぁ、元気だよ。
トシ
ダイは元気だったか？
ダイ
あぁ。元気にやってるよ。
ダイ
それにしても、連絡くれるなんて珍しいな？
ダイ
数年ぶりか？
トシ
あぁ、ちょっと相談に乗ってもらいたくて。
ダイ
相談……？
ダイ
珍しいな、トシがそんなこと言うなんて。
トシ
実はな、彼女へのプロポーズを考えているんだ。
ダイ
そうなのか……！
ダイ
おめでとう。
ダイ
そういえば、今は海外にいるんだったよな……？
ダイ
現地の人と結婚するんだな？
トシ
いや、結婚相手は日本人だよ。
トシ
出会って一年も経っていないんだけどな、運命を感じて(笑)
ダイ
なんだそれ(笑)
ダイ
お前、そんなロマンチックなこと言うような奴だったか？
トシ
お国柄かもしれないな(笑)
ダイ
海外だからなかなか会えないが、ぜひ一度会ってみたかったな。
トシ
そう言うかもと思ってな(笑)
トシ
この間、二人でデートした時の動画があるんだ。
トシ
メールで送っておいたから
トシ
それを見てくれないか？
ダイ
……ちょっと待ってくれ。
ダイ
トシ、突然で申し訳ないんだが、
ダイ
彼女の名前を教えてもらってもいいか？
トシ
彼女の名前？
トシ
もちろん、ミヤコさんだ
ダイ
ミヤコ……
トシ
ダイ、どうかしたのか？
ダイ
トシ、信じがたい話かもしれないが……
ダイ
聞いてもらえるか？
トシ
なんだよ？
トシ
どうかしたのか？
ダイ
彼女……
ダイ
ミヤコは、俺の妻だ
トシ
……は？
トシ
いやいや、待ってくれよダイ
トシ
冗談にしてはキツくないか？(笑)
ダイ
俺、こういうことで冗談を言ったことなんて
ダイ
一度もないと思うんだけど
トシ
……本気か？
ダイ
あぁ。
ダイ
結婚式の時の写真があるから見てくれ
トシ
……本当じゃないか
トシ
ミヤコさん、独身だって言ってたぞ？
ダイ
トシは仕事の関係で俺たちの式に参加できなかったな……
ダイ
まさか、こんなことになるなんて
トシ
ダイ、申し訳ない……
トシ
お前の奥さんと不倫してしまうなんて……
トシ
浮かれて見たくもないであろうものを見せてしまって……
ダイ
学生の頃からの付き合いじゃないか。
ダイ
お前がそんなヒドイことをする男だなんて思ってないよ。
ダイ
ミヤコに騙されていたんだろ？
トシ
あぁ……。
トシ
そのようだな。
トシ
俺、ミヤコさんとは別れるよ
ダイ
トシ、待ってくれ
トシ
……え？
ダイ
俺に、作戦があるんだ。
ダイ
心苦しいかもしれないが、もう少し恋人同士を演じてくれないか？
トシ
でも……
トシ
そんなの、ダイを傷つけてしまうだけだろ？
ダイ
そんなことない。
ダイ
実は、俺さ……
ダイ
ミヤコからモラハラを受けてるんだ。
トシ
え……！？
トシ
ミヤコさんが……
トシ
そんなことをしてるなんて……
ダイ
信じられないよな。
ダイ
俺も、付き合ってた時から想像したら、信じられない。
ダイ
最近、モラハラの具合が酷くてさ……
ダイ
ミヤコとの結婚生活に終止符を打とうと思っているんだ
トシ
分かった。
トシ
俺に出来ることがあれば、協力するよ
ダイ
すまない、助かるよ
２週間後
ダイ
ミヤコ
ダイ
お前、そろそろこっちに帰ってるんじゃないか？
ダイ
どうして家に戻ってこないんだ？
ミヤコ
だーかーらぁ！
ミヤコ
勝手に連絡してくるなって言ってんじゃん！
ミヤコ
あのさ、もう家に帰るつもりはないから！
ダイ
は！？
ダイ
どういうことだよ！！
ミヤコ
アタシ、ダイとは離婚しようと思ってるの
ダイ
は！？
ダイ
なんでだよ！
ダイ
突然すぎるだろ！
ミヤコ
突然じゃないわ、ずっと考えていたことなの。
ミヤコ
アタシみたいな人間はね、家庭を持つべきじゃなかったわ。
ミヤコ
子どももいないし、簡単に離婚できるでしょ？
ダイ
なんだよそれ……
ダイ
お前、本当にそれが理由か……？
ダイ
他に、好きな男がいるとかじゃないのか？
ミヤコ
はぁ？(笑)
ミヤコ
なに、今日はヤケに勘が良いじゃん？(笑)
ミヤコ
そうよ～？(笑)
ミヤコ
慰謝料だって払ってやるわ！(笑)
ミヤコ
どうせ、手切れ金程度の数十万が欲しいんでしょ？（笑）
ミヤコ
そんなの払ってやるから、離婚してくれる？(笑)
ダイ
お前……
ダイ
結婚生活ってそんなに簡単に終わらせていいものじゃないだろ
ダイ
なんでそんな簡単に言うんだよ……！
ミヤコ
だって、ダイってさぁ……
ミヤコ
仕事してるとか言うけど、在宅だし
ミヤコ
家の事ちゃんとできてないし。
ミヤコ
アタシってさ、外でバリバリ働いてるからさぁ……
ミヤコ
アンタみたいなのって見てて腹立つのよねぇ(笑)
ダイ
なんだよそれ……
ミヤコ
慰謝料は払ってあげるから。
ミヤコ
だから、問題はないでしょ？
ダイ
ミヤコ……
ダイ
お前がそこまで非道な人間だったなんて思わなかった
ミヤコ
非道？(笑)
ミヤコ
家にいて、家事をロクにできない人が何を言ってるの？
ミヤコ
とにかく、離婚しか選択肢はないから！
ダイ
そうか……
ダイ
分かった。
ダイ
ミヤコに気持ちがなくなったなら、それしかないだろうな
ミヤコ
あら、本当今日は何でも言うこと聞いてくれるね
ミヤコ
前からそうだったら良かったんだけどなぁ(笑)
ミヤコ
ま！
ミヤコ
いまさらよくなったところでヨリを戻すつもりなんて
ミヤコ
ないんだけどねっ！(笑)
数か月後
ミヤコ
ダイ、久しぶりね。
ダイ
ミヤコ、久しぶりだな。
ダイ
ミヤコから連絡してくるなんて珍しいな
ミヤコ
そう言わないでよ、久しぶりに連絡したいと思ったの。
ミヤコ
元気にやってるの？
ダイ
あぁ、それなりに……
ダイ
ミヤコの方は？
ミヤコ
私は、幸せではないんだ……
ミヤコ
そんなにうまくやってないんだ……
ミヤコ
会社も辞めちゃったし……
ダイ
え！？
ダイ
離婚する前、あんなに仕事に誇りがありそうだったのに
ダイ
辞めたんだな……
ミヤコ
色々あってね……
ミヤコ
そこで、相談があるの。
ミヤコ
私とヨリを戻さない？
ダイ
え？
ダイ
どうしたんだよ、突然……
ダイ
俺がいない方が良い生活を送れるんじゃなかったのか？
ミヤコ
アタシが間違えていたの。
ミヤコ
離れて生活して初めて気づいたの。
ミヤコ
アタシはダイじゃなきゃ生活できないって。
ダイ
違うだろ？
ダイ
トシにフラれたんだろ？
ミヤコ
え？
ミヤコ
ど、どうしてアンタがトシさんのこと知ってるの……！？
ダイ
トシは学生時代の俺の友人だ。
ダイ
お前にプロポーズすることまで考えていたらしいぞ
ミヤコ
え……！？
ミヤコ
じゃ、じゃあなんで……？
ミヤコ
どうしてアタシはプロポーズされなかったのよ！
ダイ
それは、俺の妻だったからだ。
ダイ
昔と変わらずいい奴なんだ。
ダイ
だから、俺と結婚してる時に不倫してるってことを
ダイ
知ってからは、別れようとしていたんだ。
ミヤコ
えっ……！
ミヤコ
トシさんにそんなこと言ったの……！？
ミヤコ
なんで、アンタは余計なことばかりするのよ！
ダイ
余計なことって……
ダイ
まさか、ミヤコが不倫してるなんて思わないだろ。
ミヤコ
アタシ、そろそろトシさんにプロポーズされれると思って……
ミヤコ
仕事だってやめたのよ！？
ミヤコ
アンタ、どうしてくれるのよ！
ダイ
いや、それは俺には関係ないし……。
ダイ
そもそも、プロポーズされてから辞めるものじゃないのか？
ダイ
もし、本当にプロポーズされたらの話だが……。
ミヤコ
彼が遠距離恋愛に抵抗があると思ったからよ
ミヤコ
それが、アンタが余計なことを言ったせいで
ミヤコ
フラれてしまうなんて……
ミヤコ
ほんっとうにあり得ない！
ミヤコ
どうやって責任取ってくれるのよ！
ダイ
責任って……
ダイ
俺になんの責任があるんだよ
ミヤコ
アタシが安定した生活を送れなくなった責任！
ダイ
これは不倫したミヤコが悪いだけだろ。
ダイ
そうそう、トシはミヤコが不貞を働いた証拠を
ダイ
たくさん俺に送ってくれたよ
ミヤコ
え……？
ダイ
これらを元に、お前には不倫の慰謝料を請求するから。
ミヤコ
ちょ、ちょっと待って……！
ミヤコ
なにそれ……
ミヤコ
トシさんに連絡するから！
数分後
ミヤコ
あの、トシさん……
ミヤコ
今、大丈夫？
トシ
ミヤコさん、もう別れたから連絡しないでって言ったよね？
ミヤコ
そ、それはそうなんだけど……
ミヤコ
あの、ダイから話を聞いたの。
ミヤコ
どうして、私達のことを彼に言ったの？
ミヤコ
トシさんが私達の思い出の動画とかを
ミヤコ
見せなければ、バレなかったでしょ？
トシ
キミはそれを本気で言ってるのか？
トシ
ダイは、俺の古くからの友人だ。
トシ
そんな彼の奥さんだと知っていたら、もちろん交際になんて
トシ
ならなかったさ。
トシ
それに、俺は不倫が大嫌いなんだ。
トシ
だから、ダイには不貞を働いた証拠を提出すると話したよ。
ミヤコ
そ、そんな……
ミヤコ
アタシ、仕事も辞めたんだよ……？
ミヤコ
トシさんのところに行こうとして！
トシ
それはキミが決めたことだろ。
トシ
俺には関係のないことだ。
ミヤコ
そ、そんな……。
トシ
ダイという、俺の友人を傷つけたことを後悔すればいい。
トシ
それじゃあ、もうキミのことはブロックするから、
トシ
二度と連絡しないでくれ。
ミヤコ
そんな……
ミヤコ
そんなぁ！
後日談
ダイ
３年間の婚姻生活に終止符を打ち、ミヤコには慰謝料の請求を行った。
ダイ
ミヤコからは今も、復縁する打診がある。
ダイ
もちろん、受けるつもりはない。
ダイ
そして、トシには慰謝料請求はしていない。
ダイ
彼は、ミヤコに騙された一人で同じ立場だからだ。
ダイ
俺はしばらく一人でいるつもりだ。
ダイ
しかし、彼に新しい春が訪れたら、全力で応援しようと思っている。
ダイ
そして、今回のようにならないために、彼の結婚式には必ず参加しようと思う。
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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