三郎
三郎
三郎
三郎
そんなある日…
二郎
三郎
三郎
と、 可愛くもない悪態をとってしまった。
でもこれでいい。 二郎が幸せになる世界に 僕はいちゃいけない。 だからといって 自分から二郎への関係を 経つのは辛い。 なら嫌われていいんだ という発想に至ったのは 必然的な事で それからずっと こんな態度を続けている。 気がついたら二郎はもう 僕のベッドの上に座っていた。 いつもなら僕がぼーっとしていても ぎゃんぎゃんうるさく喚いてるのに 今日は様子がおかしい。 今もずっと黙ったままだ。 正直そんなのほっといても良かった。 だが、こんな低脳でも 僕の好きな人ではあるので
三郎
と、 わざわざ二郎の方に 向き直ってやる。 しかしまだ二郎は何も言わない。 僕もそれにだんだん腹が立ってきて
三郎
なんて、 また悪態をついた。 するとやっと二郎が口を開いた。
二郎
三郎
二郎
三郎
二郎
自分のなかで悲しみよりも あぁ…ようやくか という方が 大きかった。 いち兄も二郎も中々 年の割に特定の相手を つくらないな。 とは思っていたがこれでやっと。 ぼくは諦められる。 二郎をちゃんとした兄として 見れる。 そう安心していた。 でも肝心なのは誰を好きなのか。 と言うこと。
なんにせよ相手はこの二郎のだ。 変なやつに唆されているだけかも しれない。 まだぶつぶつ文句を言っている二郎の方に 向き直ってや
三郎
と聞いてみた。 ら、二郎からは想像もしていなかった 言葉が飛んできた。 いや、二郎のことだ。 想像しようと思えば 簡単に出来た。 なのに何故それを出来なかったのか… いや多分自分が無意識に その選択肢を消していたんだと思う。 何故なら彼が相手なら もう僕なんか勝ち目がないから。
そう、二郎はあろうことか いち兄を、 山田一郎の事が好き。 と言ったのだ。
あいつは… 僕の気持ちなんか知らないで
二郎
なんて抜かしたんだ。
二郎…どうして大人しく 普通の女性を、 普通の人生を 送ってくれないんだ だから…だから いつまで経っても低脳なんだ…。 僕が二郎を諦めた理由。 それは単純に男だから… しかも兄弟だからという理由だ。 それなのにそんな僕の 抗えない絶対的な理由の 全てに当てはまる いち兄のことを 好きになるなんて… そんなの、僕だって諦めように 諦めきれないじゃないか…。 これならまだいっそ
ヨコハマのヤクザとか、 悪徳警官の方が 諦めが着いたかもしれない。 …でも僕は知ってた。 いち兄も僕と同じく、 二郎に兄弟愛以上の 気持ちを抱いていることを。 あぁ、僕はなんて報われないんだ… どこで…どこで道を間違えたのだろう…
三郎
顔だって 僕といち兄は中々似てる。
三郎
そうだ、 でもよく考えれば 僕はこうなることを 容易に予想できた。 二郎が必要以上の好意をいち兄に 向けていたのだって 知ってたはずだ。 だけど、それは信仰心のようなもので 好きという形になるとは 思っていなかった。
気付くと僕は 勝手に話していた。
三郎
三郎
そんなの自分が一番分かっている。 そして、これ以上にないほど 二郎を傷付ける言葉だというのも 分かっていた。 でもこうでもしないと 自分が自分じゃ無くなるような 気がした。 今は二郎の気持ちがどうとかなんて 考えられなくて いや、もういっその事 嫌いになってほしい ただ その一心だったのかもしれない。
だっていち兄は誰もが 認めるような素晴らしい男で 同じ男として僕もいち兄と 並べるような男になりたいと 常々思っていた。 そんな男が相手で 僕が勝てるわけない。
二郎
二郎
と 放って 僕の部屋を出ていく二郎を 止めることは出来なかった。 でも、これでいち兄を 諦めてくれれば良い。 今の自分の気持ちは歪なんだって 再確認してくれたらいいんだ…。 もし、それでも諦めきれなければ…
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三郎
三郎
三郎
三郎
___気付かないで___