ハッピーエンドの作り方

綺麗だな…海は

私はこんな綺麗になれないな

心臓が跳ね上がった

海の奥に見えた小さな人影が

もがいているように見えて

体が走り出していた

バシャン

大きく息を吸って飛び込んだその先は

あまりにも広すぎた

あぁ、苦しい

体が重い

思うように泳げない

「諦めてしまおうか｣

どこからかそんな声が聞こえた気もした

私は

人が人をいじめる理由は

案外くだらないことしかなくて

きっと誰でもよくて

楽しければそれでいい人

それが正しいと思ってる人

目も合わせずに見て見ぬふりをする人

下を向くことしかできない人

いつからか考えることをやめていた

だから嬉しかったのかもしれない

あの日あの場所で

君は私を見てくれた

君達は私を見てくれた

私に本音で話してくれた

私とちゃんと向き合ってくれた

手を伸ばしてくれた

私はあの時、確かに思ったんだ

あなた達みたいになりたい

人の為にも自分の為にも動けて

優しさと厳しさを与えてくれて

なりたいと思った

誰かが下を向いた時に

手を伸ばせる人に

助けたいと思ったから、きたんだよ

沈んでいく小さな体の腕を

私はその手で強くつかんだ

…ご

…んご

正直、三ツ谷さんかと思った

でも違うなら

一体誰が……

………

「うわっ！落ちた」

「あぁ〜コーラが！」

この声

三ツ谷さんじゃないなら

あなたじゃないかと思った

雪葉さん