テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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運命

第10話 - 運命　その拾

120

2022年03月18日

#歴史

#恋愛

#明治

#呪い

#一次創作

茜

神宮寺さん。

！

茜さん。

茜

こんなところにいたなんて、私、ずっと探していたのよ。

茜

ほら、行きましょう。

茜さん、聞いてください。

僕、嫌な夢を見たんです。

茜

夢？

はい。

茜さんが僕にもう 2度と会いたくないって言って家の中に入ってしまう夢でした。

茜

あら、おかしな夢ね。

茜

そんなことあるわけないじゃない。

茜

ほら、行くわよ。

はい。

いや、

ちがう。

なにかが、おかしい。

まって…

ちょっと待ってください！

茜

？

茜さんは、お見合いの相手を断って僕と結婚してくださいますか？

僕のことが…好きですか？

茜

？

茜

何を言って…

僕が好きって言ってください！

昨日の夜が夢で、これが現実だと信じたいんです。

さぁ、はやく！

茜

！…。

茜

あらあら、貴方って本当におかしな人ね。

茜

もちろん、

ガバッ！

神宮寺

はぁっ…はぁっ！

神宮寺

夢…。

神宮寺

もう、朝になってしまったのか…。

神宮寺

ｯ…ｸﾞｽｯ、

神宮寺

茜さん…ッ、なんで…。

その日の朝

神宮寺

…。

おい、

今日の神宮寺なんか変じゃないか？

ああ、目がぶくっと腫れてクマができてる…何かあったのか？

誰か仕事変わってやれよ。…俺が話しかけて代わってやろうかな。

いや、ここはそっとしておこうぜ。触らぬ神に祟りなしだぞ。

如月芳綱

♫♫〜

如月芳綱

！

如月芳綱

うわっ！

曲がり角で芳綱と雅秀がぶつかりかける。

如月芳綱

す、すまん雅秀。大丈夫か？

神宮寺

…。

如月芳綱

ま、雅秀？

如月芳綱

どうしたんだ、顔色が悪いぞ。

神宮寺

……。

神宮寺

ヨシ…。

神宮寺

実は…

如月芳綱

黒部の嬢さんに振られたぁ！？

神宮寺

うん…。

神宮寺

See you neverって言われた。

神宮寺

茜さんは、俺とは二度と会いたくないんだそうだ。

如月芳綱

そうか…

如月芳綱

あの外人が断るように言ったのかもしれねぇな。

神宮寺

そうかな…。

神宮寺

あの人も、俺に向かってクソ男がって言ってたしそうかもしれない。

如月芳綱

なに！？

如月芳綱

あの外人…俺の友人に向かってなんて言葉を！

如月芳綱

心配するな雅秀、お前はいい男だ。今度会ったら俺がアイツの顔を殴ってやる。

神宮寺

うん…。

神宮寺

……。

如月芳綱

にしても急だな。

如月芳綱

この前まではお前の片思いとはいえ優しく対応してくれたってのに。

如月芳綱

もし、執事の指示でお前を振ったとしても…

如月芳綱

いきなり『2度と会いたくない』なんて酷すぎるぜ。

如月芳綱

もっと、そうだな…うゔん、

如月芳綱

『ごめんなさい、じつはかくかくしかじかで…』みたいな言い方でもいいのによ。

神宮寺

うん…。

神宮寺

でも

神宮寺

優しく断れたとしても…僕はこんな風に落ち込んでたと思う。

如月芳綱

そうか…。

神宮寺

ヨシ、

神宮寺

僕は何かおかしいことをしたのかな。

神宮寺

茜さんは僕の言葉が嘘で、僕はひとつも茜さんを愛していないって言ってたんだ。

神宮寺

僕は…何かそう思わせることをしたのかな。

如月芳綱

うーん…

如月芳綱

どうだろうな。

如月芳綱

俺はその場に居合わせてないからなんとも言えねぇな。

神宮寺

…そっか

如月芳綱

！

如月芳綱

（やべ、余計に落ち込んじまった！）

如月芳綱

でっ！

如月芳綱

でも！

如月芳綱

お前が頑張ってたのは分かるぞ！

如月芳綱

英語も勉強して、黒部の嬢さんのために事件の解決に粉骨砕身してたじゃねぇか。

神宮寺

うん。

神宮寺

そうだね…。

神宮寺

はぁ、

神宮寺

もうだめだ…生きてる心地がしない。

如月芳綱

雅秀…。

おーい！

如月芳綱

！

神宮寺

…。

如月芳綱

あれは…

「お忙しいところ恐れ入ります。」

「ここで料理を振舞ったのはどなたか教えていただけますか？」

「ああ、」

「いいけど…お前達、ここの担当じゃないよな？」

「そこをなんとか…」

「ふぅん…。」

「まぁいいぜ。」

「ちょっと待ってろよ」

如月芳綱

確か、花園誠一の祖父の家にいた…。

久しぶりだなー！

緊急で新しい情報が２つ入ったぞ！

如月芳綱

！

如月芳綱

新しい情報…？

如月芳綱

一体どんな情報なんですか？ぜひ、教えてください！

１つは、お前らが気になってた花園誠一の祖父に料理を振舞った奴についてなんだが、

俺が調べたところ、お涼って名前の若女将だった。

如月芳綱

！

神宮寺

！

如月芳綱

なんてこった…やっぱりあの女か！

如月芳綱

もう確証はそろったな。すぐに捕まえて取り調べをしなきゃ…

その必要はないぜ。

如月芳綱

？

2つ目の情報はそのお涼さんについてだ。

ついさっき、お涼が時雨っていう術師を殺したとして連行されたぜ。

如月芳綱

！？

神宮寺

！

昨日の暮れ頃に、時雨がお涼の部屋で刺されて倒れてたんだとよ。

首元がスパッと切られて、血がたくさん飛び散ってたそうだ。

いやー、女って恐ろしいなー。

如月芳綱

…。

如月芳綱

な、

神宮寺

なんだって…⁉︎

一方その頃

…ん…んん…。

ん？

茜

おはよう、お美枝ちゃん。

お美枝

ん…？

お美枝

茜お姉ちゃん…？

お美枝

なんでお姉ちゃんがいるの？ここはどこ？

茜

あら、忘れちゃったのね。

茜

ここは私の家よ

茜

昨日の夜、お涼さんが…その、警官さんとお話したじゃない？

「いやぁあ！！時雨様ーッ！」

「お涼、お前がやったのか！」

「！？、ち、違う！わ、私は…。」

「この人殺し！誰か早く捕まえて！」

「や、やめて！お姉ちゃん！」

「お美枝！！」

「いやぁぁあー！！」

茜

それでお美枝ちゃん、怖くなって執事と一緒にここに来たのよ。

お美枝

執事さんと…？

執事

はい。

執事

警官が怖くなって泣きついてこられたので、私が周りから許可を取ってお連れしました。

お美枝

そっか…。

お美枝

ね、ねぇ…茜お姉ちゃん。

茜

ん？

お美枝

お姉ちゃん…大丈夫かな？

お美枝

…また、帰ってくるかな？

お美枝

牢屋の中に入れられたりしないかな…？

茜

！

お美枝

昨日の夜、怖くて…

お美枝

っ！

ぎゅっ

（茜がお美枝を抱きしめる）

茜

よしよし。

茜

大丈夫よ、お美枝ちゃん。

お美枝

！…

お美枝

茜お姉ちゃん…。

茜

お涼さんは、きっと戻ってくるわ。

茜

牢屋に入れられたりなんてしないわよ。

お美枝

っ…

お美枝

うん。

お美枝

そうだよね…きっと、

お美枝

すぐに会えるよね…。

茜

ええ、きっと会えるわ。

お美枝

…。

お美枝

…あの。

お美枝

茜お姉ちゃん。

茜

ん？

お美枝

昨日は、私のお姉ちゃんが…ごめんね。

茜

！

お美枝

あ、あのね。

お美枝

お姉ちゃん、本当は優しいんだよ。

お美枝

いっつもよしよししてくれるし、いっぱい褒めてくれるし…

お美枝

それに、

茜

お美枝ちゃん。

お美枝

！

茜

…もう、いいのよ。

茜

もう全部終わったから、いいの。

お美枝

茜お姉ちゃん…。

茜

よしよし。

茜

さ、お菓子でもいただきましょう。

お美枝

！、お菓子！？

茜

ええ、それもカステラよ。

お美枝

かすてぃら！？

お美枝

あの、黄色くてふわふわしたお菓子…ここにあるの？

茜

ええ、一緒にいただきましょう。

お美枝

やったー！

つづく

運命

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この作品はいかがでしたか？

120

9件

更新ありがとうございます😊 今回のお話は、驚くことだらけでした… 最初、夢の中の茜さんと神宮寺さんの様子を見て、かなり傷を負ったのだと、心が痛くなりました………😭 何とかお美枝さんとの会話で癒されましたが、幼いながら色々考えているお美枝さんを見てまた…😭😭😭 続き楽しみに待ってます…🙇‍♂️

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