TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シロクロのセカイ

一覧ページ

「シロクロのセカイ」のメインビジュアル

シロクロのセカイ

11 - 10. 「それぞれの思い」

♥

50

2025年09月22日

シェアするシェアする
報告する

扉が開く音。

アゲハちゃんを横に座らせたまま 立ち上がって駆け寄ろうとすると、

そこにいたのは全く別の人物だった。

アメ

ぇ……。

ルキ

……アメ。

アメ

父さん、母さん……?

乾いた音がそこに響く。

頬の痛みと母の涙で、 自分が平手打ちされたんだと気がついた。

メヤ

何してるのよ!!

メヤ

貴方は……貴方はこんな事
しないでちょうだい!!

絶叫に似たような声だった。

いずれこの時は来ると 分かっていた。

ルキ

……帰るぞ。

アメ

……嫌だ。

ルキ

アメ!

アメ

俺の居場所はここなんだ!

アメ

爺やが与えてくれた……
大事な居場所なんだ……。

メヤ

……いい加減目を覚ましてよ。

メヤ

貴方はお父さんと一回も
顔を合わせた事ないじゃない!

アメ

えっ……?

アメ

そんなはずない!
俺は爺やと!!

心地の良い雨が降り注いでいた。

諦めることを知らず、 人や傘を濡らし続けている。

世界が曇りきっている。

……私の心のように。

コガネ

……爺さん。

コガネ

爺さんが言っていたのは、
こう言うことだったんだね。

メヤ

誤っても許されませんよ……

メヤ

約束しましたよね
アメを、息子をこの世界に
引き摺り出したりはしないって!

コガネ

……アメが申し出した事なので、
私は止めました。

メヤ

止めたら許されると
思ってるんですか?

メヤ

どれだけ危険だか
分かっているんですか!?

メヤ

“あの子はまだ10歳ですよ!?”

イオリ

……えぇっっっ!?

コガネ

重々承知の上です。

コガネ

ですが彼には知能があります。

イオリ

いやちょっと待……

コガネ

私は、爺さんの言った通りに
したまでですので。

ルキ

……アメは、家に帰らせます。

コガネ

……ええ、どうぞ。

コガネ

……じゃあ私、帰るから。

イオリ

ちょっと待ってよ……!

イオリ

どう言う事?
アメが10歳だって話……。

コガネ

……また今度でいいか?

コガネ

爺さんの墓、行ってくる。

イオリ

……そんなので、
そのお爺さんは喜ぶわけ!?

コガネ

イオリに何がわかるの!?

イオリ

何も分かんないかも、
しれないけど!

イオリ

私だって仲間だよ……?
少しは、頼ってよ……。

コガネ

……仲間なんて所詮
赤の他人だ。

コガネ

……イオリの事は、
もちろん信頼してる。

コガネ

……でもこの痛みは、
君には分からない。

イオリ

……どうして、

イオリ

どうしてそんな事言うの!?

イオリ

そんなに私は
頼りない?

イオリ

少しは、

少しは貴方を教えてよ!!

コガネ

……爺さん。

コガネ

私は、どうすればいい?

雨か涙か、 分からないものが頬を滑り落ちた。

爺さん、貴方はずるい!

ずるい人です……。

私の気持ちを知っておいて!!

私が貴方に、どんな思いを 抱いてるのか知っておいて!

貴方は、いつだってそうだ!

爺さん……

この気持ちの正解を教えてよ──

数分後、扉が空いたときは コガネさんがびしょ濡れで立っていた。

アメ

……コガネ、さん?

コガネ

……ルキさんとメヤさんが
来てただろ?

コガネ

……アメは、帰るべきだ。

アメ

──っ!

どうして、

どうして……コガネさんまで そんな事を?

アメ

……コガネさんまで、
俺を捨てるんですか?

コガネ

捨てるんじゃない、
アメには早すぎただけだ。

アメ

コガネさ、!

言おうとして、そこで辞めた。

黄金色に光る瞳が揺れている。

困ったように眉を下げて、 微笑んでいる。

コガネ

……爺さんに、
いつかは話せと託されていたんだけど、
話すタイミングを逃していたんだ。

コガネ

今日こそ話そうか。

コガネ

アメの能力について。

アメ

え……。

アメ

俺の、能力……?

適当なタオルで 髪を拭くコガネさんに促され、 椅子に座る。

ソファの感触が、 いつもより固く感じた。

俺すら知らない、 俺の能力。

どうして爺やは、 それを隠していたんだ?

コガネ

……アメ、
まず結論から話すけど、
驚かないでほしい。

コガネ

君の現在の年齢は、
10歳なんだ。

アメ

……え?
いや、俺は15歳で……。

コガネ

そう、
そこで違いが生まれてるんだ。

コガネ

……でもアメは
爺さんの名前を知らない。

アメ

それ、は……。
知らない、ですけど……。

コガネ

……爺さんの名前はね、

──コガネ、だよ。

アメ

……え、

アメ

えぇ!?

シロクロのセカイ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

50

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚