なかむ
電気をつけず暗い部屋の中携帯を探すが、見つからない。 Siriも全く反応がない。
あー…そういえばリビングに置いたままだ。 …今ぶるーくのところに戻る勇気はない。 明日の朝に行こう、朝早くなら誰もいないだろうし。
なかむ
ぶるーくのことだから傷ついただろうな…。
なかむ
きっとそうだ、と思い込む。 思い込まないと、僕が壊れてしまいそうだ。
なかむ
まだ夜の7時、少し早いけど、まぁいいや
昨日夜早くに寝たおかげで、朝早くに起きれたはいいものの、 リビングに誰もいないと思ったら、 ソファには座って本を読んでいるぶるーくがいた。
なかむ
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
ちょこちょこと子犬のようにやってきて、頭を撫でろ、とでも言うように目を輝かせている。でも、少し声が眠そうだ。そんな彼が愛おしく思う。
でも、その純粋な瞳を僕に向けないでくれ。 そこまで良い人じゃないんだ、僕は。 その視線から逃げるように、ソファに体を寝かせ、目を瞑る。 僕にもし蛙化現象がなかったら、もっと甘酸っぱい、それかロマンチックな恋をしていたかもしれない。
なかむ
つい口に出た思い、こんな僕にそんなことはできない。
ぶるーく
横に寝返りを打ち、目を開けてぶるーくを見つめる。わざわざ目線を合わせるためにしゃがんでくれている。そんな小さな優しさですら胸が痛くなるほどには好きで、忘れられない。
なかむ
ぶるーく
いつもより顔が近くて胸が高鳴る。頭を撫でると気持ち良さそうにほんの少し笑ってくれる。かわいいとこもあるんだな。
なかむ
きっと自分のこと話してるって思ってないだろうな。間抜けな顔して僕に手を伸ばしたと思ったら頰を撫でられる。あー暖かい。 でもこの優しさは僕には勿体ない。
ぶるーく
ぶるーく
見たことない憂いたような、切ない顔が僕の心の底まで覗いている気がした。 直接言われずとも、言葉の意味はわかる。分かってしまう。 そんな顔と言葉は僕には勿体無いんだ。 それを気持ち悪いとしか受け取れないんだ。 それなら嬉しいと素直に受け取ってくれる女の子と幸せになってくれよ。
なかむ
ぶるーく
何も見えないように、聞こえないように体を縮こめる。 傷つけてしまった、なんて自己中なんだ。
なかむ
なかむ
本当なら愛しい人から拒絶されて、苦しい筈なのに。嬉しくて心が弾む。
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
ソファに横になっていたなかむが縮こまり心底苦しそうにする。 でも、そんな姿も可愛くて、愛おしくて仕方ない。両思いだったなんて。 信じられないくらいに嬉しい。
なかむ
ぶるーく
なかむを上 からそっと抱きしめて子供をあやす様に話しかける。 いつしか、聞いたことがある。 蛙化現象現象は自信のなさによるものだって、いつも眩しいくらい明るい笑顔を振りまいている後ろで、こんな暗い所があったのか。
なかむ
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
なかむ
分かりやすい嫉妬に思わずニヤニヤと口元が歪む。抱きしめてて良かった、こんな顔見られたら絶対引かれる。
なかむ
少し考えた後、なかむは決意したかのように口を開く。
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
なかむ
恥ずかしいのか僕の首元に顔を埋め僕のパーカーをぎゅ、と握ったまま 離さない。あー可愛い。
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
感謝やら喜びやらもう言葉にし難い嬉しさを込めてなかむの唇に軽く口付けをする。
なかむ
ぶるーく
早口で捲し立てて照れ隠ししてる。全部の行動が分かりやすい。そんな所もかわいらしい。 あーあ、今日はみんな寝坊してくれた奇跡に感謝する。こんな可愛い彼女が出来ちゃったんだから。
ぶるーく
今はなかむとデート中。勿論付き合ってるんだし 手をつないでいる。 なかむは隣で嬉しそうに笑っている。
半年経って、やっと蛙化現象は起きなくなった。たまに手が震えてたからちょっと可哀想だったけど、なかむ本人も抵抗しなかったし。なかむも僕も頑張ったな〜。
なかむ
ぶるーく
なかむ
にこ、と僕を安心させるように笑う。 僕の言いたいことあんま分かってなさそうだけどいいや。 今は、この可愛い生物を堪能しよう。
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
なかむ
ぶるーく
-fin-
コメント
2件
そこまで言ってくれるとは……ッ!嬉しい限りです!!
👏👏👏(ただひたすらに拍手) ありがとうございました…悔いはないです…😇🙏