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呪い屋さん

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呪い屋さん

20 - 呪い屋さんと不死身くん 後編

♥

633

2022年03月27日

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勉強を始めた僕と留宇

「泣かしたる」のその言葉通り

番長のようなとんでもないスパルタを 覚悟したいた

……が

留宇

留宇

…で

留宇

このy=x+2を
ここに代入して

留宇

後は解けるからやってみて

春希

春希

…と

春希

解けた…

留宇

見せて

留宇

うん、掴んできたな

留宇

でもちょっと惜しい

留宇

ここ、2xやなくて
x²になんで

春希

あ、ホントだ

留宇

あとは完璧やから

留宇

ケアレスミスだけ
気ぃつけて

春希

春希

留宇

……なんや

春希

いや

春希

想像以上に分かりやすくて…

春希

丁寧に教えて貰えて

春希

その、てっきり

春希

泣かされるのかと

留宇

あほ

留宇

ホンマに泣かす奴があるか

頭がいい人は教えるのが上手いって よく言うけれど

留宇の教え方はまさにそれで

5点の僕に理解するまで根気強く 説明してくれた

嫌いであろう僕に対しても 分け隔てなく接する

そんな留宇の優しさに ちょっとじーんとする

留宇

留宇

春希

留宇

昨日あんま寝てへんやろ?

春希

あー

春希

呪い屋の依頼が来てて

留宇

まーた
タチの悪い商売しとんのか

春希

タチの悪いって…

留宇

や、ごめん今のは無し

留宇

そっちの事情は何となく
分かっとんねん

留宇

でも夜は寝なあかんで

春希

分かってる

同じクラスになったばかりの頃

留宇に呪い屋の事情をうっかり 喋ってしまった事がある

でも留宇は怖がるでも怒るでもなく

「無理だけはあかんで」と静かに 受け止めてくれたっけ

思い返せば最初っから 真面目で優しい奴だったな

春希

留宇

春希

やっぱ僕の事嫌いだよね

留宇

嫌いやで

春希

ウッ

何を聞いてるんだ僕は

即答で帰ってきた返事に 分かってはいたのに動揺する

留宇

んー…

留宇

でもこれは少し語弊

留宇

自分の暇つぶしに
嫌がらせをする春希は嫌い

留宇

でも

留宇

そうやって自分の過ちに
気づいて悩むところとか

留宇

仕事は誠実にこなす所とか

留宇

嫌いやない…いや

留宇

寧ろ尊敬しとる部分も
あんねんで

春希

春希

春希

そんなふうに
思ってくれてたの?

留宇

……さあて

留宇

どうでしょう?

春希

僕も

春希

留宇の肝心な時に
優しいところ

春希

嫌いじゃない

留宇

…そう

留宇

留宇

ほら、もう少しやで

留宇

問10までやろう

照れ隠しなのか 話題を変えて誤魔化す

春希

ありがとう

春希

次は赤点脱出できそう

留宇

僕が教えるんやから
当然やで

留宇

僕のメンツを立てる為にも

留宇

いい点とってや

春希

頑張る

テスト範囲を勉強し終え

僕と留宇は席を立つ

留宇

今日は僕が出すわ

春希

えっ、悪いよ

留宇

ええからええから

春希

ちょっとっ…!

慌てて留宇を追いかけようとすると

隣の席の会話が耳に入った

なんか駅の方で

刃物を持った人が
暴れてるらしいよ

すぐそこじゃん…!

ここに居たらヤバいんじゃ…

でも迂闊に動いて
鉢合わせるのも…

春希

刃物を持った人…?

グドラ

外に出ない方が
いいんじゃないか?

春希

だよね

春希

留宇に声掛け…

春希

春希

あれ

春希

もう出てっちゃった!?

外へ出ると

幸い留宇はまだ見える距離にいた

丁度角を曲がるタイミングで

僕は慌てて呼び止める

春希

留宇!

春希

待って!!

留宇

春希?

留宇

何や忘れ物?

春希

そうじゃなくて

春希

カフェで聞いたんだけど

春希

駅前で
刃物を持った人が
暴れてるらしい

留宇

刃物!?

駅の方角に目をやると

たくさんの人が走って逃げてくる

春希

留宇、僕らも逃げ…

留宇

怪我人がおるかもしれへん

留宇

春希は逃げて

そう言うと留宇は駅の方へと走り出す

春希

え!?

春希

ちょっと待っ…

僕も慌てて留宇を追いかけた

留宇はちらりと後方を確認し

僕の姿を見てあしを止める

留宇

なんで付いてくるん!?

春希

こっちのセリフだよ!

春希

なんでわざわざ危険な方に…

留宇

あんたなぁ…

いや、頭ではわかっていた

こういう状況の時

一番最初に動くべきなのは

僕達、能力者だってこと

春希

でも…

僕が言いかけた時

と、背中に冷たいものが走る

この感覚

何度も何度も向けられた感覚

春希

「殺意」だ

春希

…手遅れだ…逃げようが無い

留宇

せやな…

留宇も気づいていたようで

僕達は身構える

龍人

オラアァァァ
逃げんじゃねええええ

そいつは長い刃物を 振り回しながら威嚇する

留宇

うわぁ

留宇

もれなくイカれとるわ…

呆れてため息を着く留宇の隣で

僕はあることに気づく

春希

あれ…?

春希

アイツもしや昨日
呪いの代償の受け取りを
蹴ったやつじゃ…!?

留宇

なんやって…!?

龍人

むしゃくしゃしてんだよ
オレはぁぁぁぁぁ!!!

春希

チャット上のやり取り
だったから

春希

あいつはこっちには
気づいてないと思う

留宇

それは幸いやな

留宇

怪我人はおらんみたいやし

留宇

とりあえず止めようか

留宇が1歩前に出る

留宇

お兄さん!

留宇

ほないなもん
振り回したら危ないわ

留宇

僕に渡してくれたら

留宇

話くらいは聞いたるけど?

春希

なんでそんなに
強気なんだよ…

刃物を振り回す龍人に 全く物怖じしない留宇

強すぎる…

一方僕はというと前に出る勇気がなく その場に立ち尽くしていた

龍人

うるせぇガキがぁぁぁ!

留宇

…っ

龍人が刃物を振り回す度に

留宇の額や首、腕から血が滲む

留宇

そんなんじゃお話
出来んよ落ち着いて

それでも逃げ出すどころか

宥めようと手を出す留宇に

流石の龍人も違和感を覚える

龍人

なんなんだよお前…

龍人

普通は逃げ出すだろうよ
気持ち悪ぃ…

龍人

龍人

はは、そうか

龍人

お前、そんなに
殺されたいんだな?

龍人

いいぜ…

龍人

お望み通りにしてやるよ

龍人は両手でナイフを握り返すと

留宇の心臓めがけ

留宇

うっ…

春希

留宇!!!

留宇の心臓に刃が深く突き刺さり その場にうずくまる

刃物をつたい 真っ赤な血が大量に滴り落ちる

血の気が引いた

いくら留宇でも心臓はまずいんじゃ…

そんな考えが過り 僕はやっと留宇のそばに駆け寄る

春希

留宇!留宇大丈夫!?

留宇

痛っ…

苦しそうに肩を震わせる

龍人

はは…

龍人

ガキのくせして
オレに楯突くからだ

龍人

ざまぁみろ

龍人

今からでも許しを乞えば

龍人

救急車くらいは呼んでやるよ!

春希

お前っ…

龍人はうずくまる留宇に近づく

留宇は細い声で

留宇

……なさい…

龍人

あ?

留宇

ごめん……なさい…

留宇

死にた…くな…い…

龍人

ククッ…
最初からそうしていれば…

龍人が満足気な笑みを浮かべた

ーその時

留宇

留宇

…なんて
言うとでも思った?

ぐいっ

ゴチン!

龍人

ギャッ!

留宇が龍人の足を引っ張り

龍人は頭から顔向けに着地する

そのスピードに唖然としている僕に 留宇は言う

留宇

春希!

留宇

何しとんねん!

留宇

その呪いの札で
拘束して!

ハッとした

急いで駆け寄ると呪いの札を動かし 龍人をぐるぐる巻きに拘束する

すかさず留宇が龍人に馬乗りになる

龍人は完全にパニック状態

龍人

な…んで…

龍人

心臓…刺したのに…

そんな龍人を留宇は見下ろしながら 鼻で笑った

留宇

お兄さん

留宇

僕やなかったら
殺人になってましたで

ぐちゅ…と不気味な音を立て

胸から刃物を引き抜く

留宇

不死身の僕でよかったわ

留宇

ま、お縄頂戴は確定やけど

龍人

ヒッ…

龍人

化け物…

留宇

化け物だなんて心外やね

留宇

躊躇いなく人の心臓を刺す
お兄さんの方がよっぽどやで

留宇

ケーサツに電話するからな

龍人

……

留宇は龍人に乗っかった状態で 電話を始める

ガタガタと震えながらも 僕と留宇を睨む龍人

…はぁ

これだから呪い屋の依頼人は…

僕は龍人の耳元で囁く

春希

龍人さん

春希

随分と人騒がせですね

龍人

なっ…

龍人

なんで…オレの名前を…

春希

ふふっ

春希

実際に顔を合わせるのは
初めましてですね

春希

呪い屋の春希と申します♪

龍人

呪い……

龍人の顔がみるみる青くなる

春希

昨日、言い忘れてしまった
のですが…

春希

僕に呪いを依頼した以上

春希

呪いの代償を蹴る権利は

春希

あなたにはないんですよ

龍人

そんな…

春希

外を歩けなくなるほどの恐怖…

春希

待つだけじゃなくて

春希

自分から受け取りに来るなんて
大したものです

春希

見直しちゃいました♥

春希

僕の友達…
おっかないでしょ?

春希

今度鉢合わせたら

春希

生きて帰れないかもですよ?

龍人

やめろ…嫌だ…

龍人

呪いなんて
受け取りたくない!

春希

ご利用

春希

ありがとうございました

僕が言い終えた時

パトカーのサイレンが聞こえてきた

一件落着かな

留宇

あーもう疲れた!

留宇

また服買い替えなあかんやん…

春希

そこなんだ…

警察が到着する頃には

留宇の傷口は全て塞がっていた

春希

全く…

春希

いくら不死身でも無謀だよ

留宇

はは、まぁそうかもな

留宇

春希がおらんかったら
きっと止めきれんかった

留宇

助かったわ

春希

こちらこそ…

春希

僕も呪い屋の仕事
最後まで片付けられたし

留宇

そういえば春希
僕が通報しとる間

留宇

正体明かしたやろ?

春希

えっ…

春希

聞こえてたの…!?

留宇

あかんて!

留宇

アイツ刑務所から出たあと
報復されても知らんで!?

春希

まぁ…ほら

春希

僕の仕事って
恨み買いやすいし…

留宇

そういう問題ちゃうねん!

留宇

大体あんた…

留宇の説教が始まりそうになる前に

僕は走り出す

春希

僕帰って勉強しなきゃ!

春希

お疲れ留宇!

春希

また明日!

留宇

ちょっ!?

留宇

まだ話は終わっとらんて!

留宇

ホンマに…

留宇

そーゆー所やで春希ーー!!

「呪い屋さんと不死身くん」 〜完〜

おまけ!

フォロワーのいちごミルクさんから 春希のFAを頂いちゃいました!👏

本人からの掲載許可を頂きましたので 自慢させてください!

可愛い〜!!٩(ˊᗜˋ*)و💕💕

いちごミルクさん 本当にありがとうございます!

呪い屋さんは まだまだ続く!

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633

コメント

52

ユーザー

すんません!呪い屋さんの春希くん書かせて貰ってもいいですか????

ユーザー

フォロー失礼しますm(*_ _)m

ユーザー

今回も最高でした! 餘ツ(香羅)さんの新垢から失礼します!( このコンビなんかすごく好き… 不死身になったら海の奥深くまで泳いでみたいです←

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