それはとっくに忘れたことで
とても昔のこと
懐かしいような胸がざわつくような
そんな____
ツバキ
ツバキ
ツバキ
王女
そう。私は王家の出だった
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
戦争で父を亡くし1人で私を育ててくれた母
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
優しい使用人と母に囲まれて幸せな私
素晴らしい人生だった
母親が壊れるまでは
ドタバタ
大変…
大変だわ
急いで!
それはこっちよ!
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
母はこの日から変わってしまった
戦争で変わってしまった
いや、変えられてしまった
毎日爆弾や銃の音が飛び交う
誰かの叫び声
遠くからの指示の叫び声
殺せ、殺せ
フェンネルの一族を殺せ
ずっとそう聞こえて
寝たいのに
寝れなくて
ずっと
ツバキ
ツバキ
ツバキ
終われ!
心の中でそう願っても叶わなかった
しかしその願いをよそに戦況は悪化
こちらの国が押され、目に見えるほど負けていく
その度にに母は変わった
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキ
毎日そうやって使用人達に怒鳴りつけ
挙句「貴方も死にたいの」と脅す
もう、あの頃の、私の大好きな母親は居なかった
ギィ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキ
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキの母親
ツバキ
私を「愛してる」と言っているがその言葉は孤独になった自分から逃げないようにするための監禁の言葉だった
召使には恐れられ敵国には傷付けられ
孤独だったから私を籠絡しようとしたのだろう
そして私を戦争の武器にしようとした
あの頃の母はもういない
こちらの国が負けに近づくにつれ母は狂い、私に縋った
恐怖だった
朝が来て、銃声
母に怒鳴られて縋られて
また寝て
朝
繰り返しの日々に疲れて
私は…
ツバキ
ツバキ
この国、いや
母の王国となってしまったこの城から逃げ出した
ドサッ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ザッザッ、
ツバキ
ツバキ
それから私はいろいろな場所を転々とした
チラ、チラ、
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ザワザワ
ツバキ
兵士
兵士
兵士
兵士
ツバキ
タタッ
どこだ!
この街には居ないのか!?
良いから探せ!
くすんだ色のピンクの髪で腰あたりまでの長さだ!
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
あんな母親でも私を育てて愛情を注いでくれたのは事実
まだ信じたい気持ちをよそに母は私を殺せと命令を下していた事実を聞き
もうあれは親ではないと悟った
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
チャキ、
ツバキ
ツバキ
ザクッッ
パラ、…パラパラ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
ツバキ
それから間も無くして母が死んだと小耳に挟んだ
噂によると戦争で追い詰められた結果精神が狂い身の投げ出してしまったのだと
私は今でも探されているんだろうか
死んだ母に少しでも最期に話したかったと思う私はどうなんだろうか
あんな事をされて、最終的には狂ってしまった母にもまだ情はあるらしい
確かに母は私を愛していた
歪んだ形でも
でも…
私は、母に会いたいと思いながらも
母を許したいとは思わなかった
私は第二の人生を歩む
次は大切な人を守れるように
ツバキ
ツバキー!
ツバキ
早く来いよ!
ツバキ
ツバキ
それはとっくに忘れたことで
とても昔のこと
懐かしいような胸がざわつくような
そんな
そんな私の、人生の1ページ
コメント
4件
ツバキちゃんッッッ!!!そんな過去があったのねッッッ!!!!😭😭😭😭