水野 楓
よいしょっ、
水野 楓
(落ち着いて…怖がらないで…)
私はゆっくり、でも確実に1歩1歩上に登る。
水野 蓮
頑張れ姉ちゃん!!
水野 楓
頑張るよっ、!
水野 蓮
(…大丈夫かな、姉ちゃん。)
私は、上を確認する。 もう、半分まで来ている。
水野 楓
あとちょっとっ……!
水野 楓
(…そろそろ限界だよぉ……!!)
水野 蓮
あと2歩だ!頑張れ姉ちゃん!
水野 楓
よいしょぉぉ!!!!
私は、やっと上まで登りきった。 熊が居ないか、当たりを見渡す。
クマの姿は見当たらなかった。
水野 楓
蓮っ…私登ったよ!自分で!
水野 蓮
おぉ…姉ちゃんお疲れ様。
水野 蓮
俺も登るよ。上まで行ったら手を貸してくれ。
水野 楓
わかった、頑張れ!
水野 楓
私でもできたんだから蓮もできるよっ
蓮は、私とは違って素早く確実に登ってくる。流石だ。
ふと、私は空を見上げる。
水野 楓
(…もう日が落ちてきてる……。)
水野 楓
(私が登るのに時間をかけすぎたんだ。)
水野 蓮
姉ちゃんっ!手、かして!
水野 楓
あっ、ごめん!
私は、蓮に手を伸ばした。 蓮は私の手をしっかり握って、上まで上がってきた。
水野 楓
お疲れ、蓮。
水野 蓮
はぁぁあ疲れたぁ……。
水野 楓
ねぇ、お疲れのところ悪いんだけどさ。
水野 蓮
ん?
水野 楓
もう日が落ちてきちゃってるんだよね
水野 蓮
うわっ、やべえぞ、早く帰んないと!
水野 楓
でも炭のカゴは!?
私と蓮は、2人でその辺を見渡したが、炭の入ったカゴは見当たらない。
水野 楓
えぇ…どうして……。
水野 蓮
あ、もしかしたらカゴとは反対側に登ってきたのかも……。
水野 楓
えぇ!じゃあここぐるっと回ればあるって事?
水野 蓮
うーん、多分。
水野 楓
じゃあ歩こ。どっちにしろ家はあっちだったしさ。しょうがないしょうがない!
水野 蓮
うーん、そうだな。
水野 楓
行こ、蓮!
次は落ちないように手繋いでてくれる?
次は落ちないように手繋いでてくれる?
水野 蓮
はぁ、ったくしょうがねぇな姉ちゃんは。
私は蓮と手を繋ぎ、日の落ちかけている暗い空の下を歩く。
水野 楓
それにしても、私登るのに時間かけすぎたよね?
水野 蓮
んー、まぁな。
水野 蓮
俺も待ちくたびれてたよ。
水野 楓
だよねぇ、
水野 楓
私も蓮みたいに強くなりたいよ。
水野 蓮
俺だってそんなに強くねぇよ……。
水野 蓮
優菜を、守れなかったし……。
そう、蓮が熊についての知識があったのは、優菜が起きなくなった事件からだ。
蓮はその後、本を買って一生懸命勉強をしていた。
水野 楓
気にしなくていいよ。
水野 楓
私だって、やれることがあったはず。
でもできなかったんだもん。
でもできなかったんだもん。
水野 蓮
……うん。
その時、丁度日が完全に暮れてしまった。
水野 楓
あっ…日が全部落ちちゃったよ……。
水野 蓮
……真っ暗だな、姉ちゃん落ちるなよ?
水野 楓
大丈夫、私、目はいいし。
水野 蓮
あぁ、そういえばそうだったな。
水野 楓
(ちょっと怖いな、お母さん、心配してるだろうな……。)
水野 楓
ちょっと、早歩きで行こうか。
水野 蓮
そうだな。
その時だった。
ガルルルルル……
水野 楓
えっ、何……?
水野 蓮
熊か……?
私は、恐る恐る後ろを振り向いた。
赤鬼
オマエダヂ…ォイジソウダナァ…
水野 楓
……へ?な、何……?
水野 蓮
お、おいこれってまさか……!!
赤鬼
グッデヤル!!
水野 楓
……お、鬼だ!!!