糸師凛
兄ちゃんがいなくなってから俺も姉ちゃんも……
糸師凛
頑張ったんだよ?
糸師凛
日本一になって兄ちゃんみたいにスカウトされるために……
〇〇
…………
糸師凛
兄ちゃんの代わりになれるように……
糸師凛
チームのために戦って……
糸師凛
約束通り日本一になったんだよ……?
糸師凛
サッカーする理由が……
糸師凛
俺にはないよ……
〇〇
……冴兄
〇〇
私さ、今ヨーロッパから誘い受けてるんだ
〇〇
やっと、冴兄の場所に行けるって思って
〇〇
約束より2年も遅くなっちゃったけど、そのうち凛ちゃんも来て
〇〇
3人で世界一になるって、ずっとそのために頑張ってた
〇〇
冴兄と凛ちゃんと一緒に夢を叶えて、
〇〇
2人の役に立てるように、今まで私なりに精一杯頑張ってきたんだよ……?
〇〇
でも、冴兄が夢を諦めてもう叶わないのなら、
〇〇
私にもサッカー続ける理由がないよ……
糸師冴
…………
糸師冴
だったら辞めろ
糸師凛
……え
糸師冴
ぬりぃんだよ
糸師冴
慰めてもらえるとでも思ったか?
糸師冴
欠陥品共が
糸師冴
……調和が好きなこの国はやっぱり……
糸師冴
突出した才能を平凡なガラクタに変えやがる……
糸師冴
何が日本一だ何が兄ちゃんの代わりだ……
糸師冴
何が誘いだ
糸師冴
クッソ反吐が出るぜ
糸師冴
もう二度と俺を理由にサッカーなんかすんじゃねぇよ
糸師冴
だいたいお前らにとって俺は特別かもしんねぇが
糸師冴
俺にとっちゃお前らはもうただの目障りで
糸師冴
面倒臭い妹と弟だ
糸師冴
たまたま俺の妹と弟に生まれただけで勘違いすんな
糸師冴
サッカーのできないお前らに価値なんかねぇんだよ───……
糸師冴
消えろ、凛、〇〇
糸師冴
俺の人生にもうお前らはいらない
糸師凛
兄、ちゃ……
〇〇
…………
〇〇
…………冴兄
〇〇
もういいよ、そんなことなら
〇〇
アンタがそういう態度なら私は貴方を兄だとは思わない
糸師凛
姉、ちゃん……?
〇〇
私にとって今までは冴兄と凛ちゃんが1番大切だった
〇〇
でももう私の1番は凛ちゃんだけだ
〇〇
アンタこそもう近寄るな
〇〇
クソ野郎
糸師冴
……言ってろ
〇〇
お前なんか、……大っ嫌いだ……!
〇〇
…………
糸師凛
…………
〇〇
…………
冴兄、いやクソ兄貴は
凄い、それは間違いない
でも、あいつは凛ちゃんまでも欠陥と言った
きっとあの人にとって私と凛ちゃんは利用価値がなくなったんだ……
〇〇
……それなら、最初から夢なんて見なければ……
〇〇
冴兄と一緒にサッカーを始めなければ……
〇〇
こうなることも、なかったのかな、……?
〇〇
冴兄には、もう
〇〇
私なんて、凛ちゃんなんて、眼中に無いんだ、
〇〇
冴兄はずっと味方でいてくれるって信じてたのに……
ガシャァァン
〇〇
凛ちゃんの方から……
〇〇
…………
〇〇
もう、こんなものなんて要らない
〇〇
トロフィーなんて、全部なくなれ
〇〇
ガタッ
〇〇
……ごめんね、凛ちゃん
〇〇
でももう決めたことなの
糸師凛
……んでだよ、
糸師凛
なんで、姉ちゃんまで俺を置いて行こうとすんだよ……
糸師凛
……さっさと消えろ
糸師凛
見捨てんなら、情なんてかけるな
〇〇
…………
潔世一
凛
糸師冴の夢を壊すために
クソ兄貴に勝って
潔世一
始まるぞ後半
糸師凛
ああ
姉貴とまた一緒に居るために
俺はサッカーをする
〇〇
……ほんと
〇〇
私って足引っ張ってばっかだな……
〇〇
(やめて、良かった)
〇〇
(きっと邪魔にしかならないから、)