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真爽の入院生活が始まって、数日が経った。
病棟の一室———個室の病室には、窓から優しい光が差し込んでいる。
人気アイドルという立場上、騒ぎにならないように最小限のスタッフと限られた面会だけで管理されていた。
咲月希は、毎朝の回診の時間を淡々とこなしていた。
患者と医者———それ以上でも、それ以下でもない。
……のはずだった。
茉莉咲月希
嘉郎真爽
茉莉咲月希
淡々とした会話。
でも、真爽は他のスタッフの前ではあまり話さないのに、咲月希が来ると少しだけ声のトーンが柔らかくなる気がした。
嘉郎真爽
茉莉咲月希
嘉郎真爽
その一言に、咲月希の心臓が一瞬止まる。
茉莉咲月希
表情は完璧に保ったまま、内心で全力で叫んだ。
午後、咲月希はカルテを整理していた。
検査結果を見ていると、ある数値にふと違和感を覚える。
普通の若い男性にしては……少し、引っかかる値。
でも一回だけなら誤差の範囲かもしれない。
茉莉咲月希
小さな違和感。
でも医者として、その“わずかな異常”を見逃さなかった。
夕方。
廊下を歩いていると、真爽が病室のベッドの上でイヤホンを片耳に、
窓の外を眺めていた。
静かに、どこか遠い目をしている。
茉莉咲月希
嘉郎真爽
茉莉咲月希
嘉郎真爽
嘉郎真爽
咲月希はその言葉を、医者としてではなく“ファン”として、心の奥にしまい込んだ。
推しの何気ない一言が、こんなにも特別に響くなんて。
夜。
医局で、一人カルテと検査データを見つめる咲月希。
ペンを持つ手が止まり、額に指を当てた。
茉莉咲月希
彼女の目は、もう完全に“医者”の目になっていた。