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翌日の教室。
遥は自分の席で、昨日もらったキャラメルの包み紙をペンケースの中にそっと隠した。
捨てられるはずなんてなかった。
佐々木
一条 湊
教室の中心では、今日も湊を囲む輪ができている。
昨日、あんなに近くで、二人きりで話したことが、まるで遠い異国の出来事のように感じられた。
瀬戸 遥
少しだけ欲張ってしまった自分の心が苦しくて、遥は教科書で顔を隠すように俯いた。
その時、ガタッと椅子が鳴る音がして、誰かが遥の机の前に立った。
一条 湊
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには輪を抜け出してきた湊が、遥の机に手を置いて微笑んでいた。
瀬戸 遥
一条 湊
一条 湊
湊がわざとらしく眉を下げて囁く。その瞬間、教室中の視線が遥の席に集中したのがわかった。
「なんで一条くんが瀬戸なんかに?」という無言の刺さるような視線。
瀬戸 遥
一条 湊
瀬戸 遥
一条 湊
周りの女子たちが「えー! 湊くん図書室行くの?」「私も行く!」と騒ぎ出す。
すると湊は、彼女たちの方を振り返り、困ったように首を振った。
一条 湊
一条 湊
湊は遥にだけ見えるように、片目をパチンと瞑ってみせた。それは、昨日二人で交わした「内緒」の合図だった。
瀬戸 遥
一条 湊
湊が自分の席に戻っていく後ろ姿を眺めながら、遥は熱くなった頬を両手で押さえた。
ただの背景だったはずの僕の世界に、湊という光が、強引に、けれど優しく踏み込んでくる。
瀬戸 遥
ペンケースの中の包み紙が、昨日よりもずっと熱を持っているような気がした。