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放課後の図書室。
窓の外では部活動の掛け声が響いているが、厚い扉に仕切られたこの空間だけは、別の時間が流れているようだった。
遥はカウンターで、返却期限の過ぎた本を整理しながら、何度も入り口のドアを盗み見ていた。
瀬戸 遥
そう不安になった時、静かにドアが開いた。
一条 湊
息を切らして入ってきたのは、湊だった。
彼は教室での完璧な笑顔ではなく、少し肩の力を抜いた、年相応の少年の顔をしていた。
瀬戸 遥
一条 湊
湊は周囲を見渡し、誰もいないことを確認すると、遥の目の前の椅子にドサリと座り込んだ。
一条 湊
瀬戸 遥
遥が不思議そうに尋ねると、湊は机に突っ伏したまま、上目遣いで遥を見上げた。
一条 湊
一条 湊
一条 湊
瀬戸 遥
一条 湊
一条 湊
一条 湊
湊の真っ直ぐな瞳に見つめられ、遥は心臓が口から飛び出しそうになる。
自分はただ、眩しすぎて直視できなかっただけなのに。それが、彼にとっては「安らぎ」になっていたなんて。
瀬戸 遥
遥が小さく、けれどはっきりと答えると、湊は一瞬驚いたように目を見開き、やがて今日一番の柔らかな笑みを浮かべた。
一条 湊
湊は起き上がると、遥が整理していた本の一冊を手に取った。
瀬戸 遥
一条 湊
湊は本をパラパラと捲りながら、不意に声を低くした。
一条 湊
「特別」という言葉が、図書室の空気を甘く震わせる。
遥は、胸いっぱいに広がる幸福感に溺れそうになりながら、力強く頷いた。
瀬戸 遥
二人の影が、オレンジ色の夕陽に溶け合って長く伸びていく。
それは、モブと主役という境界線が、少しずつ崩れ始めた瞬間だった。