男
開いた視界に陽気な光が差し込む。
男
男
壁に倒れ込む体を起こし、 エレベーターへと向かう。
(電話音)
男
男
男
エレベーターホールの "1"と書かれたボタンを押す。
男
もう一度、同じボタンを押す。
男
エレベーターのランプが点かない。
それどころか、エレベーターが 昇ってくる音すら聞こえない。
男
男
男
イズミ
男
(ガラスが割れる)
途端、透明な破片とともに 赤い足鎧を身に着けた少女が乗り込んでくる。
男
男
イズミ
一方少女は、落ち着き払った様子で 男にこう告げる。
イズミ
男
カズミ
(ガラスが割れる)
男
男は鳩尾に蹴りを食らい、 そのまま突っ伏して気絶してしまった。
カズミ
カズミ
イズミ
男
男
男
壁越しに騒ぐ声が聞こえてくる。
ファルク
ファルク
その瞬間、ドアノブがカチャリと 音を立てる。
ファルク
(扉が開く)
?
?
?
ファルク
ファルク
?
?
ファルク
ファルク
ファルク
?
?
ファルク
ファルク
ファルク
?
ピンクの頭に 疑問符が浮いているのが見える。
不味い、完全に疑われている。
数秒、両者そのまま沈黙が続く。
静寂を破ったのは、ピンク頭の男の
?
という快活な声だった。
そして次第に、薄ら笑みに変わる。
?
?
?
?
ファルク
嬉々とした表情でそう問いかける。
当然、知るはずがない。
?
?
突然、腕を振り上げ 右の拳が飛んでくる。
ファルク
とっさに躱すが、掠る。
?
(ニヤリと笑う)
掠ってしまった。
(炸裂)
ファルク
男の拳が掠った箇所から、 肉体が弾けるような痛みに襲われる。
ファルク
ファルク
クラミィ
ファルク
クラミィ
クラミィ
ファルク
クラミィ
ファルク
ファルク
クラミィ
クラミィ
ホルスト
ホルスト
(銃声)
男
男
男
男
(銃声)
男
イズミ
カズミ
マガジンを一つ手に取り、目を閉じる。
カズミ
金色の光が形を成し、 もう一つのマガジンが手に顕現する。
カズミ
カズミ
イズミ
奇襲とはいえ、流石は巨大組織 と言ったところだ。
この時間帯でもこの階層にこれだけの 人数がいるのは普通じゃない。
カズミ
カズミ
一筋の冷や汗がこめかみを伝う。
カズミ
イズミ
カズミ
手で合図を出し、 左右に別れて飛び出した。
男
男
イズミ
イズミの朱礫が青い炎を纏い、 敵を吹き飛ばす。
男
男
カズミ
イズミに気を取られている間に距離を 詰め拳銃を払い飛ばす。
男
男の鋭い蹴りを避け、拳銃を構える。
カズミ
カズミ
カズミ
懐からサバイバルナイフを取り出し、 それを男に向かって素早く投擲した。
男
カズミ
しかし、焦りが出たか当たらない。
男
男
床に刺さったナイフを拾い、 飛びかかって来る。
カズミ
少し欠けた鉄色の刃先が 眼前に迫る。
カズミ
男
彼がその言葉を口にした瞬間、男の持つナイフが霞のように空へ霧散してゆく。
カズミ
カズミの拳が顔面にクリーンヒットし、男の体を吹き飛ばす。
男
イズミ
カズミ
彼、熊宮和巳は 【傷害】武器を複製する能力を 扱うことができる。
その複製体が、『現』(オブジェクト)。
この複製体は複製元の武器を性質、形、 構造を寸分狂わず複製したものである。
しかし、これは多大なエネルギーを 消耗する。 そのため彼が編み出したもう一つの複製能力が存在する。
それが『幻』(ファントム)である。
これは『現』と違い、複製元を完璧に複写することは出来ない。
どうしても複製元より性能や硬度等が 劣ってしまうのだ。
さらにこの能力で複製された武器は存在そのものが極めて希薄なため、約五分で消滅してしまう。
しかし、必ずしも五分ではない。
彼の意思によって、 任意のタイミングで複製体を消去する ことができるのだ。
過罪能力は、所持者の様々な要素に 影響され、同じ名の能力者でもその性質が異なることがある。
さらに、過罪能力者の能力に対する 解釈によってその能力が変化し、進化 することがある。
それが過罪能力の"覚醒"であり、
彼、熊宮和巳は覚醒への道を 着実に歩んでいた。
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