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第六話
眩い貴方
外の戦乱の音が聞こえる保健室。 戦って傷ついた生徒達が回復する 戦いの要になる場所。 大量の調合台を相手に同時に回復薬を 量産していたベネノの元に、 転がり込んできた人影がいた。
Mr.レッド
ベネノ
Mr.レッド
文字通り転がり込んできた彼の 額は切られ血が流れ、 頬は殴られた跡が痛々しい…が、 彼が死に物狂いで担いできたであろう Mr.ブルーとマネーの方は、 Mr.レッドの傷が可愛く思えるほどの 痛々しさだった。
生臭い鉄の…血の匂いと あまりの怪我の酷さに 一瞬顔を青くしたベネノだが、 きりりと表情を引き締めて 調合したばかりのポーションを 取り出した。
ベネノ
そう言った彼の、 ポーションを持った手のひらに 紫色の魔法陣が現れた。
魔法陣が一瞬だけ光ると、 彼が持っていた瓶入りポーションは あっという間にスプラッシュ ポーションに早変わりし、 レッドは思わず破顔する。
Mr.レッド
ベネノ
ベネノ
放り投げられた回復のスプラッシュ ポーションは見事にレッド達に当たり あの痛々しい傷もみるみるうちに 癒えていった。
ベネノ
Mr.レッド
今度は投げられることなく魔法で 浮かされたスプラッシュポーションを Mr.レッドは受け取った。 オラ行くぞ、と 意識を取り戻したMr.ブルーと マネーを連れ立ち去っていった レッド達を見送り、 またベネノは調合台と向き合い 材料をぶち込んだ。
ベネノ
調合に関する魔法とか魔法陣とか、 日常的に使える魔法なら すぐ作れるし発動できるのに 攻撃魔法は絶望的にダメなんだよな… とぼやきながらも、 次来るであろう怪我人達のために 強化短縮魔法を完成した ポーション達にかける。
窓やドアの隙間から少し漂う 血生臭い匂いに震える手は 見ないようにしながら。
A組生徒
ベネノ
戦いが始まってから三時間後。 外から聞こえる剣の鍔迫り合いの 音も聞こえなくなった。 不審にに思いながらも窓の外を 確認する勇気も起きない。 見たとして、もしも窓の外がR-18Gの スプラッタショーになっていたら 恐怖で頭から倒れる確信が 彼にはあった。 なので相変わらず スプラッシュポーションを 作り続けていたベネノは、 こんこん、と扉をノックされ 肩を跳ねさせた。
びくびく怯えながらカラカラと 控えめに扉を開けた先にいた 擦り傷だらけだけど重症には至って いないクラスメイトと担任の姿が あり、彼は目を丸くした。
ベネノ
すまない先生
ベネノ
安堵のため息とともに 固まっていた表情も解け、 視界がぼやけたがごしごしと 目を擦り、ベネノはきりりと表情を また引き締めた。
ベネノ
Mr.銀さん
回復したら他のクラスのやつに 俺たち届けるぞ?と 自分たちを指差すMr.銀さんに、 彼は首を横に振り、笑みを見せた。
ベネノ
ベネノ
ぽい、と弧を描いて 宙を舞ったスプラッシュポーションは 見事に彼らに直撃し、 傷が消えたことを確認した彼は ポーションを白衣のポケットに入れ、 腕いっぱいに抱え込み 保健室を飛び出して行った。
30分程経った頃。 3年B組に戻って来た すまない先生と生徒達は ガラガラ!!と大きな音を立てて 教室に帰って来たベネノを 通常運転で出迎えた。
Mr.ブルー
Mr.ブラック
Mr.マネー
Mr.バナナ
Mr.マネー
Mr.銀さん
Mr.レッド
Mr.赤ちゃん
すまない先生
ベネノ
そう言った瞬間、 足に力が入らなくなり ベネノは床に倒れ込む。
ゴッッ!!
彼の尻は地面と衝突し、 鈍い音が静かになった教室に 響き渡った。
Mr.銀さん
すまない先生
Mr.ブラック
ベネノ
差し伸べられた先生の手を 取りながら、ベネノは普段とは違う へにゃりと笑みを浮かべた。
ベネノ
Mr.レッド
Mr.マネー
Mr.バナナ
ベネノ
Mr.銀さん
すまない先生
聞きたいことも 言いたいこともいっぱいある。
銀さんが言ってて、 あの襲撃して来た人たちが狙ってる “力”が何かもわかんないから 今すぐに聞きたい、けれど。
ベネノ
ベネノ
先生とクラスメイトに 支えられながら、彼は力無く笑った。
番外編:とある少年の告白
「怖かった。」
「はじめて人が傷つくのを見た。 はじめて生臭い血の香りを嗅いだ。」
「手が震えて、足が震えて、 窓の外すら見る勇気が湧かなかった」
「もしみんな死んでたらって 思うと、手に力が入らなくなって」
「慣れもあるのかもしれないけれど、 武器を取って、逃げずに戦って それで最後に、勝利をもぎ取った!」
「…彼らはかっこいい人だ! とてもとても強い人だ! 2日間しか一緒にいなかったけど、 そう思ったんだ、ボク!」
「まるで父様が幼い頃に読んでくれた 御伽話のヒーローだ!」
「はじめて人を、 眩しいと思ったよ!」