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#たっつん
R。
1,413
62
8,758
時計の針が午前2時を指す頃。
家中が静まり返り、俺たちは部屋の明かりを消したまま床に置いたリュックを見つめる。
財布。着替え。充電器。タオル。
どれも1週間と持たない量。
現金は35,000円。かき集めたのに思ったより少ない。
真宮 ゆあん
瀬那 うり
中身を確認しリュックを閉める。チャックの音だけがやけに響いた。
うりはカーテンの隙間から窓の外の景色を眺めている。 真っ暗で何も見えないのに。
真宮 ゆあん
瀬那 うり
うりは小さく笑う。けど笑えてない。 俺には分かる。うりが震えていた事も。
ふと、部屋を見渡す。
そこには
机。制服。教科書。卒業アルバムがあった。
けど全部もう要らない。
瀬那 うり
瀬那 うり
心配そうに見つめてくるうりを見て、少し笑う。
真宮 ゆあん
真宮 ゆあん
真宮 ゆあん
真宮 ゆあん
うりは黙ったまま。荷物を持って立ち上がった。
俺たちはなるべく音を立てないよう、ゆっくり階段を降りた。
すると。
リビングに灯りが付いていた。 隙間から見ると母が椅子に座っていた。
きっと眠れなかったんだろう。
よく見るとテーブルにはラップがかけられたカレーが2つ置かれていた。昨日の残りだ。
このまま行こうと踵を返そうとした時、母と目が合った。
その目元は赤く腫れていた。
俺とうりも母も黙ったまま。何も話せない。
真宮 ゆあん
お母さん
また長い沈黙が襲う。 母は何も聞いてこない。その代わりに、テーブルに置かれたカレーを指差す。
お母さん
涙が溢れそうになる。 昨日までなら「食べる!!」って元気に言ってた。 でも今は言えなかった。
すると母は、「そうよね」と少し笑い、静かにラップをかけ直した。
お母さん
そう言うと、母は立ち上がりキッチンへ向かう。
すると冷蔵庫から袋を持って戻ってきた。
中には母が作った、おにぎりやタッパーに入ってるお惣菜。お茶。絆創膏と少しのお金。
母は、全部分かってたんだ。
そして、俺らが今からしようとしてる事も。全部分かってて用意してくれたものだった。
真宮 ゆあん
視界がボヤける。涙で母の顔すらろくに見えない。
お母さん
母は、少し笑いながら言った。 けどその瞳の奥には涙が浮かんでいた。
瀬那 うり
震えながら謝るうり。 母は、首を横に振りうりに近付き頭を撫でた。
お母さん
小さい頃のように頭を撫でる。そして最後に言葉を付け足す。
お母さん
お母さん
母の腕の中でうりが泣き崩れる。初めて声を出して。
すると、母は一瞬だけ俺たち2人を抱きしめ、離す。
お母さん
真宮 ゆあん
真宮 ゆあん
母は、何故か困った顔をした。
お母さん
真宮 ゆあん
母は、涙を拭いながら言葉を紡いだ。
お母さん
お母さん
真宮 ゆあん
母に背中を押され、俺たちは涙を拭い家を出た。
お父さん
お母さん
その直後。父が帰宅。残業だったのかスーツのまま。
お父さん
母は、少し間を空けて言う。
お母さん
きっと母と父にとって苦渋の選択を強いられたと思う。 特に警察官である父にとっては。
この時父は、俺たち2人を追わなかった。
薄暗いリビングで、 父は静かにネクタイを緩め椅子に座る。
両手でその顔を覆い、その背中を母はただ見ているだけしか出来なかったと言っていた。
お母さん
俺たちは走り続けた。
足はとっくに限界だった。けど前へ前へ進まなければいけなかった。
もう振り返る事は出来ない。俺たちは前だけを向いて突き進む。
息を切らしながらただ明日へと。
真宮 ゆあん
瀬那 うり
瀬那 うり
そう言ってうりは駅内にあるベンチに腰掛けた。
俺も少し疲れた、。
うりの隣に腰を降ろす。
市内の駅。ふたつの線路しかない小さくも大きくもない駅で。2人。
6月の夜はまだ涼しい。 汗が余計に涼しく感じさせる。
瀬那 うり
と、うりが小さく笑う。
真宮 ゆあん
つられて小さく笑う。けど多分。今酷い顔してると思うな。
瀬那 うり
そう言ううりに俺はあるものを被せた。
瀬那 うり
瀬那 うり
真宮 ゆあん
瀬那 うり
真宮 ゆあん
するとうりはぷっと吐き出し、「なんだそれ」と笑う。
電車が来るまで、俺たちは何を話していただろう。
本当に他愛のない話をずっと。
2人きりの駅のホーム。 まだ日が登らない朝に肩を寄せ合い過ごした。
始発の電車。端の席に2人肩を並べて座る。
すると、肩にコツンと何かがぶつかる。
真宮 ゆあん
真宮 ゆあん
うりは疲れ果てて寝てしまった。
まぁ無理もない。人を殺してから今日で2日。 ここ数日はまともに寝られてないだろうから。今こうして寝てくれて良かった。
真宮 ゆあん
向かいの窓を見ると夜が少しずつ明けていく。 朝日が俺たち2人を包み込む。
真宮 ゆあん
そう呟き、俺もそっと瞼を閉じた。
未来も希望も見えない最終駅へとただ走り続けて。
𝐍𝐞𝐱𝐭♡···▸150
◾︎◽︎To be continued◽︎◾︎
コメント
2件
今回も楽しいお話ありがとうございました!!読みば読むほどのめり込んでしまう笑 ゆあんくんのお母さん達には流石にバレちゃうか…笑 でも、それでも2人を送り出して、約束しなくていいから生きてって。お父さんも警察官だけど息子たちの考えを尊重するのがやっぱり親なんだなって思いました笑 ゆあんくんがうりさんに帽子被せた時のおまじないって優しいなって思いました!!続き楽しみにしてます!!
読了しました…🥀 母が「約束しなくていい」って言ったところで泣きそうになりました。守れないと辛いからって、そういう優しさが染みる。うりに帽子をかぶせるゆあんの「バレないおまじない」も、緊張の中の小さな温かさで好きです。2人の行く先、ちゃんと見届けたい。