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―本部演習場―
雪
雪
雪
訓練兵は総員うつむいた
この時間だけは誰もが体をこわばらせる
雪
雪
名前を呼ばれるとは思わなかったため、反応が遅れた
矢城
雪
雪
雪
訓練兵の視線が矢城に集中する
称賛の声も僻みの声も聞こえてくる
矢城
矢城
―本部エントランス―
真
真
そう言って彼女は矢城の頭を撫でた
矢城
矢城
彼はさっと帽子をかぶりなおした
真がちらと顔を見ると、彼の瞳の色は少しくすんで見えた
真
彼は何も言わず真の顔を見た
真
真
本心からの言葉だった
事実、矢城は誰よりも早く本部に来、誰よりも遅くまで残っていた
それは彼の責任感からか、はたまた―
彼の口から、用意していたかのように言葉が滑り出した
矢城
一拍おいて彼は微笑む
矢城
真
真
真
真は言葉を止めなかった
矢城は食い気味に答えた
矢城
失礼します、とだけ言い残し、彼は真の前から去った
彼の顔を見て自分が悪いとは思えなかった
前にも増してクマがひどい。笑顔にも張り付けられたようなぎこちなさも感じた
真
真
真は資料を捲る手を止めた
真
雨
真は隣に座っていた雨に体を寄せた
真
真
少し間があってから雨はこたえる
雨
雨
真
その言葉を聞き雨は資料を取り上げた
雨
彼女の眼鏡の奥の瞳が揺らいだ
黙々とパソコンを操作する彼女を、真はしばらく訝しげに見ていた
しかしやがて別の資料を開き、彼女もまたパソコンに向き直すのだった
―宿舎―
ボスンと音を立ててベッドに倒れ込む
体が沈んでいると錯覚するほどの倦怠感と眠気
矢城
矢城
体を起こし、勢いよく立ち上がった
矢城
突如視界がぐるりと歪み、足元の感覚がなくなった
思わず彼は壁に手をついた。なんとか倒れることは免れた
矢城
ここ数日はこのようなことが増えた。それは彼自身も自覚している
しかし彼はこの生活を続けることを選んだ
異邦人、異能力者という遠巻きにされるものではなく、一般隊員と同じ立場になりたかったから
矢城
矢城
矢城
彼の瞳の色の混色はいつのまにか薄まり、深い青一色になっていた
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