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人は想う。己が過去を。

そして願う。理想の未来を。

???

飛沫が上がる海岸に、 佇む者、一人。

漆黒に染まるスーツを纏い、頭部を 狐に似た白と紅紫色の仮面が覆う。

傍から見て、海岸に佇むには余りにも不格好な姿だ。

その身が背負う痛みを、 知る者は少ないだろう。

やにゃ~

…■■■■■■

隣から、桃色の衣装に身を包んだ 少女、やにゃ〜が呼びかける。

やにゃ~

■■、時間だにゃ

???

…知ってる

???

今行くよ、
世界を救いに

やにゃ~

後は頼んだにゃ…

やにゃ~

“仮面ライダー“

戦いへと向かうその背中を、 やにゃ~は見守る。

それを祝福するが如く、 海岸の波は、激しさを増していた。

いつかの時代。

-とある都会-

ひまじん

ひぃ~!遅刻遅刻〜!

「わいの名前は南條輝人! 愛称は ひまじん! 近◯大学の元学生や!」

…などと語りを入れる間もなく、 必死の形相で駆ける男が一人。

ひまじん

めっちゃ目覚ましかけたのに、なんで全部壊れとるねん!

ひまじん

バイト初日から遅刻とか、ほんまエグいってぇ!

俺は、時間と戦っていた。

ひまじん

あと5分あと5分…

ひまじん

よし、あそこの角を曲がれば!

ひまじん

よっしゃセーフ!
政府 聖富 セェェフッ!

俺はバイト先である、小さな 喫茶店に到着した。 間一髪、間に合ったようだ。

バイト先のジジイ

おい新人っっ!!💢

…糠喜びであった。

ひまじん

お…はようございますっ!

バイト先のジジイ

おはようございます
じゃねぇよ!
何時だと思ってんだ!

ひまじん

え?今は朝の10時で…

ひまじん

10時出勤でしたよね?

バイト先のジジイ

は?8時つったろボケ!
2時間オーバーしてん
じゃねぇか!

ひまじん

え、いやでも
面接で10時出勤だって

バイト先のジジイ

初日から遅刻とか
論外だろ!
クビだクビ!

ひまじん

ま、待ってください!
次は気をつけますので
クビだけはどうか許し

バイト先のジジイ

もう来なくていいぞ!
大学除籍された奴は
この程度かぁ!
日本も終わりだなぁ!

ひまじん

(除籍…)グッ

バイト先のジジイ

おい、何してんだ
邪魔だ!どけ!

ひまじん

ぐわっ!

俺は、ジジイに 突き飛ばされた。

直後、喫茶店の扉は 固く閉ざされ、二度と 開くことはなかった。

ひまじん

わいは…俺は
なんてことを…

他人に裏切られ、傷つき、 自尊心と職を失う。

ひまじんの人生、未だ闇の中。

─デザイア宮殿─

やにゃ~

半年間続いた
デザイアグランプリも
いよいよ最終戦!

やにゃ~

ここまで生き残った…

やにゃ~

やにゃ~

やにゃ~

やにゃ~

候補の皆さん!

やにゃ~

これが最後の
ミッションだにゃ!

???

あぁ、これが最後だ

???

勝者になるのは私…!

やにゃ~

ふふ、お二人とも
やる気いっぱいにゃ!

???

当然だ…

???

この戦い、
勝たない理由が無い…!

???

ま、どこかの誰かさんは行方知らずだけどな

やにゃ~

生き残ったプレイヤーは三人…

やにゃ~

後一人はどこにいったにゃ?

???

おおかた、逃げ出したに違いない…

やにゃ~

ま、いいにゃ

やにゃ~

─この世界を
変えるのは誰か、

やにゃ~

今、運命の時を迎えるにゃ!

ひまじん

わ“い“のう“ん“め“ぇ、
終わ“っだぁぁぁ〜(泣)

-とあるカフェ-

ひまカノ

よしよし、あんたは
頑張った頑張った〜

ひまじん

ゔぅ…

俺はカフェにて、 彼女に慰めて貰っていた。

バイトをクビになった、 情 け な い 自 分 を。

ひまじん

わいとお前のために、
金稼がなアカンのに…

ひまじん

はぁ、突然宝くじが当たって、金持ちにでもなればなー

ひまじん

こんな思いしなくて
済むんや!

ひまカノ

もし金持ちになっても
あんたは速攻で使い切りそうだけどねぇ

ひまじん

やめろぉ〜

ひまカノ

ま、バイトなんていくらでもあるし、
切り替え切り替え!

そう言って彼女は、 スマホで動画配信を見始めた。

俺は気になって 覗いてみる。

ひまじん

この動画って…

ひまカノ

あぁ、“あーけんさん“
の動画だよ

ひまカノ

あの子、今個人で配信やってて
結構人気なんだよ~

ひまじん

いつの間に…
リスナーがいっぱいや!

あーけん

ハイ、こんにちは
あーけんです!

あーけん

今回も、
[ネタバレクエスト]
やっていきます!

あーけん

最後の敵って
スライムなんだ〜

あーけん

-最後の敵は勇者の父-
ってつまり…

あーけん

こいつの正体勇者の父
…ってこと!?

Mr.つまびらか ¥114514 [気づくの遅せーよ直置き女]

あーけん

あっスパチャだ

あーけん

投げ銭サンキュ!

あーけん

って直置き言うなー!

ひまじん

…すごい人気っぷりやな

大人気…と称するには少々疑問が残るが、あーけんの成長には目を見張るものがあった。

「あーけんさん、 変わったんやな」

ひまカノ

ひまじんもまた配信
やればいいじゃん

ひまじん

いや~わい思ったんや

ひまじん

「働くのが一番や」
って!

ひまじん

だからさぁ

ひまカノ

嘘つき

ひまじん

…へ?

ひまカノ

「あの日」のこと、まだ
気にしてるんでしょ?

ひまカノ

KUNさんがいなくなって、あの子も…

ひまじん

はぁ、それやめや

ひまじん

わいは自立する!
ただそれだけや、な?

ひまカノ

ごめん…

ひまじん

しばし気まずい空気が流れる。

流石にかける言葉がない…

…と、そこへ、

カフェ店員ちゃん

お待たせしました~!

カフェ店員ちゃん

世界一美味しい、
フルーツ☆パフェ
です!

ひまじん

お、やっと来た!
待ちくたびれたで!

カフェ店員ちゃん

お二人で、仲良く
お召し上がり下さい!

美味なる助け舟により、 ほんの少し空気が和んだ、 …ような気がする。

ひまカノ

よし…食うか!

ひまじん

あぁ!

ひまじん

いただきま〜

…その時だった。

(ドゴォォォォン!!)

ひまじん

な、何や!?

突如、爆音と共に喫茶店の ドアが破られる。

その中からは─

バケモノ

ジャ〜

和装に身を包んだ、バケモノ? が現れた。

カフェ店員ちゃん

す、すみません、
どちら様ですか…?

変わった客と思い、恐る恐る 声をかける店員。しかし─

バケモノ

ジャ〜…!

カフェ店員ちゃん

きゃっ!な、何!?

バケモノ

ピアーブ!

バケモノは、手に持った刀で 店員を切り付けた。

肉の切れる音。 直後、店員は声を発することなく その場に倒れた。

ひまカノ

嫌ァァぁぁぁ!!!

ひまじん

…っ!

店員だった物からは、 赤い液体が流れている。 深く切られたのだろう、体から 腸と思われるものが露出していた。

バケモノ

ジャ〜…!

バケモノが、肉の塊を踏み越えて こちらに向かってくる。

ひまじん

に、逃げるぞ!

ひまカノ

あ、あ、あぁ…

ダメだ、 完全にパニックになっている。

仕方がない…!

ひまじん

ひまカノ…すまんっ!

俺は、彼女をおいてキッチンに 向かった。

(ドンッ!!)

ひまじん

痛でッ!

だが、キッチンの直前で 見えない壁のようなものに ぶつかった。

ひまじん

か、壁…?

バケモノ

シシ…ビテスビ…!

バケモノは彼女に目もくれずこちらに向かってくる。

ひまじん

あ、あぁ…

ひまじん

ここがダメなら…
こっちだ!

一瞬パニックになったが、 すぐに逃げる方向を変える。 俺は喫茶店を出て、 外に逃げることにした。

バケモノ

ツームビビアビ!

やにゃ~

プレイヤー諸君、
時間にゃ!

やにゃ~

“ジャマーエリア“が
現れたにゃ!

???

いよいよか!

???

血沸き肉踊る…!

やにゃ~

最終ミッションは、
エリアの防衛!

やにゃ~

制限時間までに
一番ポイントを稼いだ
プレイヤーは…

???

皆まで言うな!

やにゃ~

にゃにゃ!?ルールは
バッチリにゃね!

やにゃ~

それじゃぁ…

「“仮面ライダー“諸君!」 「ミッション開始にゃ!」

???

“牛さん“には
負けない!

???

誰がお前なんかに!
そして…

???

“あの狐“にも…!

プレイヤー二人は、次々と腰に 黒い楕円型の機械を 押し付けた。

〘DESIRE DRIVER〙

無機質な機械音声とともに、 腰部にベルトが装着される。

…そして、もう一人の プレイヤーも。

???

「皆まで言うな」、か

???

戦いに飢えた野獣かよ

???

…キモすぎ

〘DESIRE DRIVER〙

ひまじん

はぁ、 はぁ、はぁ…

そこは、地獄そのものだった。

バケモノ

ジャ〜

会社員

ぐわぁぁぁあ!

人々が、バケモノ達に 殺されていく。

バケモノ

ピアーブ!

青年

くっ、来るなぁぁあ!

女性

出してぇ!
出してよぉぉ!

バケモノ

ピツームヅテラサ
キョビビ!

男の子

おがあさぁぁん!

母親

はやくにげ…がはっ…

人々の幸せが、奪われていく。

ひまじん

こんな…こんなこと…

俺は、ただ 逃げることしかできない。

バケモノ

キョトヅ!

ひまじん

はっ!

バケモノ達

テンルテンル!

きっと悪い夢だ! 夢であってくれ!

バケモノ

ジャジャジャ!

ひまじん

やばいっ!

バケモノが振るった刃が、 俺の腕を掠めた。

ひまじん

痛っ…

傷口から血が流れる。 腕の痛みが、 現実を突きつける。

これは夢なんかじゃない。

そんなこと、 わかっているのに…!

ひまじん

っしまった…!

ついに、壁際に追い詰められた。

バケモノ

クバエインチャラサ…!

バケモノ達

ジャ〜!

ひまじん

ぐっ…

ひまじん、万事休す─

???

フッ!

その時、何処からか 矢が放たれた。

バケモノ

デデバー!

矢に撃ち抜かれ、 バケモノ達が次々と倒れていく。

ひまじん

だ、誰や!?

屋根の上に人影を見つけた。 しかし、逆光ではっきり見えない。

バケモノは、 なおもこちらに向かってくる。

…その時。

(バゴォォォン!)

???

ハァーッ!

バケモノ

ジャァァ!?

けたたましい轟音とともに、 紫色の装甲を纏った男が 俺の背後の壁をぶち破りながら 現れた。

ひまじん

う…牛!?

???

雑魚がうじゃうじゃ
群れやがって…

男は、チェーンソーのような剣 を振り回し、 バケモノ達を蹂躙していく。

バケモノ達

ジャ〜!

???

鬱陶しいんだよ!

〘POISON CHARGE〙

男が刀身の黒いレバーを上げると、 電子音声とともに、 剣にパワーがチャージされる。

???

“ゾンビブレイカー“の
錆にしてやる…!

バケモノ

ロウキョ!

バケモノ達

ツームタダン〜!

〘TACTICAL BREAK〙

???

ハァァァァ!

バケモノ達

デデバァァァ!!!

パワーがチャージされた “ゾンビブレイカー“を振り回すと、 周辺のバケモノは瞬く間に 溶け落ちていった。

ひまじん

つ、強えぇ…

俺が追い詰められてから 約5分ほどの出来事だ。

俺はあまりの展開の速さに、 立ち尽くすしかなかった。

???

ひまじん、こっちだ!
ついてこい!

ひまじん

え?あっ、ああ!

先程屋上にいた者の呼びかけで、 俺は正気を取り戻す。

そして連れられるまま、 この場を後にするのだった。

ひまじん

って、あんたは
白熊かい…

一方その頃。 とある屋上にて。

???

やにゃ~

あ、そこにいたにゃ!

???

やにゃ~?
どうかした?

やにゃ~

行かないのかにゃ?
もうミッション
始まってるにゃよ?

やにゃ~

ハッ!もしかして〜

やにゃ~

もう諦めちゃった
にゃ〜?

???

まだ私が出る幕
じゃないからね

???

昔から言われてる
でしょ?

???

「ヒーローは遅れて
やってくる」って

やにゃ~

にゃにゃ〜?

???

それに、「切り札」は
私が持ってる

そう言い放つと、プレイヤーは バイクのレバーがついた 赤く光るアイテムを取り出した。

やにゃ~

さぁ、どうだかにゃ?

やにゃ~

今度の「ラスボス」は
一筋縄では…

???

…!?

その時、遠くで何者かの 唸り声が響いた。

やにゃ~

にゃ〜?
この声はまさか〜?

???

その「ラスボス」の
お出まし…か

???

ようやく出番だ

プレイヤーは、 先程のアイテムのレバーを回した。

〘BOOSTRIKER〙

電子音声とともに、 赤いバイクが召喚される。

???

じゃ、行ってくるよ

そう言うとエンジンを轟かせ、 疾風の如く走り去る。

ついに、最後のプレイヤーが 戦場に向かって行った。

やにゃ~

…ふう。
ようやく行ったにゃ

やにゃ~

でもあいつは、
なかなか見込みが
ありそうにゃ

やにゃ~

ね?
“ゲームマスター“?

何も無い場所から、 “ゲームマスター“が現れた。

ゲームマスター

…あぁ

ゲームマスター

まだ観察の余地が
あるが、彼女ならば…

ゲームマスター

いずれ「あの災害」を、
打倒しうるかも
しれん…!

やにゃ~

にゃにゃ!

俺、ひまじんは、白熊に 連れられ、ビル街のはずれに出た。

???

大丈夫か?

ひまじん

あ、ありがとう
ございます…

助けが来たことで心に余裕が できたのか、ある疑問が浮かんだ。

(なぜ、さっきわいが ひまじん って 知っとったんや?)

(元リスナーさんか? それとも…)

ひまじん

あ、あの!

???

どうかしたのか?

ひまじん

もしかしたら
なんですけど…

ひまじん

わいの、ひまじんの
知り合いではない
ですか?

???

っちゃ〜…バレたか

ひまじん

へ?

そう言うと白熊は、 腰にある黒い機械から 緑色のパーツ?を外す。

直後、閃光を放ったかと思えば、 漆黒のスーツは消え、 「中の人」が露わになる。

その姿を、俺は知っていた。

ひまじん

で…でんでんさん!?

でんでん

久しぶり!
1年半ぶりかな?

ひまじん

どうして…ここに
いるんや?

でんでん

ま、いろいろあってね

そのいろいろが聞きたいんや!

滾る気持ちを抑え、俺は 疑問を投げつけた。

バケモノのこと、 そしてスーツを着た時のこと。

でんでんさんは、 すぐに疑問に答えてくれた。

でんでん

あのバケモノの名は
“ジャマト“

ひまじん

ジャマト…

でんでん

生態や正体は私にも
わからないけどね

でんでん

人を襲うんだったら、
放置するわけには
行かない!

ひまじん

あぁ、そうやな!

でんでん

で、それに対抗するのが私達

でんでん

その名は
“仮面ライダー“

ひまじん

仮面…ライダー…

でんでん

仮面ライダーとしての
私の名前は、
“キタノキワミ“、だね

でんでん

あとそれから…

???

おい、ただの一般人に
何吹き込んでやがる

ひまじん

うわ!いつの間に

いつの間にか、牛の仮面ライダー が、俺達に近づいていた。

でんでん

あ、この紫の牛の名前は“ブルック“ね

仮面ライダーブルック

勝手に紹介すんな!

ひまじん

ってかその声どこかで…

仮面ライダーブルック

っハァ~

ブルックは苛立ちながら、 腰の機械の紫色の部品を外した。 緑色の部品よりだいぶ大型だ。

そして「中の人」が現れた。

陰キャ転生

…お前とまた
会えるなんて奇跡だな

ひまじん

陰キャ転生…!

また、知り合いだ。 親しい者が現れた余裕からか、 俺は少し感情的になってしまった。

ひまじん

なぁ、これどうなっとるんや!?

ひまじん

ジャマトが現れて、
人を殺しまくって、
挙句の果てに
仮面ライダーやて!?

ひまじん

何があったんや!?

ひまじん

お前達は何なんや!?

そんな俺に陰キャ転生は 事実を突きつける。

陰キャ転生

ひまじん…いや

陰キャ転生

ただの一般人が
知る必要はない

ひまじん

…なんやと?

陰キャ転生

お前みたいな力もない
一般人は、邪魔だから
引っ込んどけって
言ったんだ

ひまじん

なんやてめぇ!

ひまじん

力があるからって
調子のっとんのか!?

陰キャ転生

ひまじん

無視しとんちゃ…

でんでん

ひまじん!!

ひまじん

っ!

でんでん

…醜いよ、今の君

ひまじん

うっ…

でんでん

気持ちはわかるけど、
今の君はまるで─

でんでん

ヒーローに石を投げる
醜い一般人みたいだよ

ひまじん

…わかった、
わいが悪かった

俺は余裕ができた余り、 我儘にも苛立ってしまった。 …反省だ

陰キャ転生

陰キャ転生

この世界は
じきに終わる

ひまじん

…え?

陰キャ転生

俺から言えることは
それだけだ

でんでん

しばしの沈黙、 最初に口を開けたのは 陰キャ転生だった

陰キャ転生

…“あの狐“の姿が
見えない

ひまじん

(…狐?)

でんでん

逃げ出した…という
線はないのか?

陰キャ転生

あいつのことだ、
一発逆転狙う
に決まってる!

陰キャ転生

おそらく、“城“を
倒すつもりだ…!

でんでん

城ジャマトを!?
あれは無茶だ!

でんでん

あれは鉄壁の要塞
破壊不能の…

─その時、 辺りに大きな唸り声が響いた。

陰キャ転生

まさか…

でんでん

上だ!

言われるがまま、 頭上を見上げると、

ひまじん

!!

先程までのジャマトとは違う、 巨大な要塞がそこにあった。

ひまじん

デカ過ぎんだろ…

でんでん

城か!まずい…!

でんでんは腰の機械に、 緑色の部品をセットする。

〘SET〙

“仮面ライダー“に変身する つもりだ。

でんでん

変し…

城ジャマト

ギェァァァア!

しかし、豪速の速さで 城ジャマトの触手が迫る。

ひまじん

あっ…!

(ボゴォォォォォン!)

哀れにも、でんでんの身体を ジャマトの触手が貫通した。

仮面ライダーキタノキワミ

あ“っ…
し、しまった…

腰の機械の中央にあるコアが、 音を立ててひび割れる。

その直後、でんでんの身体は 赤黒いデータと化して消えた。

『MISSON FAILED』

ひまじん

でんでんさんが…
消えた…

陰キャ転生

へっ…一人脱落…

ひまじん

…何笑ってるんや?
仲間が消えたん
やぞ!?

陰キャ転生

…仲間?
誰があいつを仲間と
呼んだんだ?

ひまじん

お前、何か隠して…

陰キャ転生

そんなこと気にしてる
場合か?

城ジャマトの触手が、 俺をめがけて迫る。

ひまじん

ぐっ…

正確には、「俺がいる地面」めがけて迫っていたのだろう、 触手は地面を貫通し、 そのまま地面の塊を抉り飛ばした。

当然、俺も一緒に飛ばされた。

ひまじん

うわぁァァァァァァ!!!

俺の身体は宙を舞い、 固い地面へと向かっていた。

ひまじん

(俺、このまま
死ぬのかな…)

ひまじん

(バイトクビになって、
彼女見捨てて逃げて、
再会した奴に
突き放されて、)

ひまじん

(最期は地面に打ち付けられて終わり?)

ひまじん

(KUNさん…アンタは
今どこで何をしてるんや?)

ひまじん

(叶うなら、
もう一度だけ、
アンタに会いたい…)

ひまじん

(…嫌だ)

ひまじん

(俺はまだ
死にたくない…)

ひまじん

(心残りがあるまま、
死にたくないんや!)

近づく地面、 最期が迫るその瞬間も、 俺は生きる事を諦められなかった。

(誰でもいい…)

(誰か俺を…助けて…!)

…その時、救世主は バイクと共に現れた。

ひまじん

(あれは…)

飛び上がったかと思うと、 落ち行く俺の身体をガッチリと 捕まえ、そのまま着地していく。

俺は、 間一髪助かったのか。

救世主は、俺に語りかける。

???

大丈夫?

ひまじん

え?あ、あぁ…

正直、俺は混乱していた。

まさか、こんなことが、 同じ日に三度も…

俺を助けた救世主。 その声の主を、俺は知っている。

あんたは…

ひまじん

こ、このさん…?

この

この

久しぶりだね、
ひまじんさん

ひまじん

このさん!もう会えないと思ってた!

この

ヘヘっ、生きてる限り
何度も会えるもんだよ

ひまじん

わい、今日は
もう散々で…

ひまじん

忘れられない一日に
なりそうや!

この

そう…

この

「忘れるべきだよ、
こんな世界」

ひまじん

え?…あぁそうやな!

今の発言は少し引っかかったけど、 その時はそんなこと気にしてる 余裕がなかった。

ひまじん

でもこの先どうすればええんや…

ひまじん

バイトクビになって、彼女が生きてるかも
わからなくて、

ひまじん

お先真っ暗や…

この

そう?

この

諦めなければ、
きっと乗りこえられる
って!

ひまじん

…そんなわけ

ひまじん

そんなわけないだろ…

この

ひまじんさん?

ひまじん

俺は思ってた、
どれだけ不幸なことがあっても、最後には
乗りこえられるって

ひまじん

なんだかんだ、みんな幸せを噛み締めて生きて行けるって…思ってた

ひまじん

でも違った、
ある日突然、
立ち直れなくなるほどの大きな不幸が、全てを奪って行くんや!

この

ひまじん

人の未来も!
幸せも何もかも!!

ひまじん

あのバケモノの
ように!!!

ひまじん

…そして、世界は
ある日突然あっさりと
滅んでいくんだ…

俺はこのに、今の気持ち全てを 吐き出した。

俺の中にある、 どうしようもない絶望を。

しかし─

この

心配しないで

ひまじん

…え?

この

戦争に負けて、
悲しみに満ちたとき
だって、みんな
立ち直ってきた

ひまじん

昔の人が強いだけやろ…

この

世界だって、何度
生物が絶滅しても
再生してきた

ひまじん

いつの時代の話だよ…

この

だから、今回も
乗りこえられる

この

いや、私がそうする

この

「こんな世界
終わらせよう」
「もう一度、
やり直すために」

ひまじん

このさん…?

いつの間にか、 俺達の眼前には 大量のジャマトが並んでいた。 もちろん、城ジャマトも。

ジャマト

ジャ〜

ジャマト

ジャジャ!

城ジャマト

ギェァァァア!

ひまじん

いっぱいきた…!

この

下がって

彼女の腰には、でんでんさん達と 同じ機械が巻き付いていた。 中央の白いコアには、狐のマーク…

まさか、“あの狐“って…!

この

いよいよ変身、
しちゃいますか!

彼女が取り出したのは、 リボルバー?がついた白いパーツ。 それを…

〘SET〙

パーツを機械の左側にセットして、 彼女は“あの言葉“を叫んだ。

その一言で、彼女は変わる。

この

“変身“!!

リボルバーを回し、 パーツについた引き金を引く。 すると…

〘MAGNUM〙

漆黒のスーツに包まれ、 純白の装甲と仮面が装着される。

このは、変身したのだ。 狐の“仮面ライダー“に。

ひまじん

このさんも…
仮面ライダー!?

仮面ライダーキモスギーツ

“キモスギーツ“

仮面ライダーキモスギーツ

それが、私の名前

仮面ライダーキモスギーツ

『見逃すなよ、
“この“ ハイライト』

〘READY FIGHT〙

〘MAGNUM SHOOTER 40X〙

仮面ライダーキモスギーツ

ハァッ!

ジャマト

ジャッ!

仮面ライダーキモスギーツ マグナムフォーム。

拡張装備 「マグナムシューター40X」による 中·遠距離の戦闘を得意とする形態。

そのスペック通り、キモスギーツは 銃撃でジャマトを蹂躙していく。

例え相手が、高台に居ようと。

ジャマト

ツジ!

ジャマト

ジャジャー!

仮面ライダーキモスギーツ

そんな弾、当たるわけ
ないじゃん!

仮面ライダーキモスギーツ

はい、バン バン!!

ジャマト

ツツッ!(ドサッ)

ジャマト

デデバァ〜!

─正確に撃ち抜く。

ジャマトが、円陣を組み 襲いかかる。

ジャマト

クバエインチャ!

ジャマト

ジャジャ!

ジャマト達

ジャー!

仮面ライダーキモスギーツ

へぇ~少しは
考えるねぇ

仮面ライダーキモスギーツ

でも…

ジャマト

ジャー!!

背後からの奇襲、 例え不意打ちであろうとも、

仮面ライダーキモスギーツ

甘い!

バケモノ

ツッ!

─回避から、すかさず 反撃に転ずる。

彼女は飛び上がり、 マグナムシューターの レバーを引く。

〘BULLET CHARGE〙

ジャマト

ジャッ!?

仮面ライダーキモスギーツ

上からなら
避けられないよね!

銃の引き金が引かれる。

バレットチャージによって 強化された弾丸が、 ジャマトの身体を貫いた。

ジャマト達

デ…デバ…

一騎当千。 ジャマトの軍勢は女狐一匹に 瞬く間に蹂躙された。

ひまじん

す、すげぇ…

ひまじん

ジャマト達を一人で…!

突如、唸り声が響く。

城ジャマトだ。 あのデカブツがすぐ近くにいる。

城ジャマト

ギェェェ!

キモスギーツの正面にそれはいた。 大きな口から破壊光線を放ち、 周囲を焦土に変えていく。

仮面ライダーキモスギーツ

うわ、やっべ!

そして、光線は 彼女のいる場所を薙ぎ払った。

ひまじん

あっ…

ついに女狐は敗れて しまったのか。

〘RIFLE〙

いや、生きている。

仮面ライダーキモスギーツ

危ない危ない…

彼女はマグナムシューターを ライフルモードに変え、 遠距離からの狙撃を試みる。

城ジャマト

ギィっ!?

城ジャマトの触手を一本、二本と 撃ち抜いていく。しかし─

仮面ライダーキモスギーツ

…ん?

城ジャマト

本体は表皮に守られ、 弾丸が弾かれる。 鉄壁の要塞。守りは強固だ。

仮面ライダーキモスギーツ

流石ラスボス

仮面ライダーキモスギーツ

一筋縄では
行かない、か

仮面ライダーキモスギーツ

なら…!

彼女はなおも撃ち続ける。 どれだけ弾丸が弾かれようとも。

城ジャマト

ギェェァァァア!

ついに、城ジャマトが 弾丸の主を突き止めてしまった。

仮面ライダーキモスギーツ

やっぱ、知能は単純か

真っ直ぐキモスギーツのもとに 向かってくる。

ひまじん

食べられる!
避けろー!

そして。

(バクン!)

城ジャマト

(ゴクン)
ゲェェェッブ!

ひまじん

…食べられちゃった

一騎当千の女狐は、哀れにも 城ジャマトのランチとなった。

…その光景を、 ブルックも目撃していた。

仮面ライダーブルック

あいつ、
何考えてやがる…!

キモスギーツが食べられてから、 5分が経過した。

城ジャマト

ググッ!?

城ジャマト

グェェェェ!

城ジャマトが急に苦しみ出した。

ひまじん

ひまじん

まさかあいつ…!

「やーっぱり!」 「身体も組織も、内側からダメに なっていくもんだね!」

デカブツの口内から 女狐の声が響く。

その声色は、 勝利を確信したようだった。

途端、城ジャマトが ひまじんに向かって落ちてくる。

ひまじん

えっ、へぁ!?
くるなぁぁ!

そのデカブツは、ひまじんの 数十メートル先に墜落した。

ひまじん

あ…ああ…

城ジャマト

グォォォ…

ラスボスはもはや、満身創痍だ。

女狐の声が、なおも響く。

「もう“切り札“を使うまでもないけど、最後は派手に決めるか!」

〘SET〙

「デュアル·オン!」

〘DUAL ON〙

デカブツの表皮を破り、 赤い火の玉が飛び上がる。

その主はもちろん─

仮面ライダーキモスギーツ

はぁぁぁぁぁ!

〘GET READY FOR〙 〘BOOST AND MAGNUM〙

腰の装置を、二つのパーツが覆う。

左は白きリボルバーを、 右は赤く光る“切り札“を纏う。

その力に呼応するが如く、 中央のコアは、 金色の円環を形づくる。

“マグナムブーストフォーム“。 世界の救世主たる女狐は、 その真の力を解き放つのだ。

仮面ライダーキモスギーツ

これで終わりだ!

右のハンドルを捻る。

〘BOOST TIME〙

赤いバイクと共に 女狐は飛翔する。

そして、勝利へのフルスロットル。 城ジャマトに 飛び蹴りの体勢で突撃する。

〘MAGNUM BOOST〙 〘GRAND VICTORY〙

仮面ライダーキモスギーツ

ハァァァァッ!!!!

炎纏いし弾丸が、 ラスボスの身体を突き破る。

城ジャマト

グェェア“ア“ア“!!!!

そして、爆発四散。 人々を脅かした怪物は、 今、その命を散らした。

…その光景を、 やにゃ~は見ていた。

やにゃ~

まさか、ラスボスを
倒してしまうなんて…

やにゃ~

これはもう、
決まりだにゃ!

『デザ神、降臨にゃ!』

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ひまじん

でざ…しん?

ジャマトによって蹂躙された街に、 謎のアナウンスが虚しく響く。

ひまじん

いったい何が
どうなって…

仮面ライダーキモスギーツ

「ゲーム」だよ

ひまじん

…ゲーム?

仮面ライダーキモスギーツ

これは世界を救う
ゲームなの

ひまじん

何言って…

俺が困惑していると、 彼女の腰の赤い部分が、 燃えるように光っていく。

仮面ライダーキモスギーツ

あーっ!
ひまじんさん離れて!

ひまじん

えっ?えっ?

(ボンッ!) (キィィィィ!)

ひまじん

おわっ!

俺が離れた直後、赤いパーツは 悲鳴のような音を立てて 飛んでいった。

同時に彼女も変身を解く。

この

お疲れ!

ひまじん

このさん、
ちょっと待って!

ひまじん

俺、最初から状況
飲み込めて
ないんだけど、

ひまじん

「ゲーム」って何や、
「でざしん」って
何なんや?

ひまじん

この世界は、これから
どうなるんや!?

この

この世界は、
創り変わるんだ

突然、荘厳な鐘の音が響く。

この

さぁ始まるよ、
新しい世界が

ひまじん

意味わからん!!

ひまじん

このさん、お願いや
教えてくれ!!

俺があまりにしつこかったのか、 彼女は溜息を吐いた。

この

ひまじんさん、
これだけは教える

この

その疑問が
知りたいなら、
戦うしかない

この

“仮面ライダー“として
“デザイアグランプリ“
に参戦して…ね

ひまじん

デザイア…
グランプリ…

世界が青いデータに変わる。 俺も巻きこまれる。

俺という…存在…がデータに… 包まれ…て…い…

ひまじん

…はっ!

ここはわいの家…? 今のは…夢…?

ひまじん

確かジャガイモ…
とかいうバケモノが…

あぁ、何も思い出せへん! 夢あるあるや!

手足に怪我がないか確認したが、 傷跡も何も無い。

ひまじん

そうや、あれは
夢だったんや!

ひまじん

きっとそう!

だが、何だか気が晴れない。

俺は気晴らしに、コーヒー でも飲みに行くことにした。

ひまじん

ふぅ、ここもええなぁ

コーヒーを注文した俺は、 昨日の夢?を思い出してみる。

ひまじん

うーん…?

…やっぱり無理だ。 と、そこへ

やにゃ~

あのー

ひまじん

お、もうできたんか
…ん?

謎の女性が話しかける。 どこかで見たことあるような…?

ひまじん

どうかしましたか?

すると、突然

やにゃ~

おめでとう
ございますにゃ!

ひまじん

ん?

やにゃ~

厳正なる審査の結果、
おみゃ〜は
選ばれたにゃ!

そう言うと彼女は、 “! “のマークが目立つ 黄色い箱を渡してきた。

やにゃ~

今日からおみゃ〜は
仮面ライダーだにゃ!

ひまじん

仮面…ライダー…?

渡された箱を開ける。中には、 何やらマークが描かれた緑の玉と、 楕円型の黒い機械が入っていた。

突如、 緑の玉に触りたい衝動に駆られる。

衝動に身を任せて、 それに手を触れると…

ひまじん

!!!

頭の中に次々と情報が入る。

あのバケモノのこと、 それに立ち向かう戦士、 そして、あの狐。

ひまじん

思い…出した…!

あれは、夢などではない。

現実、リアルなのだ…!

この世界には、脅威が存在する。

正体不明の怪物、ジャマト。 人々の幸せを奪う怪物が。

この世界には、希望が存在する。

怪物に立ち向かう存在、 仮面ライダー。 己の理想のために戦う戦士が。

やにゃ~

「「「おめでとう
ございますにゃ!」」」

やにゃ~

「「「今日から
おみゃ〜は
仮面ライダー
だにゃ!」」」

陰キャ転生

俺が…

あーけん

僕が…

ひまじん

わいが…

「「「仮面ライダー…?」」」

怪物ジャマトから 世界を守るゲーム、 デザイアグランプリ。

勝者には、理想の世界を叶える 権利が与えられる。

ジャマトに立ち向かい、 理想の世界を勝ち取れ!

勝ち取った夢の中で、 君は何をみつける?

─今、彼らの運命が動き出す─

この

ようこそ…私の世界へ

DGPルール

デザイアドライバーと IDコアが届いたら、それは 理想の世界を叶える片道切符。

この戦いに、拒否権は無い。

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