ニュース速報

何気ない一日になるはずだった

それなのに隕石とかいう大きな石のせいで崩れ去った

先程まで避難勧告を出していた政府も 衝突まで１週間を切った今

いよいよカウントダウンしかしなくなった

彼と同棲して１年が経った

幸せな毎日だったがそれが1週間後には終わりを迎える

それでも私達は話し合った結果

いつも通りの日常で終わりを迎えようと決めたのだ

相変わらず隕石のニュースが流れる

私は10年前の事を思い出していた

10年前、母が蒸発し

家では１人の事が多かった私を

幼馴染の仁が救ってくれた

その時から、仁は私にとって無くてはならない人だった

死ぬ時は一緒に死のう

子供じみた約束がまさか本当になるなんて思ってもなかった

残り、6日

そんな時、政府がある動きを見せた

荒い鼻息で語る総理

興奮しているのが画面越しでも分かる

誇らしげに白色のスイッチを掲げる

小さなそれは大柄な彼が持つと玩具のようにしか見えない

私はそこでテレビの画面を消した

残り4日となった時

一通のメッセージが届いた

この出会いが大きく運命を変えた

残り３日となった今

彼女に浮気疑惑が浮上した

昨日こそこそと電話をしていたと思ったら

今日は出掛けて行った

伝えたいことがあるのに

言えず俺は頭を掻きながらソファーに座った

残り１日

明日はいよいよ衝突の日

私は今日も出掛けようと

仁に声を掛けると

やってしまった

目の前の彼女は呆然としている

でももう止まらない

やっと言いたいことが言えた

けどこれは正解だったのか？

何かを決心した彼女は外へと出ていった

いよいよ最後の日

昨日ぶりの仁に会う

阿鼻叫喚の人だかりの中

彼は立っていた

私は彼の手を包み込み 口を開いた

そして彼の手を強く握ると カチッと音がした

瞬く間に彼はカプセルに包まれ

宙へと浮く

彼はカプセルをどんどんと叩くが

その努力も虚しく宙へと飛んで行った

涙を擦ると後ろから声がした

4日前

メッセージは蒸発した母からだった

通話では私を置いていった経緯を話してくれた

愛人を選び蒸発したそうだ

本当は会う気など無かったが熱意に負け折れてしまった

こっそり見せてきたのは避難スイッチだった

もしかしたら仁は...

そして死にたくない、そう願った彼の為に

私はそれを受け取ったのだった

俺は浅はかだった

彼女が浮気なんかしないそんなの長い付き合いで分かってたはずなのに

でも、紬一つだけ間違ってる

俺は確かに死にたくなかった

けれどそれは...

どれだけ叫んでも地球には届かない

そして遂に地球に隕石が...